化粧品メーカーで働くには? 就職に強い大学や学部を解説
化粧品業界は常に進化し続けており、トレンドに敏感であること、また創造力が求められる環境でもあります。
この記事では、化粧品メーカーを目指すルートや、就職に有利な学歴について紹介します。
化粧品メーカーの採用試験を受ける
化粧品メーカーで働くためには、各企業が実施する社員採用試験を受け、採用される必要があります。
大手の化粧品メーカーでは、ほぼ毎年、大学卒業以上の学歴を持つ人を対象にした新卒採用を「総合職」として実施しています。
なお、総合職は「事務系」と「技術系」の2つの区分で採用されることが多いです。
以下で、各区分の特徴について紹介します。
事務系の採用
化粧品メーカーの総合職事務系は、営業やマーケティング、商品開発、企画、海外事業、広報など、入社後、さまざまな部門に配属されます。
事務系の職種は多岐にわたっており、新たにどのような商品を作るかを考えたり、顧客を開拓したり、さらには商品の受発注管理や、お客さまからの問い合わせに対応するような仕事に就く人もいます。
総務・人事・経理といった、組織そのものを支えるバックオフィス系の仕事を担当することもあります。
事務系の場合は、学部や学科に制限はなく、どのような学部や学科の出身者でも応募できます。
なお、百貨店などで専門の商品をお客さまに使ってもらう販売スタッフ「美容部員」は、正社員で募集されることは少なく、多くが契約社員やアルバイトとして雇用されています。
技術系の採用
化粧品メーカーの総合職技術系は、研究や生産技術などの仕事を担当し、理工学系の知識や技術を生かすことが求められるポジションです。
消費者のニーズを考え、他社の商品と比較したり素材を研究したりして、新たな商品を開発します。
商品開発においては、常に消費者の要望や流行を先読みする必要があり、調査などで消費者の意見を取り入れることもあります。
業務では専門的な知識が求められることから、通常、技術系の採用活動は化学や機械工学、電気・電子工学などの理工学系の学部や学科の出身者が対象となります。
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化粧品メーカーの採用活動の特徴
ここからは、化粧品メーカーの採用活動の特徴を紹介します。
特徴1.大手企業では定期的に新卒採用が実施されている
大手の化粧品メーカーでは、毎年、数十人単位で新卒社員を採用しています。
大学を卒業したばかりの新卒者は、採用区分(事務系・技術系)に応じて、各人の得意なことや能力を考慮した上で適切な部署に配置されます。
とくに企画や研究・開発の仕事は、化粧品メーカーにとって重要な役割を果たす職種です。
だからこそ、各社とも定期的に若い人材を採用し、じっくりと育てていくことに力を入れています。
営業部門も若手社員が多く配置される傾向にありますが、外資系メーカーでは、セールスの経験が豊富で即戦力となる中途採用を優先するところもあります。
特徴2.大手企業では難関大学・大学院卒が多く採用されている
大手の化粧品メーカーで働きたいなら、大学または大学院へ進学しておくのがおすすめです。
実際、株式会社資生堂の採用実績を見ると、以下のように大学院卒の学歴が目立ちます。
- 東京大学大学院
- 京都大学大学院
- 大阪大学大学院 など
とくに専門性が重視される技術系職種については、大学院卒出身者を積極的に採用していると考えられます。
そのほか、有名大学出身者が多く採用されています。
- 法政大学
- 上智大学
- 明治大学
- 慶應義塾大学
- 早稲田大学 など
花王株式会社(Kao)の採用実績でも、京都大学、早稲田大学、東京工業大学といったように難関大学出身者が目立ちます。
大手化粧品メーカーは人気があり競争率が高いため、難関大卒の学歴が有利になります。
また、学生のうちから化粧品業界や各企業について研究することで、より採用される確率が高まります。
特徴3.技術系職種を目指すなら理工系が有利
化粧品メーカーでは、「事務系職種」は主に文系の学生、「技術系職種」は主に理工系の学生が採用の対象となります。
事務系の場合、市場や消費者の需要を理解し、経済的な視点から事業展開に関わります。
そのため、経済・経営学部などで組織の運営やマネジメントの知識、ブランディングなどを学んでおくと有利になることがあります。
また、大手化粧品メーカーは国内外で事業展開しており、グローバルな視野を持つことが求められるため、国際関係の学部で外国語や異文化を学んでおくことも生かせるでしょう。
一方、技術系の場合、自分の専攻が採用に直接関係することもあります。
開発・製造に携わりたい場合は化学系学部、製品開発や品質管理に関わりたい場合は生物学系学部、化粧品の製造工程やパッケージングなどに関心があれば、工業系の学部がよいでしょう。
また、近年では環境への配慮や持続可能性が重要視されているため、環境科学や環境工学の知識を持つことも、化粧品メーカーへの就職の際に有利にはたらく可能性があります。
ただし、就職活動では、個人の意欲や能力、実務経験、コミュニケーション能力なども大きく影響します。
自身の興味や適性に合わせて学部や専攻を選ぶことが重要です。
化粧品メーカー社員になるために求められる資格
化粧品メーカーへの就職にあたり、必要になる資格は基本的にはありません。
入社後、スキルアップのためにさまざまな資格を取得することはありますが、就職活動の時点で資格が問われることはまずないと考えておいてよいでしょう。
化粧品関連の資格として、日本化粧品検定や化粧品検定、スキンケアアドバイザーなどがありますが、未経験者が入社前にこれらの資格を持っていることは少ないです。
ただし、近年は海外事業に力を入れる企業が増えているため、高い英語力や、他の外国語の能力をアピールできる資格があれば、評価されるかもしれません。
外資系メーカーを志望する場合、最低でもTOEICのスコアが750点以上が必要とされることもあります。
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化粧品メーカー社員に向いている人
化粧品メーカーで働くためには、自分自身が化粧品や美容に興味を持つことが重要です。
もし化粧品が好きであれば、さまざまな化粧品に触れ、観察して、自分なりの気づきや意見を持っておくとよいでしょう。
また、化粧品を通じて人々を美しくしたいという思いも大切な要素です。
お客様のニーズを考え、多くの人々に美を提供し、笑顔を生み出したいという意欲がある人は、化粧品メーカーでの仕事に向いています。
さらに、化粧品は食品と同様に安全性が求められるため、責任感や使命感も重要です。
自分の仕事に対して責任を持ち、製造過程での安全性を確保する意識があるかどうかも大切な要素となります。
化粧品メーカー社員のキャリアパス・キャリアアップ
化粧品メーカーに入社した人は、どのようなキャリアをたどるのでしょうか。
事務系と技術系に分けて、一般的なキャリアパスを紹介します。
事務系社員の場合
化粧品メーカーに新卒で総合職(事務系)として入社した場合、最初は営業職として経験を積むことが多いです。
その後、他の業務に配置転換されながらキャリアを築いていくことが一般的です。
総合職社員は幹部候補生としての成長が期待されるため、数年ごとに異なる職種や部署への異動が行われることがあります。
また、全国展開する企業であれば、国内の別の拠点や海外に転勤することもあります。
技術系社員の場合
一方、総合職(技術系)として入社した場合は、研究所や工場などの技術拠点で研究開発業務に専念します。
専門性の高い業務が求められるため、一つの職場で長く働くことも珍しくありません。
ただし、技術系でも企業によっては国内外への転勤が発生することがあります。
国内の大手企業では、入社してから3~5年程度でチームリーダーや主任のポジションに昇進し、その後は係長、課長、部長などの役職にステップアップすることが多いです。
一方、外資系メーカーでは、実力次第で若いうちからマネジメントのポジションに抜擢される機会があります。
化粧品メーカー社員は高卒から目指せる?
化粧品メーカーの総合職として就職したい場合、通常は「大卒以上」の学歴が必要です。
ただし、百貨店などでお客さまに商品を販売する「美容部員」については、一部の企業では高卒者も採用しています。
なお、美容部員は契約社員からスタートすることが多く、派遣社員やアルバイトとして働く人も多いため、待遇や安定性を求める人は注意が必要です。
男性でも化粧品メーカーで活躍できる?
化粧品メーカーというと、女性が活躍する仕事というイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、化粧品メーカーへの就職に性別は一切関係ありません。
男性も多く活躍している
化粧品メーカーにはさまざまな部署や役割があり、性別は関係なく、誰もがさまざまな職種で活躍しています。
なかでも営業や研究・開発などの職種は、男性社員の比率が高めです。
業界全体として、大手の化粧品メーカーでは、中小企業に比べて男性社員の割合が多い傾向にあります。
これは大手メーカーが幅広い事業展開を行っており、多種多様な職種やポジションが存在するためです。
昇進や昇給に関しても性別による違いはなく、能力や実績に基づいて評価されます。
キャリアを重ねることで管理職に昇進し、部下を持つ男性社員も多く存在します。
男性の化粧品メーカー社員の仕事内容
総合職採用では、適性や能力で幅広い部署に配属
化粧品メーカーに就職した男性社員は、研究、企画・開発、生産、営業など、多岐にわたる仕事に従事しています。
なお、近年はメンズ化粧品市場が拡大しており、男性向け化粧品ブランドを立ち上げるメーカーも増えています。
そのため、男性社員の視点やアイデアが求められる場面も増えています。
性別に関係なく、個々の能力や専門知識が重視されるため、男性社員も化粧品メーカーで幅広い活躍のチャンスを持っています。
美容部員は女性中心
化粧品メーカーの中には、百貨店の店頭でお客さまに化粧品を提案・販売する「美容部員」のポジションを設けているところがあります。
美容部員は、一部の企業では「ビューティーコンサルタント」や「ビューティーアドバイザー」といった名称で呼ばれることもあります。
百貨店で化粧品を購入するお客さまの多くが女性であることから、美容部員の職務を担うのは女性社員が中心です。
ただし、化粧品メーカーの採用試験において、「女性のみ」という制限があることはありません。
美容部員としての適性があると評価されれば、男性社員が就職する可能性も十分にあり、実際に男性美容部員の数は増えてきています。
「化粧品メーカーで働くには」のまとめ
化粧品メーカーでは、研究・開発、営業、企画などさまざまな職種の社員たちが活躍しています。
大卒以上の学歴が求められることが多く、総合職として入社すれば、営業や研究・開発などの部署に配属されます。
美容部員のポジションは女性の活躍が目立ちますが、最近は性別問わず、働くことができる職場も増えています。