看護師から社会福祉士になるには

看護師が社会福祉士を目指すケースは?

看護師として、病院などの医療施設や訪問看護ステーションなどの介護施設に勤務していると、担当する患者や利用者から、生活面や経済面についての相談を持ちかけられる機会も多いかもしれません。

しかし、看護師はあくまで医療の専門職であって、福祉や介護のプロではないため、看護師の国家資格だけでは、事情の異なる個々の相談者に対し、的確にアドバイスすることは困難です。

そうした場合、幅広い福祉サービスに精通した社会福祉士の国家資格を取得することは、非常に有効といえます。

あるいは、医療現場で働くうちに、これまでとは違う方法で人々の役に立ちたい、環境を大きく変えたいという気持ちが芽生えることもあるかもしれません。

社会福祉士の国家資格があれば、一気に就職先の選択肢が拡がり、自身の求める環境を見つけやすくなりますし、看護師としてのキャリアも生かしやすいでしょう。

看護師から社会福祉士になる方法

社会福祉士として働くには、国家試験を受けて資格を取得する必要があります。

社会福祉士の試験は誰でも受けられるものではなく、まずは受験資格を得なければなりません。

受験資格を得る方法は複数ありますが、看護師から社会福祉士を目指す場合、おおまかに、大卒の学歴がある場合と、そうでない場合の2通りに分けられます。

以下では、2つの学歴別に、社会福祉士を目指すおすすめのルートをご紹介します。

大卒の場合

4年制大学の看護学部や看護大学を卒業している人の場合、「一般養成施設」と呼ばれる学校での課程を修了することで、社会福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。

履修期間は学校によって多少異なりますが、最短で1年、長いところで2年ほどです。

養成施設のなかには、夜間課程や通信課程を設けている学校も数多くありますので、看護師として働きつつ、社会福祉士の勉強を進めることも可能です。

ただし、社会福祉士国家試験の合格率は3割程度しかなく、幅広い専門知識が求められる難関です。

大卒の学歴があれば、早期の資格取得も視野に入ってきますが、短い準備期間で合格するためには、かなり集中的に受験勉強に励まなくてはなりません。

勉強の進捗状況次第では、どこかの時点で看護師の仕事を大きく減らすか、あるいは辞めることを視野に入れておく必要があるでしょう。

大卒以外の場合

実務経験を積むルート

看護師になった人のなかには、3年制の短大卒や看護学校(専門学校)卒の人も多いでしょう。

その場合、大卒のケースとは異なって、一般養成施設に入学するためには、1年以上の「相談援助実務」を経験することが求められます。

ここで注意したいのは、看護師として患者からの相談に応じていたとしても、相談援助の実務経験とはみなされないことです。

たとえば病院で働くなら、看護師としてではなく、生活相談室や地域連携室などに所属する「医療ソーシャルワーカー」として、相談業務に専業しなければなりません。

希望して異動するか、福祉施設などに転職することが必要であり、ハードルはかなり高めです。

大学に入り直すルート

短大卒や専門学校卒から社会福祉士を目指すなら、4年制の福祉系大学に入り直したほうが、近道かもしれません。

4年制の福祉系大学であれば、看護大学などとは違って一般養成施設に通わなくても、「指定科目」を履修して卒業することで国家試験の受験資格が得られるからです。

一般養成施設と同様、通信課程や夜間課程の大学もあるため、仕事と学業を両立させることも決して不可能ではないでしょう。

ただし、受験資格を得るまでに4年間もかかってしまう点はネックといえるでしょう。

より学習期間を短縮するために、編入学制度のある学校を探してみるとよいかもしれません。

編入学制度のある大学では、これまでに別の学校で取得した単位を認定し、いきなり2年生や3年生から勉強を始めることができます。

看護師になるために取得した単位を利用して、最短で社会福祉士になれる方法を選択しましょう。