社会福祉士と精神保健福祉士の違い

社会福祉士精神保健福祉士の仕事内容の違い

社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらもソーシャルワーカーと呼ばれる職業であり、なんらかの理由で福祉の手助けを必要とする人々の相談に応じ、専門知識を駆使してさまざまなサポートを行う仕事です。

両者の大きな違いは、その支援対象者の範囲であり、社会福祉士は、高齢者や障がい者、虐待や育児放棄を受けている子ども、DV被害者など、幅広く、ありとあらゆる人の支援を手掛けます。

これに対し、精神保健福祉士は、統合失調症やうつ病、認知症、アスペルガー症候群など、精神になんらかの病気や障がいを持つ人やその家族への支援業務に特化しています。

このため、社会福祉士の勤め先が、介護施設や福祉施設、医療施設、行政施設など多岐にわたるのに対し、精神保健福祉士のおもな勤め先は、精神病院などの医療施設か、または障がい者福祉施設です。

しかし、どちらの資格も、相談者本人や家族を取り巻く福祉施設や行政機関、地域サービスなどと連携しながら、その人らしい生活を送ることのできるよう、トータルな支援をおこなうという点で共通点の多い仕事内容といえるでしょう。

また、仕事の性質上、どちらの対象者とも接する機会の多い、病院の医療ソーシャルワーカーや、保健センター、地方自治体の福祉担当者の中には、社会福祉士と精神保健福祉士の両方の資格を持っている職員も大勢います。

精神保健福祉士の仕事

社会福祉士と精神保健福祉士のなる方法・資格の違い

社会福祉士と精神保健福祉士になる方法は非常に似通っており、どちらの場合も、まず国家試験の受験資格を得ることが必要になります。

受験資格を得る方法は、社会福祉士については全12通り、精神保健福祉士は全11通りあり、学歴に関するものや職歴に関するもの、資格に関するものなど、さまざまなルートが存在しています。

双方とも、代表的なのは、4年制の福祉系大学に進学し、所定の単位を修めて卒業するルートや、福祉系以外の4年制大学などを卒業したあと、一般養成施設と呼ばれる専門学校で1年以上学ぶルートです。

いずれかのルートを辿って受験資格を満たし、試験に合格してそれぞれの資格を取得すると、社会福祉士または精神保健福祉士として働けるようになります。

参考:社会福祉振興・試験センター 受験資格(資格取得ルート図)

社会福祉士と精神保健福祉士の資格の難易度の違い

社会福祉士国家試験では全18科目、精神保健福祉士国家試験では全16科目が出題され、そのうち「人体の構造と機能及び疾病」や「心理学理論と心理的支援」などの10科目が共通しています。

共通科目に加えて、社会福祉士試験では、介護保険制度や障がい者自立支援、児童福祉などに関する専門科目が、精神保健福祉士試験では、精神保健の分野に関する専門科目が、それぞれ出題されます。

双方の合格率は、社会福祉士試験が30%前後、精神保健福祉士試験が60%前後で推移しており、社会福祉士の合格率の低さが垣間見えます。

共通科目が設定されているのにも関わらず、合格率におおきな差があるという点からみても、「社会福祉士専門科目」の難易度が高いということがいえるのではないでしょうか。

社会福祉士と精神保健福祉士の資格のダブルライセンス

社会福祉士と精神保健福祉士の国家試験は共通科目が多くあります。

そのため、どちらの受験資格も持っている人は、両方の受験に挑戦するのも、資格取得後の就職活動やキャリアアップに有効でしょう。

また、社会福祉士の資格を持つ人が精神保健福祉士の試験を受ける場合は受験申込時に必要な書類を提出することで、社会福祉士との共通科目が免除され、精神保健福祉士専門科目のみの試験となりますし、その逆も同様です。

資格試験の面でみると共通科目が多く、二つの資格を同時に取れるメリットのある2資格なのです。

社会福祉士と精神保健福祉士の共通科目

人体の構造と機能及び疾病
心理学理論と心理的支援
社会理論と社会システム
現代社会と福祉
地域福祉の理論と方法
福祉行財政と福祉計画
社会保障
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
低所得者に対する支援と生活保護制度
保健医療サービス
権利擁護と成年後見制度

社会福祉士と精神保健福祉士の学校・学費の違い

国家試験の難易度に大きな差がある一方、両者に学校や学費に関する違いはほとんどありません。

これからどちらかの資格取得を目指す人にとって、最もオーソドックスな進学先は、4年制の福祉系大学です。

受験資格を得るための数あるルートのなかで唯一、実務経験を積む必要も、卒業後に養成施設に通う必要もありませんので、非常におすすめといえます。

ただ、その際に必要となる学費は、4年間で総額400万円ほどであり、経済的負担は決して軽くはありません。

学費を安く抑えたい場合は、夜間課程に通う方法や、通信課程で勉強する方法などがあり、夜間課程の学費は総額200万円ほど、通信課程の学費は総額100万円ほどが相場です。

夜間や通信であれば、たとえば働いて学費を自分で稼がなければならない人などであっても、仕事と学業を両立させやすいでしょう。

社会福祉士と精神保健福祉士の給料・待遇の違い

社会福祉士には、複数の業界にまたがってさまざまな勤務先があるため、給料は勤め先によってかなり差がありますが、年収380万円~550万円前後が相場とされています。

キャリアを重ねて役職者に昇進すれば、年収600万円ほどを稼ぐことも十分に可能です。

一方、精神保健福祉士は、平均年収が300万円~450万円前後となっており、社会福祉士と比べるとやや低い給与水準といえます。

一般的な勤務先である精神病院についてみると、病床数が多く規模の大きい病院ほど高収入を得やすく、小規模の心療内科病院ほど給料が安くなる傾向にあります。

なお、社会福祉士には福祉事務所や市役所など、精神保健福祉士には精神保健センターなど、公務員として働くことのできる公共の施設もあります。

その場合、基本給がそれほど高くなくても、住居手当や通勤手当などが手厚かったり、有給休暇や産休・育休を取得しやすいなど、待遇面が充実しているケースが目立ちます。

社会福祉士のほうが、公務員として働ける職場が精神保健福祉士よりも多いため、そうした事情も、両者の平均年収の差として表れているのかもしれません。

社会福祉士と精神保健福祉士はどっちがおすすめ?

社会福祉士は福祉全般を手広く扱うゼネラリストであり、精神保健福祉士は精神障がいのスペシャリストという違いはあるものの、その業務スタイルや社会的役割、勤務先などには、数多くの類似点があります。

このため、どちらの職業を目指すべきか、進路に悩む人も多いかもしれません。

適性という観点からみれば、興味の対象が広く、好奇心旺盛な人は社会福祉士が、反対に、数多くのことに手を出すよりも、一つことを突き詰めたいという人は、精神保健福祉士のほうが向いているでしょう。

しかし、それも決して絶対ではありませんので、最も望ましいのは、進学先を決定する前に、実際の現場を見学したり、高齢者や障がい者と直にふれあってみることです。

ボランティア活動の一環として施設に訪れることもできますし、市などが主催する地域のイベントや福祉関係の講演会などに参加することもできるでしょう。

そこで得られた実感から、自分の将来を具体的に思い描いてみることが大切です。

ただ、どちらかの資格があれば、共通科目が免除されるという試験制度上、もう一方の資格を取得することはさほど難しくはありません。

どちらかを選ぶのではなく、どちらにもなる、つまりダブルライセンスを目指すという道も、十分に考えられます。