公務員の平均年収はいくら? 給料相場をくわしく解説

公務員の年収は、志望者だけでなく世間からも関心を寄せられています。

公務員の給与は、一般的には安定感があるとされ、多くの人が魅力に感じるところです。

この記事では、公務員の給与について詳しく解説し、どのように給与が決定され、どの職種や経験に応じてどのくらいの年収が期待できるのかについて解説します。

公務員の平均年収・給料の統計データ

公務員の平均年収・月収・ボーナス

国家公務員地方公務員たちは、給料をもらうために決まったルールに従っています。

このルールは法律で定められており、俸給表(給与に関する表)に基づいて支給されます。

「行政職」「税務職」「公安職」などの職種(仕事の種類)によって異なる俸給表があり、それに応じて給料の額も違います。

国家公務員の場合、平均的な給料は約417,683円(平均年齢43.1歳、平均経験年数21.3年)です。

ただし、場所や特別な条件に応じて、給料にボーナスなどのさまざまな手当がつきます。

地域手当や寒冷地手当、特別な業務に関連する手当などがそれに当たります。

地方公務員も同様で、給料は各地域の自治体(市や町などの地方政府)が決めたルールに基づいて支給されます。

大都市や特別な地域では、給料が一般的な地域よりも高いことがよくあります。

ただし、具体的な給料は、勤務地や仕事の種類、働いている期間、担当する役職などによって変わります。

そして、給料は年度ごとに見直されることもあります。

最新の給料情報や詳細なルールについては、各公共機関や自治体のウェブサイト、関連する法律、労働組合などの情報源をチェックしましょう。

国家公務員の給料・年収
地方公務員の給料・年収

公務員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

国家公務員の平均年収は約600万円から700万円ほどで、これは民間企業の平均年収よりも高い水準です。

地方公務員も、都市部では平均年収が700万円を超える場所もあり、一般的な会社員と比べると給料は高いといえます。

しかし、過疎地域では平均年収が400万円未満の地域もあります。

具体的な手取り給与は、職種や配属先によってかなり異なりますが、おおよそ20万円から30万円ほどがボリュームゾーンといえます。

重要なのは、公務員の給料は年齢とともに増えていくことです。

公務員は長く働いてキャリアを積んでいくにつれ、収入も増える傾向にあります。

公務員のボーナスの金額は? いつもらえる?

公務員には「ボーナス(賞与)」の支給があります。

公務員は、年に2回ボーナスを受け取りますが、それぞれ「勤勉手当」と「期末手当」というという名前です。

勤勉手当は、仕事の成績評価に基づいて支給され、支給日は6月30日です。

期末手当は、勤務年数に応じて定率で支給され、支給日は12月10日です。

国家公務員のボーナスに関するルールは法律で定められており、地方公務員の場合は自治体によって異なることがありますが、ほとんどの自治体が国家公務員に合わせた支給日を採用しています。

なお、支給日が週末に当たる場合、平日に支給されることがあります。

支給日が休日(土曜や日曜)にあたるときには、その前の平日に支給されます。

ボーナスの支給額はどうやって決まる?

国家公務員は民間の調査を基に決定

公務員のボーナス支給は、国の機関である「人事院」が民間企業(従業員が50人以上いる場所)の給与やボーナス状況を調査することから始まります。

この調査の結果、毎年8月に「人事院勧告」というものが公表され、国家公務員のボーナスの金額が確定します。

つまり、公務員のボーナスは、民間企業のボーナスと大きな違いがないように調整されています。

そのため具体的な額(給料の何ヵ月分を支給するか)は、民間企業の景気の影響を受けて変動します。

基本的に、公務員のボーナスの支給額は、以下の計算式で決まります

(給料+地域手当+扶養手当)×支給月数

つまり、給与に加えて地域手当や扶養手当を合算し、それを支給される月数で掛け算して支給額が計算されます。

地方公務員は国家公務員の金額を基に決定

地方公務員のボーナスの決め方は、自治体によって異なりますが、ほとんどの自治体は国の機関である人事院が設定した支給月数と同じ数字を採用しています。

ただし、東京都や特別区のような一部の自治体では、人事院が設定した支給額よりも0.1カ月分多く設定されることがよくあります。

一方で、財政状況が悪い自治体では支給額が減少することもあります。

また、その地域で自然災害が発生した場合、支給額が下がる傾向があります。

これは、自治体の予算が災害対応に必要な資金を確保するために削減されるためです。

その結果、自治体によって年間でボーナスにおいて約100万円ほどの違いが生じることもあるようです。

公務員のボーナスは民間よりも多い?

公務員は、民間よりもたくさんのボーナスがもらえるというイメージを持つ人もいるようです。

しかし、実際には以下のポイントに留意する必要があります。

公務員のボーナスは、民間企業の給与やボーナスに関する調査結果を元に、大まかな支給額が決定されます。

つまり、公務員が特別に高額なボーナスを受け取るわけではありません。

また、民間企業のボーナス額は企業の規模や業種によって大きく異なります。

一部の企業ではボーナスが年に1回しか支給されないこともある一方で、業績に連動して支給されたり、個人の成果に応じて変動する場合もあります。

要するに、公務員のボーナスは安定性があるものの、一般的には民間企業と比較して高額ではありません。

ただし、個々の公務員の給与は役職や勤務地によって異なり、一律ではないことに注意が必要です。

公務員の初任給はどれくらい?

国家公務員の給料は「俸給表」によって定められており、初任給は学歴や採用区分によって違いがあります。

国家総合職として働く場合には東京(霞が関)に勤務することが多く、東京都特別区の地域手当が(俸給の20%が月毎に)加算されます。

国家公務員総合職の大卒初任給は186,700円に20%加算され、224,020円程度、院卒の場合は213,000円に20%加算され、255,600円になるのが通常です。

厚生労働省「令和3年 賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の初任給は月額22万5400円、高卒は17万9700円であるため、一般的な新卒者の平均的な初任給よりも、国家公務員の初任給はやや高いと言えそうです。

なお、地方公務員の給料は、自治体ごとの給料表によって定められています。

参考:東京都 職員採用 勤務条件

公務員の福利厚生の特徴は?

公務員の労働条件や福利厚生は法律によって定められています。

各種手当

公務員はさまざまな手当を受け取ります。
これには職務に関連する手当から、生活を支えるための手当まで幅広い種類があります。

扶養手当、通勤手当、住居手当、単身赴任手当、地域手当、特殊勤務手当などが含まれ、公務員の給与を補完し、生活をサポートします。

各種休暇制度

公務員には休暇制度が充実しています。

主な休暇には、年次休暇(有給休暇)、病気休暇、特別休暇、介護休暇などが含まれます。

これらの休暇は、公務員が休息を取り、健康を維持し、個人のニーズに対応するために提供されます。

手厚い福利厚生

公務員には多種多様な福利厚生が提供されます。

官舎や宿舎の利用、公務員の共済組合への加入、退職時には勤務年数や退職理由に応じた退職金の支給など、公務員の生活を支えるための施策が整っています。

これらの要素は、公務員の働きやすさや生活の安定に貢献しており、福利厚生を魅力に感じ公務員を志望する人も少なくありません。

公務員の給料・年収の特徴

民間の状況に合わせて変動する

国家公務員の給与について、民間の給与水準を基準に決められるというしくみがあります。

これは、経済状況や社会状況に合わせて調整されるため、国家公務員の給与は景気状況に左右されることがあります。

不況が続けば給与が引き下げられ、景気が良くなれば引き上げられる傾向があります。

たとえば、2008年度からは民間の給与が低調だったため、国家公務員の給与も引き下げや据え置きが行われましたが、2014年度には民間の給与が上昇し、それに合わせて国家公務員の給与も引き上げられました。

また、地方公務員の給料は自治体ごとに決まりますが、基本的には国家公務員の給与内容を参考にして決定されます。

国家公務員の給与水準が変動すると、それに連動して地方公務員の給与にも影響を及ぼすことがあります。

さらに、公務員の給与には職種や役職、勤務地などに応じてバラつきがあります。

若い公務員は民間よりも低い給与で働くこともあり、高収入がすぐに期待できるわけではありません。

職種によって給料に違いがある

公務員の給料には、職種や職務内容、勤務地による違いがあります。

職種とリスク度

公安職(警察官、消防官など)や特殊職種は、命の危険を伴う任務を担当するため、高いリスクを背負っています。

そのため、これらの職種は高めの給与水準に設定されています。

専門性と資格

専門的なスキルや資格を持つ公務員は、その専門性に応じて給与が設定されます。

たとえば、医師弁護士といった専門職の公務員は、高い給与を受け取ることがあります。

役職

役職に応じて給与が変動します。

上級職や管理職の公務員は、通常、一般職の公務員よりも高い給与を受け取ります。

勤務地

勤務地によって地域手当や通勤手当などの手当が異なり、給与に影響を与えます。

大都市圏や特別区などで働く公務員は、一般の市町村よりも高い手当が支給されることが多いです。

このほか、経験を積んだり、勤務年数が増えると、給与に加算される要素もあります。

長く勤務すれば、給与が上がることが期待できます。

したがって、公務員の給与は多くの要因に左右され、職種や勤務地によって大きな違いが生じることがあります。

どの職種で働くかや、どの地域で働くかによって給与についても異なることがあることを考慮することが重要です。

公務員が収入を上げるためには?

公務員の給与は法律で定められており、基本的には民間の給与水準から大きく変わることはありません。

そのため、自分の努力で給料を上げることは難しいのが現状です。

ただし、専門性の高い職種や特殊な職務、役職の昇進、長期間の勤務経験などの要素によって、高額な年収を得ることができる可能性があります。

特に国家公務員総合職(官僚やキャリア)では、出世するにつれて年収が増え、一部の公務員は年収1000万円を超えることがあります。

しかし、公務員試験で採用された区分によって、出世には限界がある場合もあります。

そのため、将来的に高い給料を得たい場合、給与水準の高い職種を目指すことや、昇進の機会を活用することが重要です。

公務員の退職金はいくら? 年金はもらえる?

退職をするときには退職金が支給される

公務員の退職金とは

公務員が退職する際には、退職金(または退職手当)が支給されることが一般的です。

この退職金は、以下のような場合に支給されます。

定年退職

定年を迎えた際に退職する公務員に対して支給される退職金です。

通常、公務員の定年は60歳前後です。

公務外・公務上の死亡傷病退職

公務外の事情や公務上の死亡、傷病によって退職する場合に支給されます。

例えば、災害による死傷や病気などが該当します。

普通退職

自己都合や勤務期間が10年以下の場合の退職に関連して支給されます。

自己都合の場合、一般的に退職金の支給額は低くなることがあります。

ただし、懲戒免職などの処分を受けた場合には、原則として退職金は支給されません。

退職金の支給額は、勤務年数や給与に基づいて計算され、公務員の退職制度に基づいて決定されます。

支給額の計算方法は?

退職金の算出方法は、以下のように計算されます。

「基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額」

退職金の支給額は、公務員の給料や退職理由、働いた年数によって変わります。

基本額は、退職日にもらっていた月給(俸給月額)を、退職理由や勤続年数に応じた割合で掛け算します。

公務員の役職や仕事によって月給は異なり、高い役職ほど月給も高くなります。

調整額は、勤務中の貢献度を考慮したポイント(職責ポイントなど)に基づいて計算します。

職員のカテゴリーごとにポイントを合計し、それに一定の価値をかけて算出します。

ただし、退職理由によっては調整額がつかない場合や、制限があることもあります。

実際にはどれくらいもらえるの?

退職金の支給額は、個人の勤務年数、退職理由、役職などに大きく影響されます。

一般的には、国家公務員や地方公務員の多くが、60歳での定年退職時に2000万円以上の退職金を受け取ることができます。

ただし、具体的な支給額は個人の状況により異なり、特に長く勤務し高い役職に就いたり、優れた貢献をした場合には、それ以上の退職金を受け取ることもあります。

逆に、短期間での勤務や低い役職、退職理由によっては、支給額が低くなることもあります。

公務員は年金をもらえる?

公務員ももちろん年金を受け取ることができます。

日本の年金制度は、基本的に「基礎年金制度」と「被用者年金制度」の2つから成り立っています。

公務員の場合、最初に「基礎年金制度」として、すべての国民が加入しなければならない「国民年金」に参加します。

さらに、彼らは「被用者年金制度」として「厚生年金」にも加入します。

かつては、公務員は「共済年金」という制度に加入していましたが、この制度は民間企業の従業員が加入する「厚生年金」と比べて優遇されすぎていたため、批判を浴びました。

その結果、2015年10月1日以降、公務員も「厚生年金」に加入するように変更されました。

「厚生年金」に加入することで、自営業者などが国民年金だけに加入する場合よりも多くの年金を受け取ることができます。

年金の支給は基本的に65歳から始まりますが、公務員の多くは60歳で定年退職するため、その期間に収入が途切れないように、再雇用の「再任用制度」も提供されています。

公務員の待遇のメリットは? どんな手当がある?

公務員の待遇はよい?

公務員は昔から学生の就職先として非常に人気があります。

その理由の一つは、職場環境の安定性や社会的な信用度の高さだけでなく、「待遇が充実していること」が挙げられます。

民間企業の場合、各社で待遇が大きく異なり、一部の企業は非常に充実している一方で、待遇が不十分な場所も存在します。

それに対して、公務員の待遇は法律によって詳細に規定されており、内容も充実しています。

一度就職してからも、キャリアの進展や業務の変化、異動による勤務地の変更などがあるでしょう。

また、仕事だけでなくプライベートライフも変化することが考えられます。

そんな場面になっても、仕事と生活の質を向上させるためのさまざまな待遇が用意されており、長期間にわたって安心して働きやすい環境が整っています。

公務員の手当の種類

公務員にはいろいろな手当があります。

手当は、職務に関連するものから職員の生活を支えてくれるものなどまでさまざまであり、基本給とは別にお金で支給されます。

地方公務員の場合、手当の具体的な支給額や支給方法は、各地方公共団体の条例によって定めることとされているため、自治体によって異なります。

ここでは、代表的な公務員の手当を紹介します。

  1. 扶養手当
  2. 通勤手当
  3. 住居手当
  4. 単身赴任手当
  5. 地域手当
  6. 特殊勤務手当
  7. 寒冷地手当
  8. 夜間勤務手当
  9. 休日勤務手当
  10. 期末手当・勤勉手当(いわゆるボーナス)

その他の待遇

定年と退職金

定年と公務員の定年は、通常60歳ですが、今後段階的に引き上げられ、令和13年度には65歳になることが決まっています。

ただし、職種によっては異なる年齢が適用され、例えば65歳や63歳、あるいは自衛官のように50代の場合もあります。

定年に達した後、再雇用制度を利用すれば、数年間働き続けることができます。

また、退職時には勤続年数や退職理由に応じて退職金が支給されます。

最近では、退職金が減額される傾向がありますが、国家公務員や大規模な自治体では、平均して2000万円以上の退職金が支給されています。

休暇制度

公務員は休暇制度が充実しています。

国家公務員の休暇制度は、大きく分けて「年次休暇」「病気休暇」「特別休暇」「介護休暇」があります。

地方公務員の休暇制度は、各自治体ごとに定められた条例の内容が適用されますが、基本的に国家公務員の法律を根拠に制定されていることから、必然的に国家公務員のものと同様の形となっています。

年次休暇

民間でいう「有給休暇」にあたります。

1年当たり20日を超えない範囲で取得することができ、前年の繰り越し分は20日の範囲内で残日数取得することができます。

特別休暇

公務員は、この特別休暇が充実しているといわれます。

代表的な特別休暇の内容としては、以下のようなものがあり、仕事と家庭生活を両立させやすいさまざまな休暇制度があります。

  1. ボランティア休暇
  2. ドナー休暇
  3. 結婚休暇
  4. 産前休暇
  5. 産後休暇
  6. 保育休暇
  7. 妻の出産休暇
  8. 育児参加休暇
  9. 忌引休暇
  10. 夏季休暇
  11. 子ども看護休暇
病気休暇

病気やケガによって、その療養のために勤務することが難しい場合に取得できる休暇です。

休暇期間は、療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる必要最小限度について認められており、原則として90日までとなっています。

介護休暇

職員が、負傷や疾病、老齢により、2週間以上の機関にわたって日常生活を営むのに支障がある配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、孫、および兄弟姉妹を介護する場合に取得できる休暇です。

研修・留学

公務員は、職場や役割に応じて多種多様な研修機会が提供されています。

新入研修はもちろんのこと、管理職としてのトレーニングや英語会話などのスキル向上研修もあります。

一部の特殊な職種、例えば警察官や国税専門官の場合、専門学校に入学し、一定期間にわたって業務に必要な知識や技術を徹底的に習得することが求められます。

さらに、海外での勤務や出向、国家公務員総合職などの特定の公務員には、留学機会などを提供することで、多様な業務経験を積む機会も与えられています。

まとめ

公務員の給与は民間とさほど変わらない水準ですが、安定して収入が得られることや、各種福利厚生が充実していることがわかります。

こうした点から公務員に魅力を感じている人も大勢います。

仕事と生活を長期間にわたって両立させるために、安心して働きやすい環境が整っているといえるでしょう。