国家公務員の年収はいくら? 給料についてくわしく解説
それだけ多くの人数がいる国家公務員ですが、給料・収入はどのような仕事に携わるかや、経験年数、職務階級などによっても異なります。
この記事では、国家公務員の給料・年収の特徴や、福利厚生、初任給などについて、各種データも紹介しながら解説しています。
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国家公務員の平均年収・給料の統計データ
国家公務員の平均年収・月収・ボーナス
国家公務員給与実態調査
国家公務員の給料は、法令によって「行政職」「税務職」「公安職」などの職種(俸給表)ごとに詳細が定められています。
「令和4年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、給与法等の適用を受ける国家公務員全体の平均給与月額は、413,064円(平均年齢42.5歳、平均経験年数20.7年)となっています。
これは「俸給」といういわゆる基本給に、地域手当や寒冷地手当、本府省業務調整手当等を加えた額です。
また、最も多くの人が該当する「行政職俸給表(一)」の俸給表の平均給与月額は、405,049円(平均年齢42.7歳、平均経験年数20.7年)です。
出典:人事院給与局「令和4年 国家公務員給与等実態調査報告書」
国家公務員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
給与体系は民間の給与水準を基にして毎年更新されるため、基本的には不況が続けば引き下げられ、景気が良くなると引き上げられます。
国家公務員全体の平均年収は600万円~700万円前後で推移しており、民間企業の平均年収が420~430万円程度であることを考えると、それよりもだいぶ高水準となっています。
公務員は年齢が上がると給料も増えるため、長く働くほど多くの収入が見込めるようになります。
もちろんボーナスの支給もあります。
公務員のボーナスは「勤勉手当」と「期末手当」の2種類から成り立っており、それぞれの手当が年に1回ずつ、合計で年に2回の支給があります。
ボーナスが何か月分支給されるかは、民間企業(従業員数が50人以上いる事業所)の給与やボーナス状況を基に決められます。
令和4年度は、年間で月給の4.3月分が夏・冬に支給されました。
国家公務員の初任給はどれくらい?
国家公務員の給料は「俸給表」によって定められており、初任給は学歴や採用区分によって違いがあります。
たとえば、令和4年4月に採用された人の初任給(行政職俸給表(一))は、総合職(院卒)で216,000円、総合職(大卒)で189,700円、一般職(大卒)で185,200円、一般職(高卒)で154,600円となっています。
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国家公務員の給料・年収の特徴
年功序列の要素がある
国家公務員の給料は、基本的に民間の水準から大きく外れた設定になっているわけではありません。
しかしながら、年功序列の給与体系でもあるため、勤続年数が長くなってくると、民間に勤務する会社員よりも高額な年収が得られるケースが多いことが特徴です。
国家公務員には退職金の支給もあり、定年退職の場合、平均で2000万円を超える支給がなされています。
こうした点から、生涯所得は民間企業で働く人を大きく上回る場合が多いでしょう。
採用区分によって出世に大きく差が出る
国家公務員の特徴として、どの区分で採用されたかによって、その後の出世に大きな差が出ることが挙げられます。
たとえば同じ大卒の人であれば、総合職と一般職の初任給の差にはほとんど差はありません。
しかしながら、総合職が若いうちからどんどん出世していくのに対し、一般職では出世スピードもやや遅めで、就ける役職にも限界があります。
国家公務員の給料は年齢だけでなく、階級や役職によっても決まってくるため、総合職の人の年収はとくに高くなりやすいです。
国家公務員の俸給表・給与表とは
「俸給」とは何か
国家公務員の給料は「月額給与(俸給)」と「諸手当」で成り立っています。俸給は、法律で定められた「俸給表」に沿って支払われます。
「俸給」という言葉に馴染みのない人もいるかもしれませんが、これは国家公務員に対して支払われる給料のことを意味し、諸手当は除く、いわゆる「基本給」のことを指します。
国家公務員の俸給表は、携わる職務の種類などによっていくつもの種類に分かれています。
各俸給表において、さらに経験年数や役職ごとに支給される額が決定します。
なお、公務員であっても、地方公務員については国が定める俸給表ではなく、地方公共団体ごとに定められた「給料表」というものによって給料が決定されます。
俸給表のしくみと種類
国家公務員の給料は、俸給表における「級」と「号給」の組み合わせで決定されます。
横軸にある「級」とは、職務の複雑さや困難さ、責任度合いによって区別されます。級が上がることを「昇格」といいます。
縦軸にある「号給」とは、同一の級をさらに細分化するもので、職務経験年数による職務の習熟度が給与に反映されます。号給が上がることを「昇給」といいます。
この、横軸と縦軸が合わさったところが、支給される給料の額となります。
俸給表の改定について
国家公務員の給与は、毎年民間の給与水準を調査したうえで、それに準拠する形で決められるものとされています。
人事院は、国会や内閣に対して給与等に関する勧告を行うこととなっており、これに基づいて政府が給与法改正案を国会に提出し、議会で可決されると、職員の給与改定が行われます。
国家公務員の福利厚生の特徴
国家公務員の福利厚生は充実しているといわれることが多くあります。
手当については、職務に関連するものから職員の生活を支えてくれるものなどまでさまざまなものがあります。
具体的には「扶養手当」「通勤手当」「住居手当」「単身赴任手当」「地域手当」「特殊勤務手当」などがあり、勤務地や職務などによって、該当する手当が基本給とは別に支給されます。
休暇制度は、大きく分けて「年次休暇」「病気休暇」「特別休暇」「介護休暇」があります。
なかでも特別休暇はボランティア活動、選挙権等公民権の行使、官公署への出頭、子の看護など、さまざまな理由で取得できる休暇制度となっています。
その他、官舎・宿舎の利用、公務員の共済組合への加入、退職時には勤続年数や退職理由の別に応じた「退職金」の支給など、さまざまな福利厚生が整っています。
福利厚生の面で、大きな不安を感じることはほとんどないはずです。
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国家公務員が収入を上げるためには?
国家公務員は、専門性の高い仕事や特殊な職務に就いたり、役職が上がったり、勤続年数が長くなって40歳や50歳を超えてきたりすると、民間に勤務する会社員よりも高額な年収が得られるケースが多いです。
「官僚」や「キャリア」といわれる国家公務員総合職では、出世すると年収1000万円を超える人も出てきます。
なお、高卒でキャリア官僚になるのはかなり厳しいのが現実です。
国家公務員として高収入を望むのであれば、難関大学へ進み、はじめから出世しやすい職種を選ぶほうがよいでしょう。
ただし、高い給料が期待できる立場になると、それだけ難易度が高く、責任の重い仕事を任される可能性があります。
楽に高い給料が得られるわけではないため、苦労や厳しいことも受け入れ、乗り越える覚悟が必要です。
公務員の年金(共済年金 遺族年金)
「年金」という言葉は誰もが一度は耳にしたことがあるでしょうが、国家公務員の年金制度については、あまり一般的に知られていない部分もあるようです。
ここでは、国家公務員の年金のしくみについて紹介していきます。
国家公務員の年金のしくみ
日本の公的年金制度は、「基礎年金制度」と「被用者年金制度」の2種類の年金制度から構成されています。
このうち、「基礎年金制度」は「国民年金」のことをいい、全ての国民の加入が義務付けられています。
つまり、民間企業に勤める会社員も、自営業者も、公務員も、国民年金に加入するということです。
国民年金はまた、働き方等によって以下の3つの「種別」に分けられます。
- 第1号被保険者(自営業者等)
- 第2号被保険者(会社員、公務員)
- 第3号被保険者(第2号保険者の被扶養配偶者)
続いて「被用者年金制度」ですが、こちらに関しては近年大きな改正があったため、その点も併せて紹介します。
2015年9月30日までは、身分によって加入する年金が異なっていました。
具体的には、民間企業の会社員であれば「厚生年金」に、公務員や私学の教職員は「共済年金」に加入。
また、共済年金は「国家公務員共済組合」「地方公務員等共済組合」「私立学校教職員共済」の3種類が存在していたのです。
しかしながら、厚生年金よりも公務員が加入する共済年金のほうが優遇されている、という意見は以前から挙がっていました。
結果的に、現在の世の中で制度の安定性を高めること、年金制度の公平性を確保する目的から、2015年10月より被用者年金制度の一元化が開始され、全ての被用者は厚生年金に加入することになりました。
それによって、厚生年金は以下の4つの種別に分けられます。
- 第1号被保険者(会社員)
- 第2号被保険者(国家公務員)
- 第3号被保険者(地方公務員)
- 第4号被保険者(私立学校の教職員)
話をまとめると、現在の国家公務員は「国民年金」および「厚生年金」に加入します。
年金給付に関しては、1階部分となる「老齢基礎年金」が国民年金から定額で、2階部分となる「退職共済年金」が厚生年金から、加入者の報酬に基づいて算定、支給されることになります。
遺族年金とは
病気や不慮の事故等によって、国家公務員として働いていた人が他の家族より先に亡くなった場合には、遺族に対して遺族年金(遺族厚生年金)が支給されます。
- 配偶者と子
- 父母
- 孫
- 祖父母
※これらのうち、最も先順位者に該当する人のみが遺族として認定されます。
ただし夫、父母および祖父母については、死亡当時に55歳以上であること、子と孫については、次のいずれかに該当する必要があります。
(2)組合員または組合員であった方が死亡した当時から引き続き障害等級が1級または2級に該当する障がいの状態にある20歳未満の未婚の方
遺族年金に関しても、2015年9月30日までは「遺族共済年金」という名称でしたが、同年10月1日からは「遺族厚生年金」に変更となっています。
国家公務員の退職金・退職手当・定年
退職手当について
国家公務員が退職をすると、国家公務員退職手当法に基づいて、手当金が支給されます。
退職手当金の計算方法は、以下の通りです。
「基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額」
このうち、俸給月額とは「俸給表の額」と「俸給の調整額」の合計額をいいます。ここに地域手当や扶養手当等の諸手当は含まれません。
定年退職の場合の支給率は、人事局が発表する「国家公務員退職手当支給早見表(平成26年7月1日以降の退職)」によると、勤続年数20年で25.55625、25年で34.5825、30年で42.4125、35年以上は一律49.59となっています。
参考までに、平成25年度の退職理由別、退職手当の支給状況は以下の通りです。
常勤職員
退職者数:3万4527人 平均退職手当1187.2万円
<内訳>
定年:1万3463人、2294.9万円
勧奨退職:750人、3609.1万円
応募認定退職:745人、2681.7万円
自己都合:1万291人、344.7万円
その他:9278人、198.3万円
定年は何歳?
国家公務員の定年は、国家公務員法によって「原則60歳」と定められています。具体的には、60歳に達した日以後における最初の3月31日が定年退職日となっています。
ただし、次に該当する職員に関しては、定年の年齢が別途定められています。
- 病院、療養所、診療所等に勤務する医師、歯科医師等:65歳
- 守衛、巡視、用務員、労務作業員等:63歳
- 事務次官等:62歳
ただし、その職務の特殊性や職務遂行上の特別の事情が認められる場合には、特例として、定年退職日以降も引き続いて一定期間、同じ職務を担うこともできます(1年以内。人事院の承認を得ることで、1年以内で最大3年間まで期限の延長が可能)。
なお、臨時的職員や、法律により任期を定めて任用される職員、常時勤務を要しない官職を占める職員(非常勤職員)に関しては、定年法が適用されません。