大学職員になるには? 必要な資格や学歴はある?

大学職員になるまでの道のり

大学職員になるまでのいくつかのルート

大学職員になるまでのルートはいくつか存在します。

一般的なルートは、4年制大学、または大学院を卒業し、職員採用試験を受験して正職員(専任職員)として採用されることです。

最近では「中途採用」という形で、他業界から大学職員に転職するケースも多く見受けられます。

また正職員としてだけではなく、非常勤や契約職員、またはパートタイムとして大学が出した求人に直接応募し、選考を受ける方法もあります。

非常勤職員として採用された後に、大学内で実施される登用試験に合格して、常勤職員になるケースもあります。

国立大学職員になるには

国立大学の職員になるルートとしてもっとも一般的なのは、毎年1回行われる「国立大学法人等職員採用試験」を受験することです。

この試験には、国立大学法人等が合同で行う統一試験形式の一次試験と、採用予定機関が個別に実施している二次試験があります。

一次試験は、北海道、東北、関東甲信越、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州の7つの地区ごとに行われます。

全地区、同じ日程で実施されるので、複数の地区で同時に受験することはできません。

二次試験は、第一次試験合格者に対して国立大学法人等ごとに個別に日程を設定して行われます。

この試験は併願が可能で、試験方法は面接が一般的です。

また最近では「国立大学法人等職員採用試験」と並行して、独自の採用試験を実施している国立大学も増えています。

独自試験では人物重視で、筆記試験がなく面接での選考が中心になるケースがほとんどです。

私立大学職員になるには

私立大学の職員になるには、各大学が独自に行う採用試験に合格する必要があります。

私立大学の場合は、大学のWebサイトなどで公募が発表されるほか、民間企業と同様に、「リクナビ」「マイナビ」などの就職情報サイトに採用情報が掲載されることが多くあります。

採用試験を受験するには、まずはWebからエントリーし、応募書類を送付します。

書類選考ののち、筆記試験、面接、採用と進むのが一般的です。

筆記試験は一般常識、志望動機等に関連する小論文、民間企業のSPIに相当するような適性検査というのが平均的な内容です。

大学によっては筆記試験を行わないところもあります。

大学職員になるまでのルート

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

大学職員の資格・難易度

大学職員に必要な資格

大学職員になるために必須となる資格はとくにありません。

国公立大学であっても私立大学であっても、採用試験に合格すれば、職員として勤務できます。

ただし、応募職種によっては、取得しておくと選考に有利になる可能性がある資格も存在します。

とくに事務系の仕事に就く際に持っていると有利な資格は、「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」です。

これは、ワードやエクセルなどのマイクロソフトオフィス製品がしっかり使えることを客観的に証明できる資格です。

また、近年の大学職員採用試験では英語力を求められるケースが増えてきているため、「TOEIC」や「TOEFL」などの語学関係の資格があるとアピールすることができます。

そのほか、財務部や経理部などを目指す場合は「日商簿記」3級以上、学生支援系の部署を目指す場合は「キャリアコンサルタント」の資格を持っていると効果的です。

大学職員採用試験の難易度

国立大学法人等職員採用試験の筆記試験では「教養試験」のみが行われます。

難易度としては、市役所の職員や警察官、消防官の採用試験と同程度のレベルと言われています。

ただし、大学職員は待遇のよさや安定性から人気が高く、採用試験には毎回大勢の人が応募します。

また、退職者が少なく欠員が出にくいため、実際の採用人数はあまり多くありません。

そのため、大学職員の採用試験はかなりの高倍率になり、都心部の有名私立大学などでは採用倍率が年によって200倍近くになることもあります。

大学職員採用試験の難易度・倍率はどれくらい?

大学職員になるための学校

国立大学法人等職員採用試験では、年齢の条件を満たしていれば、学歴は問われません。

私立大学職員の場合は、各大学ごとに応募資格が設定されますが、「4年制大学卒業以上」を条件としている大学が多く見受けられます。

実際に採用された人は大卒以上の学歴をもっていることが多く、その理由として、大学職員が人気職であるということが挙げられます。

応募者が多いため競争が激しくなり、筆記試験ではそのなかでも優秀な人だけが残ります。

また面接においても、自分の大学時代の経験などを交えて志望動機を語れるほうが、説得力が増すという側面があるようです。

私立大学のなかには、自校の出身者を多く採用している大学もありますが、すべての大学において出身者が有利というわけではありません。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

大学職員に向いている人

大学は、先端的な学術研究を行い、日本の未来を担う人材を育む重要な機関です。

そこで働く大学職員には、教育や研究を行う環境を整え、教員や学生の活動をサポートする役割があります。

したがって、「日本の教育研究現場を支えたい」という思いのある人に向いています。

また、大学職員は、学生から直接、進路や留学に関する相談を受けることがあります。

世話好きで面倒見のよい人、後輩や年下の人間に頼られることが多い人は、その能力を十分に発揮することができる職場だといえます。

大学職員のおもな職務である事務職は、高いレベルの正確性を求められる職種です。

教員や学生を支える縁の下の力持ちとして、コツコツと作業を進められる人、正確かつ丁寧に物事を進められる人に適しています。

大学職員に向いている人・適性・必要なスキル

非常勤の大学職員

ひとくちに大学職員といっても、その雇用形態・働き方はさまざまです。

正規職員としての採用もありますが、非常勤職員(パート・アルバイト)や派遣職員として働いている人も少なくありません。

非常勤の大学職員の仕事内容

大学では、アルバイトやパートタイムの大学職員のことを通常「非常勤職員」と呼んでいます。

非常勤職員は時間や曜日限定で勤務し、大学内の総務・経理・人事などの各部署において事務系の仕事に従事することが多いです。

ファイリングやデータ入力、物品管理などを担当するほか、研究室で教授の秘書業務にあたる人もいます。

このような事務系の非常勤での仕事は、ハローワークや一般の求人広告などによって募集されています。

なお、大学ならではの働き方として、「教育・研究系非常勤職員」という職種があります。

たとえば、「研究補助員」や「教育補助員」のように、正規雇用ではないものの教育・研究業務に関与する職種です。

これらの求人は大学のホームページを通じて公募されることが一般的です。

情報は、専門誌や独立行政法人の研究人材ポータルサイト「JREC-IN Portal」、民間のポータルサイトなどに掲載されています。

参考:JREC-IN Portal

公募のほか、教授からの推薦や、学部生・院生が可能なアルバイトであれば学内で募集・選考されることもあります。

非常勤職員で働くメリット

大学の非常勤職員には、裁量労働制であったり勤務日が選べたりと、時間の自由が利きやすいというメリットがあります。

また、常勤職員の場合、副業禁止や届出制になっていることが一般的ですが、大学ごとに条件は異なるとはいえ、非常勤の場合は条件が緩和されていることが多くあります。

そのメリットを生かし、大学職員と他の仕事を兼務している人も多いようです。

たとえば民間企業やスクール等での研修講師を務める人や、実用書を執筆している人、あるいは専門分野のコンサルタントをする人など、さまざまです。

非常勤というと「非正規=正規職員になりたくてもなれない人」というイメージが先行しがちですが、このように独立志向が旺盛な人も、もちろんいます。

ただし、大学職員は憧れの気持ちだけで続く仕事ではありません。

とくに学生と1対1で話す機会も多い職員の場合は、面倒見のよさや根気よさが必要です。

大学職員を続けている人の多くは、社会に出る前に純粋な気持ちで夢や希望を追う大学生をサポートしたい気持ちを強くもっているようです。

非常勤職員とワーク・ライフ・バランス

非常勤の大学職員は、結婚・出産や留学などによって、ブランクの空いた人が職場復帰のファーストステップにするケースがしばしば見受けられます。

非常勤職員から常勤職員・正規職員への登用を目指すことも可能です。

あえて大学職員として非常勤の働き方を希望する人ができる仕事には、研究補佐、実験補助、技術補助、データ解析、教授の秘書、論文編集補助、翻訳などがあります。

なお、国立大学の多くが、非常勤職員は更新を続けても「最大5年を超えない」という上限を設けています。

長く勤めたい人にとっては、5年経つと新しい職場を探す必要があることを認識しておかなければなりません。

ただ、近年はこの通称「5年ルール」を撤廃する国立大学も出てきています。

派遣の大学職員

派遣の大学職員の仕事内容

大学職員は、派遣として働く人もいます。

最近では、大学における事務系業務のアウトソーシングの幅が広がっており、派遣の身分であっても「こんな業務まで」と驚くような仕事を任されることが多々あります。

一般企業などではまだまだ「派遣の仕事はここまで」と分業や線引きがなされていることもあるようですが、大学事務に関しては正規職員と大きな分け隔てなく、業務にあたる環境ができている場合も少なくありません。

たとえば、教務事務であれば、入試の願書受付業務、学生の履修登録・時間割管理・成績登録などを担当します。

英文事務であれば外国人教職員の在留資格取得、留学生入学の応募者に対する問い合わせ対応から書類選考の結果連絡なども、派遣社員がよく担当する仕事です。

また、司書資格を持っていれば「図書館業務」、キャリアカウンセラー系の資格を持っていれば「キャリアセンター業務」といった専門業務にも就くことができます。

学生の将来を左右するような重要な業務が多いことから、経験が浅くても失敗は許されません。

また、学生は直接雇用であれ派遣であれ、スタッフを同じように「職員」と見ているため、派遣だからわからないことが多くて当然、と甘い気持ちで業務をすることは禁物です。

派遣の大学職員の求人募集はどうやって探す?

インターネットを検索すると、派遣会社を横断して仕事を探せるポータルサイトは数多くあります。

そのような派遣ポータルサイトの検索画面で「学校事務」と検索すれば、派遣会社を横断して求人を探すことができます。

就職先を大学職員にしぼっている場合は、正職員や非常勤として入職するよりも派遣社員として働き始める方がスムーズである場合もあります。

派遣社員として成果を残していけば、直接雇用につながる可能性もあります。

ただし、派遣会社は大学以外の案件も手がけていることがほとんどであり、大学案件だけを紹介してもらえるとは限りません。

スキルや働く時間帯、勤務場所などの条件にマッチしていれば、一般企業の仕事を紹介される場合もあります。

どうしても大学で働きたい希望が強いのであれば、大学の仕事を探していることをハッキリ伝えましょう。

また、同時に大学の仕事に就ければ辞退や途中退職はしないという意思の強さも表明しておくとよいでしょう。

大学職員のキャリアプラン・キャリアパス

大学職員は、一般的に数年ごとに部署の異動が行われ、幅広い実務経験を積むことで事務全般に精通できる能力を養います。

採用当初は「係員」として勤務し、経験年数10年程度を目安に「主任」となり、その後、経験や能力に応じて「係長」「課長補佐」「課長」と職位を上げていくのが、大学職員の一般的なキャリアパスです。

近年、少子化の影響で18歳人口が減少するなか、大学改革が進められ、大学職員に求められる業務は高度化・複雑化しています。

今後は、大学の運営上の意思決定に必要な情報を収集・提供する「インスティトゥーショナル・リサーチャー(IRer)」や、研究活動のマネジメントなどを行う「リサーチ・アドミニストレーター(URA)」として、大学の運営・管理に直接的に携わる役割も期待されています。

大学職員の需要・現状と将来性

派遣の大学職員のキャリアパス

現在の派遣法では、派遣社員は同じ派遣先で最長3年間までしか働くことができません。

また、大学側の経営判断により、派遣会社にアウトソーシングしていた業務の規模縮小や、直接雇用の職員への業務移管などの理由で、契約が終了してしまう場合もあります。

大学の場合、一般企業と比べて年度途中に計画の見直しが行われることは少ないため、期中に突然、契約終了になることはめったにありません。

しかし、3年の上限まで必ずいられるわけではないことは頭に置いておきましょう。

いくら高い評価を受けていたとしても、その評価が必ず仕事の継続や正規職員登用に結びつく保証はありません。

勤務経験や身につけたスキルを実績として、次のキャリアパスを意識して業務にあたることが大切です。

大学職員を目指せる年齢は?

国立大学法人等職員採用試験では、「平成○○年4月2日以降に生まれた者」という表現で、受験資格を30歳までとしています。

正職員を募集する場合、私立大学を含め多くの大学では、若年層の長期にわたるキャリア形成を図るために、採用を20~30代に限定しています。

ただし、近年では、国立大学でも各大学で独自の採用試験を行うことが増えており、その場合は人物重視で選考が行われ、年齢制限を設けないケースも多く見受けられます。

また、契約社員としての募集では、年齢より経験やスキルを重視する傾向があります。

実際に、30代後半や40代で契約社員として大学職員に転職し、経験や実力が認められて正職員に登用された人もいます。