高校教師の年収・給料は高い? 初任給や手取りについても解説
高校教師の給与は、他の職業と比較してどの程度の水準なのでしょうか?
高校教師の給与は、経験や地域によって異なる要素がありますが、一般的には安定した収入が得られる傾向にあります。
初任給やボーナスなど、統計データを通じてその実態を解説します。
高校教師の平均年収・給料の統計データ
高校教師の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和4年度賃金構造基本統計調査によると、高校教師の平均年収は43.5歳で678万円となっています。
・平均年齢: 43.5歳
・勤続年数: 13.7年
・労働時間/月: 171時間/月
・超過労働: 3時間/月
・月額給与:432,900円
・年間賞与:1,580,200円
・平均年収:6,775,000円
出典:厚生労働省「令和4年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
高校教師の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
高校の先生の給与については、年功序列となっているため、平均値を算出することは難しいです。
仮に年収が500万円だと仮定すると、厚生労働省の統計調査によれば、ボーナスは年間でおおよそ3.8ヶ月分です。
これに基づくと、月額総支給額は31万円であり、年間で約110万円のボーナスが支給されていると推定されます。
東京都で働く高校教師で、独身の場合、交通費などを除いて考えると、手取り額は月に25〜26万円ほどになる見込みです。
日本人全体の平均年収が約420万円と言われていることから考えると、一般的な職業に比べて高い給与水準であるといえるでしょう。
高校教師の初任給はどれくらい?
私立の場合、新卒の初任給は20万円ほどで、場合によっては民間企業よりも安くなります。
- 大学卒採用 約254,500円
- 短大卒 約234,100円
出典:令和5年度東京都公立学校教員採用候補者選考(6年度採用)実施要綱
高校教師の勤務先の年齢別の年収(令和4年度)
高校教師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の909万円です。
全年代の平均年収は678万円となっています。
高校教師の勤務先の規模別の年収(令和4年度)
高校教師の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める高校教師の平均年収は616万円、100〜999人規模は678万円、1,000人以上の規模では820万円、10人以上規模の事業所平均は678万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
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高校教師の福利厚生の特徴は?
さまざまな手当が支給される
公立学校での勤務の場合、高校教諭には以下のような手当が支給されます。
扶養手当
住居手当
通勤手当
期末手当
勤勉手当
通勤手当や住居手当、扶養手当などは一般企業と同様に支給されます。
そのほか、「地域手当」は勤務する地域に応じて支給される手当で、地域の賃金や物価、交通事情などを考慮して決定されます。
都市部を対象にした地域手当と、山間地や離島などのへき地に勤務する場合の「へき地手当」があります。
また「特殊勤務手当」は、部活動や修学旅行、競技会などの引率業務を土日祝日に行った場合に支給される手当です。
農業・工業高等学校の専門的な実習教科を担当する教師には、別途手当が支給されます。
定時制高校または通信制高校に携わる教員には「定時制通信教育手当」が支給され、これは給料月額の10%が支給されます。
私立学校での勤務でも、ほぼ同様の福利厚生を受けられると考えて問題ありません。
残業手当の支給はない
一方で、教師の職業柄、残業手当は支給されません。
部活動の顧問になると部活動顧問手当が支給されますが、土日祝日などの休日に仕事がある場合でも、1,200円程度しか支給されません。
そのため、部活動の顧問は、経済的に見合わないと感じる人も多いようです。
高校教師の給料・年収の特徴
給料には「給料表学」と「教職調整額」がある
教員の給料には給料表額と教職調整額が含まれています。
給料表額は、教員の給与体系である等級と号給に基づいて決まります。
教職調整額は、管理職以外の教員に支給される特殊な手当です。
これは一般的な職業の時間外勤務手当に相当し、教員の特殊な業務の性質を考慮して設定されています。
教職調整額は給料月額の4%が支給されますが、この数字が適切かどうかには議論があり、近年の教師不足を受けて増額も検討されています。
給与はあらかじめ決められている
公立学校、私立学校ともに教師の給与体系は、基本的に年功序列に基づいており、勤続することで給料が徐々に増えていきます。
給与が事前に定められているため、自分の努力や実績によって給与を上げることはできません。
民間企業で見られるようなインセンティブ(出来高制)は存在しないため、教師がいくら頑張っても給与に反映されず、努力が評価されないと感じる人も少なくありません。
景気や地方情勢に左右されることも
公立の高校教諭の基本給料は、年齢や役職に応じて変動し、副校長や校長になると、給料が増える傾向があります。
さらに、教育委員会からの推薦による昇級によっても給料が上がる場合があります。
ただし、公立学校の教師は公務員と同様の待遇を受けるため、景気や地方情勢によっては年収が左右されてしまいます。
経済の好況や地方の活気がある場合には、自治体の予算が増加し、給与水準も向上する傾向がある一方で、不況や地方の経済状況が低迷している場合には、給与が削減されることがあります。
また、地域の人口減少や学生数の減少など、地方の状況に応じて教職員の配置や採用数が調整されることもあります。
これによって、給与の増減や待遇に影響が出る場合があります。
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高校教師が収入を上げるためには?
努力しても短期で年収は上がりにくい
教師の給与はあらかじめ定められているため、個人の努力だけでは変えることはできません。
基本的には年功序列に基づいており、給与を増やすためには長期間にわたって教職に従事し続け、経験を積んでいくことが重要です。
また、学年主任や管理職に昇進すると、主任手当や管理職手当などが付与され、給与がさらに増えることもあります。
副業は基本的に禁止
教師は基本給が上がりにくいため、副業を考える人も多いかもしれません。
ただし、教師は基本的に副業は禁止されています。
教師の職務は教育に専念し、学校教育の質を確保することが求められるため、副業の制限があるのです。
とくに公立学校に勤務する教師は、公務員としての地位にあり、公務員法によって副業の禁止が規定されています。
私立学校の場合、副業が認められる場合もありますが、就業規則をしっかり確認する必要があります。
各学校のポリシーや契約条件によって異なるため、事前に相談や了解を得ることが重要です。
手当てはあるが額は低め
教師は業務内容に応じて手当が支給されることがあります。
たとえば、修学旅行の引率や入試に関連する業務、部活動の指導などです。
しかし、これらの手当は通常数千円程度であり、給料を大幅に上げることは難しい現実があります。
手当は業務への貢献や負担の補填を目的としているため、給料自体を大幅に引き上げるものではありません。
高校教師の年収・給料のまとめ
高校教師の年収・給料は、一般的には他の職業と比べて比較的高い水準にあります。
ただし、給与体系は年功序列が主要な要素となっており、公務員としての待遇を受けるため、景気の影響によって給料やボーナスが変動することもあります。
給与アップには勤続年数や役職の昇進が重要ですが、教師の給与は自身の努力だけでは上げることが難しい部分があります。