中学校教師(中学校の先生)の年収・給料はいくら? 初任給や手取り額も解説
また、これから教師を目指したい人にとっては、初任給や手取り額はどうなのかも気になるところです。
ここでは、中学校教師の給料について詳しい数字を踏まえながら解説します。
将来の進路選択に役立ててみてください。
中学校教師の平均年収・給料の統計データ
中学校教師の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和4年度賃金構造基本統計調査によると、中学校教師の平均年収は、42.5歳で740万円ほどとなっています。
・平均年齢:42.5歳
・勤続年数:11.4年
・労働時間/月:174時間/月
・超過労働:4時間/月
・月額給与: 464,600円
・年間賞与: 1,822,000円
・平均年収: 7,397,200円
出典:厚生労働省「令和4年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
また、総務省の令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要によると、小・中学校教育職の平均給与月額は、41.8歳で408,337円となっています。
この金額は、平均給料月額350,722円に、諸手当57,615円を加算したものです。
・平均年齢:41.8歳
・平均給料月額:350,722円
・諸手当月額:57,615円
・平均給与月額:408,337円
中学校教師の手取りの平均月収は32~33万円
中学校教師の給料は、平均年収が700万円で、月に支給される給料は40万円ほどとされています。
しかし、実際に手に入る年収は560万円ほどで、月の手取りは32~33万円程度と考えられます。
ただし、この数字は「小・中学校教育職」というカテゴリーに含まれる小学校教師や幼稚園教諭も含んでいるため、中学校教師だけに関する正確な数字ではありません。
また、公立学校で働く中学校の先生は地方公務員として扱われます。
そのため、給料は各自治体が定める給料表に基づいて支給されます。
したがって、勤務する地域によって手取り給料には違いが出ます。
さらに、各種手当も自治体の条例に基づいて支給されます。
一般的な公務員の手当としては、「扶養手当」「住居手当」「通勤手当」「期末・勤勉手当(ボーナス)」などがあり、ほとんどの場合、これらの手当を受けることができます。
中学校教師の初任給は22~26万円
中学校教師の初任給は、採用される自治体や学歴、勤務する学校の種類、年度などによって異なります。
全国的に見ると、22万円から26万円ほどが一般的な範囲とされています。
例えば東京都では、新卒者が都内(島しょ地域を除く)の中学校に採用された場合の初任給(2023年4月1日現在)は、次のようになります。
短大卒:約234,100円
初任給とは、月給に加えて教職調整額、地域手当、義務教育等教員特別手当、および給与の調整額(該当者のみ)を合算した金額のことです。
さらに、扶養手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当などのさまざまな手当も規則に基づいて支給されます。
また、離島などの特別な学校で働く場合は、別途手当などが規則に基づいて支給されます。
中学校教師の勤務先の規模別の年収(令和4年度)
中学校教師の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める中学校教師の平均年収は666万円、100〜999人規模は767万円、1,000人以上の規模では762万円、10人以上規模の事業所平均は740万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「小・中学校教員」で小学校教諭など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
中学校教師の勤務先の年齢別の年収(令和4年度)
中学校教師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の1,002万円です。
全年代の平均年収は740万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「小・中学校教員」で小学校教諭など他職業を含むデータです。
中学校教師の福利厚生は充実している
公立学校で働く中学校教師は、地方公務員としてさまざまな福利厚生が提供されています。
休暇制度に関しては、有給の年次休暇だけでなく、特別休暇も充実しており、民間企業の社員と比べても恵まれているケースが多いです。
さらに、基本給とは別に支給される手当もさまざまな種類があります。
教師に特有の手当としては、災害時の緊急業務や引率指導業務、部活動の指導に従事した場合に支給される「教員特殊業務手当」や、学年主任などの役職に就くと支給される「教育業務連絡指導手当」などがあります。
ただし、給与月額の4%は教職調整額として支給されるため、残業しても「時間外勤務手当」は支給されません。
私立学校の場合は、各学校ごとに定められた福利厚生が適用されますので、勤務する学校によって内容が異なります。
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中学校教師の給料・年収の特徴
安定した収入が望めるが、業務量は多め
公立の中学校の教師は、業務時間外に働くことが普通となっています。
特に担任を持っている教師や、活発な部活動の顧問や主任業務をしている教師は、非常に忙しい傾向にあります。
民間会社の調査によると、学校にいる時間は小・中・高校教員のいずれも11時間30分以上で、中学校教員の平均は12時間30分となっています。
勤務時間は年々増加傾向にあり、「教材準備の時間が十分にとれない」「作成しなければならない事務書類が多い」などの悩みを抱える教師も多くいます。
公立中学校の教師は公務員として働いているため、安定した収入が期待できますし、長い期間働くこともできますが、決して楽な仕事とは言えません。
実際に、仕事を家に持ち帰っている教師も少なくありませんし、サービス残業をしなければならない場合もあります。
残業代が支給されない
管理職以外の教員には「教職調整額」という手当が支給されます。
これは、通常の職業における「時間外勤務手当」と同様のものです。
教員の業務は、家庭訪問や学校外での教育活動など、時間で厳密に管理しにくいものが多いとされています。
そのため、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」に基づき、給料の月額の4%が教職調整額として支給されます。
ただし、この4%が妥当な金額なのかについては、現在も疑問の声が上がっています。
多忙で知られる教師は年々志望者が減少傾向にあることから、今後は10%程度に引き上げるという議論がなされています。
教師の給料は低めと感じる人もいる
教師の給料については、一般的には高いといわれていますが、実際には低いと考える人もいます。
確かに、公立学校の教師は同じ地方公務員の事務職などと比べると給料が高めです。
しかし、教師といっても、学校によって指導のスタイルや雰囲気が異なります。
一部の学校では穏やかな雰囲気で指導が行われる一方で、生活指導に力を入れなければならない学校も存在します。
そのため、仕事の大変さは大きく異なるのが実情です。
また、教師は教科や生活指導に加えて、保護者対応や行事の運営、部活動の顧問など、さまざまな業務を担当しています。
これらの業務内容や心労を考慮すると、教師の給料は高いとは感じられないかもしれません。
人によっては給料が低いと感じることもあるでしょう。
中学校教師が収入を上げるためには?
公立学校の教師は地方公務員として雇用されるため、勤続年数が増えると給料も上がっていきます。
さらに、指導教諭、主幹教諭、教頭、校長などの管理職に昇進することで、職階に応じた手当を受けることができます。
中学校教師が収入を増やすためには、長期間にわたって教師として勤め、経験や実績を積み重ねながら管理職を目指すことが一般的な方法です。
また、まれではありますが、教育に関する広範な専門知識や優れた指導力を生かして、より待遇の良い私立学校で働く道を選ぶ人や、別の教育関連の職種に転職する人も存在します。
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中学校教師の年収のまとめ
公立学校の先生は地方公務員として働き、勤続年数が増えると給料も上昇します。管理職になれば手当も加算されます。
初任給や手取り額は、経験や地域によって異なりますが、平均的な数字を見ると、年間300万円前後で、手取り額は約200万円程度となります。
ただし、教師としての給料は仕事の大変さや責任を反映しているため、高いとは言えません。
教育に情熱を持つ人々が、給料以上のやりがいや充実感を感じることができる職業とも言えるでしょう。