高校教師の年収・給料は高い? 初任給や手取りについても解説
ただし、給料の仕組みは公立学校と私立学校でも異なります。
この記事では、高校教師の給料・年収の特徴について、初任給やボーナスを含め、統計データを通じてその実態を解説します。
高校教師の平均年収・給料の統計データ
高校教師の平均年収・給料について、統計データをもとに説明します。
高校教師の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、高校教師の平均年収は44.1歳で699万円となっています。
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
高校教師の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
高校教師の年収が500万円だとすると、厚生労働省の統計調査によれば、ボーナスは年間でおおよそ3.8か月分です。
これに基づくと、月額総支給額は31万円であり、年間で約110万円のボーナスが支給されていると推定されます。
東京都で働く高校教師で、独身の場合、交通費などを除いて考えると、手取り額は月に25〜26万円ほどになる見込みです。
日本人全体の平均年収が約460万円といわれていることから考えると、一般的な職業に比べて高い給与水準であるといえるでしょう。
高校教師の初任給はどれくらい?
高校教師の新卒者の初任給は、地域によりますが23~25万円ほどが目安です。
たとえば、東京都の公立学校教師(教育職)の初任給は、以下のように定められています。
- 大学卒:約265,100円
- 短大卒:約244,700円
出典:令和6年度東京都公立学校教員採用候補者選考(7年度採用)実施要綱
私立学校の教師に対する給料は、各学校が独自に定めているため、学校ごとに異なります。
高校教師の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
高校教師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の916万円です。
全年代の平均年収は699万円となっています。
高校教師の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
高校教師の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める高校教師の平均年収は614万円、100〜999人規模は689万円、1,000人以上の規模では840万円、10人以上規模の事業所平均は699万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
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高校教師の福利厚生の特徴は?
ここでは、高校教師の代表的な福利厚生について紹介します。
各種手当が充実
公立学校での勤務の場合、高校教諭には以下のような手当が支給されます。
- 扶養手当
- 住居手当
- 通勤手当
- 期末手当
- 勤勉手当
このほか、以下のような手当もあります。
- 地域手当:勤務する地域に応じて支給される手当。地域の賃金や物価、交通事情などを考慮して決定される
- へき地手当:都市部を対象にした地域手当と、山間地や離島などのへき地に勤務する場合に支給される
- 特殊勤務手当:部活動や修学旅行、競技会などの引率業務を土日祝日に行った場合に支給される
- 定時制通信教育手当:定時制高校または通信制高校に携わる教員に支給される(給料月額の10%)
このほか、農業・工業高等学校の専門的な実習教科を担当する教師には、別途手当が支給されます。
このように、公立学校の手当は非常に充実していますが、残業手当は支給されません。
部活動の顧問になると部活動顧問手当が支給されるものの、土日祝日などの休日に仕事がある場合でも、1,200円程度しか支給されません。
そのため、部活動の顧問は、経済的な見返りとしては十分なものでないと考える教師もいます。
その他の福利厚生
その他の福利厚生として、共済組合制度、教職員互助会制度、健康管理(健康診断・人間ドック)などがあります。
詳しくは、各都道府県の教員募集要項などを確認しておくとよいでしょう。
私立学校の場合は、各学校で福利厚生について定めています。
公立学校と同等の内容か、それ以上のものを定めている学校もあります。
高校教師の給料・年収の特徴
ここからは、高校教師の給料・年収の特徴を紹介します。
特徴1:給料には「給料表額」と「教職調整額」がある
教員の給料には給料表額と教職調整額が含まれています。
給料表額は、教員の給与体系である等級と号給に基づいて決まります。
教職調整額は、管理職以外の教員に支給される特殊な手当です。
これは一般的な職業の時間外勤務手当に相当し、教員の特殊な業務の性質を考慮して設定されています。
教職調整額は給料月額の4%が支給されますが、この数字が適切かどうかには議論があり、近年の教師不足を受けて増額も検討されています。
特徴2:給与はあらかじめ決められている
公立学校、私立学校ともに教師の給与体系は、基本的に年功序列に基づいており、勤続することで給料が徐々に増えていきます。
給与が事前に定められているため、自分の努力や実績によって給与を上げることはできません。
民間企業で見られるようなインセンティブ(出来高制)は存在しないため、教師がいくら頑張っても給与に反映されず、努力が評価されないと感じる人もいます。
特徴3:景気や地方情勢に左右されることも
公立の高校教諭の基本給料は、年齢や役職に応じて変動し、副校長や校長になると、給料が増える傾向があります。
さらに、教育委員会からの推薦による昇級によっても給料が上がる場合があります。
ただし、公立学校の教師は公務員と同様の待遇を受けるため、景気や地方情勢によっては年収が左右されてしまいます。
経済の好況や地方の活気がある場合には、自治体の予算が増加し、給与水準も向上する傾向がある一方で、不況や地方の経済状況が低迷している場合には、給与が削減されることがあります。
また、地域の人口減少や学生数の減少など、地方の状況に応じて教職員の配置や採用数が調整されることもあります。
これによって、給与の増減や待遇に影響が出る場合があります。
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高校教師が収入を上げるためには?
高校教師として働く中で、さらに収入を上げたいと考えた場合、どのような方法があるのかを紹介します。
努力しても短期で年収は上がりにくい
教師の給与はあらかじめ定められているため、個人の努力だけでは変えることはできません。
基本的には年功序列に基づいており、給与を増やすためには長期間にわたって教職に従事し続け、経験を積んでいくことが重要です。
また、学年主任や管理職に昇進すると、主任手当や管理職手当などが付与され、給与がさらに増えることもあります。
副業は基本的に禁止
教師は基本給が上がりにくいため、副業を考える人も多いかもしれません。
しかしながら、公立学校の常勤教師は基本的に副業が禁止されています。
教師の職務は教育に専念し、学校教育の質を確保することが求められるため、副業の制限があるのです。
ただし、教育委員会に申請をし、本業に支障がないと教育委員会が認められた場合に限っては副業をすることも可能です。
とはいえ、教育に関する内容でなければ許可が出ないなど、民間企業よりも副業についての考え方は厳しめです。
私立学校の場合は各学校のルールや契約条件によって異なるため、就業規則をしっかり確認する必要があります。
「高校教師の年収・給料」まとめ
高校教師の年収・給料は、一般的には他の職業と比べて高めの水準にあります。
ただし、給与体系は年功序列が主要な要素となっており、公務員としての待遇を受けるため、景気の影響によって給料やボーナスが変動することもあります。
給与アップには勤続年数や役職の昇進が重要ですが、教師の給与は自身の努力だけでは上げることが難しい部分があります。