教師の年収はいくら? 給料や初任給についてくわしく解説

公立学校の教師は公務員として自治体から年収が支払われます。

教師の年収は景気に左右されないため安定で高額というイメージがありますが、実際の収入はどのくらいなのでしょうか?

この記事では、教師の年収についてくわしく解説し、公立学校と私立学校での給与の違いや、収入アップの仕方についても紹介します。

教師の平均年収・給料の統計データ

教師の平均年収・月収・ボーナス

公立の教師は地方公務員の身分となり、各地方自治体が定める給料表に基づく給料が支給されます。

小・中学校教師

総務省の平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要によると、小・中学校教育職の平均給与月額は、42.3歳で414,820円となっています。

この金額は、平均給料月額355,362円に、諸手当59,458円を加算したものです。

・平均年齢:42.3歳
・平均給料月額:355,362円
・諸手当月額:59,458円
・平均給与月額:414,820円

高校教師

同調査結果によると、高等学校教育職の平均給与月額は、44.8歳で374,191円となっています。

この金額は、平均給料月額374,191円に、諸手当65,325円を加算したものです。

・平均年齢:44.8歳
・平均給料月額:374,191円
・諸手当月額:65,325円
・平均給与月額:439,516円

出典:総務省「平成31年地方公務員給与実態調査結果等」

公務員は年齢が上がるほど基本給も高くなるため、平均年齢の高い高校教師のほうが、平均給料もやや高めとなっていることがうかがえます。

小学校・中学校・高校教師の給料・年収の詳細は、以下を参考にしてください。

小学校教師の給料・年収
中学校教師の給料・年収
高校教師の給料・年収

教師の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

教師の収入は、日本全国で働く教育職員の中でもさまざまな要因によって大きく異なります。

まず教師の給与は、勤務する自治体によって異なります。

都市部や大都市圏での勤務は一般的に給与が高く、地方や農村地域では給与が低いことがあります。

そして教師の給与は勤務年数に応じて増加します。

長く勤務すれば、基本給が増えるため、給与水準も上がりますし、教師の中には校長、教頭、副校長などの管理職に昇進する人もいます。

このように管理職になると給与が上昇する傾向があります。

さらに教師は扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当(ボーナス)などの各種手当を受けることが一般的です。

ただし、教師は基本給が高めに設定されているため、通常の残業代は支給されません。

教師は教育活動の一環として学校内外で多くの時間を費やすため、労働時間外の仕事も多いですが、これは給与に反映されないことが一般的です。

一般的には公務員として手取りの平均年収は民間企業の会社員よりも高い場合が多いですが、高い責任と多忙な業務を担当することも考慮する必要があります。

教師の初任給は約22万円から26万円

公立学校の教師の初任給は、地域や学歴、勤務校の種類によって異なります。

全国的にみると、初任給の幅は約22万円から26万円程度で、関東地域は他の地域に比べてやや高めです。

たとえば、東京都内で公立学校の教員として採用された場合、大学卒業者の初任給は約24万8,700円で、短大卒の場合は約22万7,400円です。

対照的に、北海道では大卒の初任給は約21万4,660円で、短大卒の場合は約18万9,300円とやや低めです。

初任給には給料月額、教職調整額、地域手当、義務教育等教員特別手当、および給料の調整額(該当者のみ)が含まれます。

さらに、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当など、各種手当が法令に基づいて支給されます。

特別支援学級やへき地(離島など)の学校で勤務する場合、別途手当が規定されています。

なお、これらの初任給は、卒業後すぐに教員として採用される場合の基準です。

また、教育関連の有用な経験がある場合、前歴加算により初任給が増額されることもあります。

出典:東京都教育委員会「教員採用案内」

一方、私立学校では、勤務する学校によって初任給は異なります。

教師の福利厚生は公務員と同等

公立学校で働く教師は、地方公務員としての身分を持ち、他の地方公務員と同じように福利厚生が与えられます。

休暇制度も充実しており、有給の年次休暇はもちろんのこと、結婚休暇、ボランティア休暇、育児参加休暇、保育休暇などさまざまな特別休暇があり、民間企業と比べても多彩といえます。

さらに、基本給とは別に支給される手当も多種多様で、勤務地によっては特別な手当が支給されることもあります。

教師特有の手当も存在し、例えば、災害時の緊急業務や引率指導業務、部活動の指導に従事した際に支給される「教員特殊業務手当」や、学年主任などの役職についた際に支給される「教育業務連絡指導手当」などがあります。

ただし、教師の給与には給与月額の4%が教職調整額として含まれるため、残業代となる「時間外勤務手当」は支給されません。

私立学校で働く場合は、各学校が独自の福利厚生を定めており、公立学校よりも待遇が充実している場合もあります。

ただし、具体的な内容は学校ごとに異なるため、求人情報などを確認することが大切です。

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教師の給料・年収の特徴

民間より多くの給料が得られるケースも

教師の給料は、一般的に高水準とされています。

国税庁が発表した「令和3年度民間給与実態統計調査」によれば、民間企業で働く人の平均年間給与は約443万円とされています。

それに対して、教師の平均年収は約450万円から650万円程度とされており、教師の中には他の職業に比べて収入が高いといえる人も多くいます。

特に公立学校の教師は、優れた待遇を得られることもあり、これが教師の職業の安定性と高収入の印象を持たせる一因となっているでしょう。

業務量と給料が見合わないという声も多い

ただし、額面だけを見て「教師は高収入」とは言い切れない面もあります。

公立学校の教師には残業代が支給されていません。

背景には給与の一部が「教職調整額」として既に含まれているという事実があります。

そのため、残業が増えるほど報酬が見合わないと感じる教師が多いのです。

教師の業務は非常に多岐にわたり、教科指導から生活指導、部活動の顧問、進路相談、保護者対応、行事の準備など、多忙な日々を送っています。

また、生徒一人ひとりに対して個別に配慮し、熱心に指導しようとする教師ほど、授業の準備や対応に時間を費やし、長時間労働となりがちです。

教師の給与は、その多岐にわたる業務に見合ったものであるべきとの声も多く、改善を要望する人も非常に多いです。

教育は社会にとって極めて重要な役割を果たしていることから、その仕事量に応じた報酬が支払われるべきであるという意見も根強く、給与についての公的な議論や改善策の検討が急務とされています。

教師の正社員以外の給料・年収

教師は、正規雇用以外にも「臨時教員」として、または「非常勤講師」としても働くことができます。

臨時教員は正確には「臨時的任用教員」と呼ばれ、正規採用された教員に準ずる勤務条件(常勤)で働きます。

これには授業担当や校務分掌(校内の役割分担)、部活動の顧問などが含まれ、給料も正規雇用の教師と同等です。

一方、非常勤講師は、特定の時間帯に授業を担当することが大きな特徴です。

非常勤講師の給与は通常「時給制」であり、週に担当する授業時間数または勤務時間に応じて支給されます。

1時間あたりの報酬は通常2,000円から3,000円程度で、地域や保有する免許の種類などによって異なることがあります。

臨時教員と非常勤講師は、教育機関が一時的な需要や特定の科目の担当者を求める際に活躍することが多い職種で、柔軟な働き方ができます。

一方で、正規雇用に比べて安定性に欠け、福利厚生も異なることがあります。

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教師が収入を上げるためには勤続する

公立学校の教師は、地方公務員として採用され、通常は年功序列制度が適用されます。

つまり、勤続年数が増えるごとに給料が上昇するため、長く勤務することで収入が増えていきます。

また、管理職に昇進すると、職階に応じた手当を受けることができます。

教師が収入を増やすためには、正規雇用の教師としての経験を積み重ね、信頼を築きながら管理職を目指すことが一つの道です。

私立学校の場合、給与は個々の経験やスキルに応じて異なります。

教育に関する幅広い専門知識や高い指導力を持っている場合、公立学校よりも高待遇で雇用されることもあります。

私立学校では、教育機関ごとに給与設定が異なるため、教師自身のスキルと経験が収入に大きな影響を与える場合が多いです。

教師の年収のまとめ

公立学校の教員の給料は、地方公務員と同程度です。

とりたてて高給ではないものの、景気に左右されにくいため、退職を迎えるまで安定した収入を期待できます。

一方で、教員には残業手当が付かない点に注意が必要です。

長時間の労働や残業が続いても、支給されるのは給与の4%に限られますので、教員の中には労働時間に見合っていないと考える人も多くいます。