中学校教師と高校教師の違いとは? 仕事内容や年収の違いについて解説
中学校教師は生徒の思春期に寄り添い、総合的な指導や生活指導に力を注ぎます。
一方、高校教師は専門的な教科を深く掘り下げ、授業や試験に重点を置く傾向があります。
教師としての役割や仕事内容の違いを理解し、自身の教育スタイルや適性に合った校種を選択しましょう。
高校教師と中学校教師の仕事内容の違い
高校は生徒の自主性を尊重
中学校と高校のどちらも、生徒の未来を担い、担当教科を指導する役割は同じです。
ただし、生徒の年齢によって学習内容や教育方法には違いがあります。
高校は義務教育ではないため、生徒は自分の意志で学びに来るととらえられます。
とくに高校生は自立心を育む時期であり、大人になるための段階です。
そのため高校では、生徒たちが自主的に行う活動(例:文化祭や生徒会活動)が増え、教師の負担が軽減されます。
また、問題を起こした生徒には適切な処置が取られます。
ときには厳しい措置(例:謹慎や退学)を通じて、社会で「大人」として責任を持つことを教えることもあります。
中学校は人間性を育てることも重要
中学校は、公立と私立の違いによって雰囲気が大きく異なります。
公立中学校では、学区内の生徒が入学し、学力や小学校からの人間関係によってクラスや学年の雰囲気が形成されるため、指導が難しい場面もあります。
一方、私立中学校に通う生徒は受験を経験しており、学力的な差はあまり大きくありません。
ただし、いくつかの私立中学校では高校や大学への進学がスムーズに進むため、学習面でのんびりした態度や教師との関係が友達感覚になる傾向が見られることもあります。
しかし、中学校は公立・私立を問わず義務教育の一環です。
生徒たちが自立し、基本的な学力や社会のルールを身につけるための教育をていねいに行うことが中学校教師の重要な役割です。
そのため多くの中学校教師は、生徒に寄り添いながら良い人間性を育てることを目指しています。
高校教師はより専門的な知識が必要
中学校教師は、中学校の主要教科全般を幅広く担当し、場合によっては一人の教師が複数の教科を指導することもあります。
一方、高校教師は専門科目や一般教養科目を担当しますが、中学校に比べてより専門的な知識と教育力が求められる傾向があります。
例えば、社会科として「地理」「歴史」「公民」といった教科があり、それぞれ専門の教師が担当することが一般的です。
さらに、高校では専門的な学びが提供されるため、農業科、工業科、商業科、水産科、家庭科、看護科、福祉科、情報科などの専門科目がある学校もあります。
この場合にも、それぞれの領域に特化した教師が指導を担当します。
20代で正社員への就職・転職
教員になるにはそれぞれの免許状が必要
教員は、自身が担当する教科や学校の種類に応じた免許状を取得する必要があります。
例えば、中学校の免許状を持っていても、高校で教壇に立つためには高校の免許状が必要です。
教員免許状を取得するためには、文部科学省が定める科目と単位数を履修する必要があります。
教職課程を提供している大学では、「一種免許」(短大では「二種免許」)を取得するための授業を設けています。
中学校と高校では、最低修得単位数の合計は67単位(一部の教科ではさらに多くの単位が必要)ですが、内訳は異なります。
具体的な単位数や科目は、教育機関や免許の種類によって異なるため、どちらの教師を目指すかをあらかじめしっかり定めておく必要があります。
多くの教員が中学・高校の免許を取得している
高校教師と中学校教師、いずれも教壇に立つには免許状を取得する必要があります。
免許状は、高校の教員免許と中学校の教員免許に共通する要素が多いため、多くの人々が両方の免許を取得しています。
教育実習も、中学校または高校のどちらかで行うことが一般的です。
ただし、中学校教員免許と高校教員免許の両方を取得する場合、教育実習の期間が通常よりも長くなることがあります。
資格を取得する際には、どの校種でどれくらいの期間の実習を行う必要があるかを確認することが重要です。
20代で正社員への就職・転職
大学や大学院に進学して教職課程を学ぶ
教員免許を取得するためには、高校教師や中学校教師のいずれも大学または大学院に進学する必要があります。
大学においては、教育学部や教育学科を選択することが一般的ですが、専攻や学部の選択は個別の大学によって異なり、教育学部や教育学科でなくても取得は可能です。
教員免許を取得するためには、教育学部や教育学科のカリキュラムを履修し、教職課程の科目を修める必要があります。
大学の学費に関しては、国公立大学の場合は4年間で約250万円前後が一般的です。
一方、私立大学では年間の授業料だけでも100万円以上かかる場合があります。
中学・高校のどちらも自治体で定めた給与体系
公立の場合、中学校や高校で働く教師は地方公務員となり、各地方自治体の給与体系が適用されます。
教師の給与は基本的に年功序列で、勤務年数が増えるに従って昇給します。
一般的に、40歳を超えると年収は700万円を超えることがあります。
公立学校の教師にはボーナスも支給され、福利厚生も充実しています。
ただし、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)により、残業手当はあらかじめ月給の4%ほどが上乗せされるだけであり、休日出勤手当も支給されません。
そのため、部活動の顧問などで精力的に活動する場合、報酬が十分に反映されないと感じることもあるでしょう。
一方、私立学校では、各学校が独自の給与体系と待遇を定めており、公立学校とは異なる給与体系が適用されます。
高校教師と中学校教師はどっちがおすすめ?
高校教師と中学校教師の一番の違いは、指導する生徒の年齢層と、義務教育であるかどうかです。
高校は義務教育の範囲外であるため、生徒たちは自ら進んで学びに来ていると考えられ、高校教師は自分の担当教科に特化した指導や授業に力を入れることができます。
一方、中学校教師は生徒たちに寄り添った指導や生活指導に重点を置くことが求められます。
どちらの道を選ぶかは、自身の教育スタイルや志向性によります。
自分の担当教科を深めたい、授業に力を入れたいという人には高校教師が適しています。
一方、生徒に寄り添った指導や生活指導に力を入れたいという人には中学校教師が適しているでしょう。
中学校教師と高校教師の違いのまとめ
中学校教師と高校教師は、指導する生徒の年齢や義務教育かどうかといった点で違いがあります。
中学校教師は中学生を対象とし、生徒に寄り添った指導や生活指導に力を注ぐ役割が求められます。
一方、高校教師は高校生を対象とし、自分の担当教科に特化した指導や授業に重点を置くことができます。
選択する校種によって教師の役割や指導スタイルが異なるため、自身の教育スタイルや考えに合った選択をすることが重要です。
どちらを選ぶにせよ、教師としての責任は生徒の成長と未来を担うことにあります。