社会福祉士は独立してフリーランスになれる?

社会福祉士のフリーランスの働き方・仕事内容

社会福祉士は、どこかの施設に勤めたり、公務員として働いたりするだけでなく、独立して自らの事務所を開業し、フリーランスとなることもできる職業です。

こうした社会福祉士は一般的に「独立型社会福祉士」と呼ばれ、組織に所属しない身軽さを生かし、地域施設の連携を強化する「コミュニティソーシャルワーカー」としての活躍が期待されています。

独立型社会福祉士の仕事内容は、基本的には勤務時と同じく、高齢で介護を必要とする人や、障がいがある人などからの相談に応じ、最適な福祉サービスを紹介したりして相談者の生活を支援することです。

しかし、そうした相談業務の収入だけで生計を立てることは難しく、独立型社会福祉士のほとんどは、ほかの収入を得る手段と組み合わせて働いています。

代表的な仕事は、老化や精神疾患などで認知機能が衰えた人に代わって、その財産などを管理する「成年後見人」の受任、福祉サービスの第三者評価業務、大学での講師活動などです。

また、ケアマネジャーをはじめとして、社会保険労務士司法書士、FP(ファイナンシャルプランナー)など社会福祉士以外の資格をもち、兼業で事務所を経営している人も少なくありません。

フリーランスになるまでのキャリアパス

独立型社会福祉士として活躍するには、福祉や行政に関する深い専門知識に加えて、豊かな実務経験や、地域における幅広いコネクションなどが必要になります。

資格取得後、いきなり独立することもできますが、キャリアゼロで開業しても、事業として成功させることはきわめて困難です。

まずはいずれかの施設に就職し、将来的な独立に備えて、社会福祉士としての力を養うことが望ましいでしょう。

ソーシャルワークの実務経験を5年以上積むと、日本社会福祉士会主催の「独立型社会福祉士研修」を受講できるようになるため、そうした研修で自身の知識を深めることも非常に有効です。

また、研修を含む7つの要件を満たせば「独立型社会福祉士名簿」に登録できるようになります。

社会的信用を得て、横のつながりを利用することで、独立の成功確率を高めることができるでしょう。

参考:日本社会福祉士会 独立型社会福祉士とは

社会福祉士のフリーランスのメリット・デメリット

社会福祉士が独立するメリットは、仕事の自由度が一気に跳ね上がることです。

どこかの組織に所属していると、どうしても支援対象はある程度限定されますし、また支援方針についても上司など責任者の意向に従わなければなりません。

しかし、独立して自分の事務所を持てば、誰に気兼ねすることもなく、自分のやりたい方法で支援できるようになりますし、ほかの資格と組み合わせるなどして仕事の幅を拡げていくことも可能です。

反対に、独立するデメリットとしては、経済的な保証が一切なくなるという点が挙げられます。

施設に勤めていれば月々の給料は固定ですから、自分の生活を心配することなく、相談対応だけに集中することができます。

しかし、独立するとそういうわけにもいかず、どうやって月々の事務所経費や生活費を賄うかにまで頭を悩ませなくてはなりません。

社会福祉士としての能力だけでなく、経営者としての手腕が問われることになるため、営業センスや経営感覚に秀でた人でなければ、事業を継続させることは難しいでしょう。

社会福祉士のフリーランスの給料・年収

独立型社会福祉士の給料は人によってさまざまですが、それほど多くを稼げるわけではないようです。

とくに独立して間もない時期は、依頼自体が非常に少ないため、自分の給料を取るどころか、赤字になってしまうケースもよく見られます。

成年後見業務やケアマネジャーとしてのケアプランの作成など、毎月固定で報酬が得られる契約をある程度結べば収入は徐々に安定し、努力次第で年収500万円前後を得ることも不可能ではないでしょう。

しかし、そもそもソーシャルワーカーという福祉職自体が、営利目的を前提としたものではないため、独立しても、人よりはるかに高収入を得ることは困難です。

より多くを稼ぎたいなら、社会福祉士以外の国家資格を取得して、多角的に事業経営することが必要になるのは間違いありません。