大学職員の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
庶務・総務・会計といった事務的な業務から、研究活動を支えるための業務まで、幅広い業務を担当する職員がいます。
この記事では、大学職員の詳しい仕事内容や役割、仕事の流れなどを紹介します。
大学職員の仕事とは
大学職員とは、国公立および私立大学において、事務や広報などの業務を通じて、大学の運営をサポートする学校職員です。
大学職員は、その業務内容から「事務系職員」と「技術系職員」に大きく分けられます。
大学職員は、普段は裏方としての業務が中心ですが、大学を円滑に運営させるために欠かせない存在です。
日本の教育現場を支えるという、大事な役割と使命をもって活躍します。
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大学職員の業務の内容
ここからは、大学職員の詳しい業務内容について紹介します。
事務系職員の業務
学生支援
事務系の大学職員は、学生の入学から卒業までを学業・生活の両面からサポートします。
具体的には、以下のような業務があります。
- カリキュラムの編成
- 成績の管理
- 退学・休学の手続き
- 奨学金の申請受付
- 就職サポート
- 学生からの相談対応
学生が大学生活を安心して送れるよう、事務の面からさまざまな支援を行っています。
研究支援・社会連携
大学職員は、教員の研究活動や産官学連携の推進を支援します。
具体的には、研究に関わる外部資金調達の支援、特許取得の手続き、民間企業などとの共同研究や受託研究の契約手続き、一般向け公開講座の企画・運営などを行います。
入試・広報
入試や広報に関する業務も、大学職員の重要な業務の一つです。
大学入試センター試験や個別学力試験の実施、また高校や予備校に向けてのPR活動、オープンキャンパスの企画・運営など学生募集に関する広報業務を行います。
さらに大学のウェブサイトやSNSの管理・運営、広報誌の編集・発行、メディアへの取材対応なども行います。
国際交流
国際交流に関する業務では、海外との学術交流や留学生交流の推進を支援します。
外国人留学生の受け入れや生活サポート、日本人学生の海外留学派遣など留学に関する事務手続きなどを担当します。
また、海外の大学等と国際交流協定などの締結、国際交流に関する教育プログラムの運営なども行います。
総務・企画・人事
大学職員は、大学の組織全体を円滑に運営し、勤務する教職員を支えるための幅広い業務も担当しています。
具体的には、入学式・卒業式などの式典運営、教授会など学内会議の運営、学内規則の制定や改廃、将来構想等の企画立案などを行います。
また教職員の採用、昇任、異動などに関する手続き、給料や諸手当の決定、福利厚生に関する手続きなどの人事業務も行います。
財務・会計
組織を運営するために必要な財務上の管理を行うことも、大学職員の仕事の一部です。
年間の予算・決算をまとめることがおもな業務です。
具体的には、研究に必要な物品の購入・管理、授業料の出納、教職員の給与支払い、資産の管理・運用などを行います。
医療支援
高度先進医療を担う大学附属病院で働く大学職員もおり、そこでは管理運営業務を担当します。
具体的には、外来患者の受付や入退院手続き、診療費の計算・徴収などの医療事務業務、さらには地域連携医療計画の作成や病院経営に関わる業務も行います。
図書館業務
大学に付属する図書館の管理・運営業務に従事する大学職員もいます。
図書館で扱う資料の選定・発注、図書館システムの管理など管理系の業務、また資料の貸し出し、問い合わせ応対など利用者に対するサービス系の業務があります。
技術系職員の業務
施設系業務
技術系大学職員の代表的な業務として、学内のさまざまな施設の企画、整備、維持管理が挙げられます。
キャンパス全体の整備計画を立て、予算要求を行う「企画部門」、新築工事や改修工事の発注や監督を行う「整備部門」、整備後の建物をメンテナンスし、維持管理を行う「管理部門」などに分かれて働きます。
研究支援系業務
大学は研究の場でもあります。
技術系の大学職員は、専門知識を生かして技術面から教育・研究のサポートをします。
具体的には、実験装置の開発からデータ解析、学生の実験・実習における指導や助言などを行います。
大学職員の役割
大学職員の社会的な役割と、大学内における役割を説明します。
大学の管理運営に携わる
小学校から高校までは、文部科学省の学習指導要領があり、学校によって進み方に差はあるものの、勉強する教科や学習範囲はほぼ共通です。
一方、大学においては、それぞれの大学が自ら掲げる教育理念に基づき、自由にカリキュラムを編成しています。
大学を運営するには、どんな学生を集めたいのか、そのためにはどんな選考をするのか、入学後、何を学ばせるのか、どのように単位を認定するのか、留学やインターンシップはどう認めるのかなど、考えなければならないことは数多くあります。
とくに学部や学科が新設される場合は、特色を打ち出し、学生にとって魅力のある大学をつくるべく、学生の入学から卒業までのシナリオをしっかりと組み立てます。
既存の学部や学科の編成についても絶えず見直し、より時代のニーズに合わせたカリキュラムにしていかなくてはなりません。
そうした仕事は、理事会や教授会が方針を立て、教授陣が意見を出します。
ただ、具体的な取り組みを考え、実際に新しいカリキュラムを作り上げていくのは大学職員の仕事です。
このように、大学職員には、教員等と連携・協力し、大学全体の管理運営に携わる役割があります。
裏方としての環境づくり
大学で勤務する教員は、教育者であると同時に研究者でもあります。
学生に授業を行い、専門分野の研究をすることが教員の本来の仕事ですが、実験準備や事務作業、その他学内業務などが多忙で、十分に専念できないことも多いです。
そうしたなか、大学職員は、教育研究活動の支援を行い、教員が本来の目的を達成できるように環境づくりをする役割があります。
具体的には、実験機器の保守・管理、研究費の申請や管理、知的財産権の事務処理、ホームページ作成などの広報活動、シンポジウムの企画・運営などが挙げられます。
また、学生の進路や休学に関する相談に乗ったり、経済的に困難を抱え授業料が未納になっている学生をサポートしたりと、学生が快適な大学生活を送ることができるように環境を整えることも大学職員の役割です。
「営業」のような役割も
近年、私立の大学が乱立するなかで少子化が進み、大学によっては定員割れを起こすなど、厳しい状況に立たされているところもあります。
このため、学生を獲得するための大学同士の争いが激化しています。
各大学では、定員割れしないようにすることはもちろん、自校をPRし、たくさんの受験者を集め、優秀な学生を入学させることができるかどうかが、大学を発展させていくカギとなります。
この、学生募集の中心的な役割を担うのが大学職員です。
大学職員のなかでも、とくに学生募集を担当する入試広報課などの職員は、全国を飛び回り、高校生向けの大学説明会を開催する仕事をしています。
これは会社において売上に責任をもつ「営業」と同じような役割といえます。
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大学職員の勤務先の種類
大学職員の主な勤務先となる大学には、大きく分けて「国立大学」「公立大学」「私立大学」の3つがあります。
国立大学は、国(国立大学法人)が運営している大学です。
文部科学省の発表によれば、令和5年5月1日時点で日本全国に86校あり、各都道府県に最低1校は存在します。
公立大学は、都道府県や市などの地方公共団体(公立大学法人)が運営しており、日本全国に100校あります。
私立大学は、民間の学校法人によって運営されており622校と、全大学の約8割を占めています。
一般的な大学以外の大学職員の勤務先には、大学院、短期大学、高等専門学校があります。
具体的な配属先としては、学生課・人事課など大学内の各部署、大学に併設されている研究所、図書館、スポーツセンター、大学病院などの附属施設が挙げられます。
なお、国公立大学や中規模以上の私立大学では、ゼネラリストの育成のため、複数の業務分野に携わるよう数年ごとに異動が行われます。
その一環として、大学によって海外赴任や大学が設立した関連会社等へ出向することもあります。
大学職員の仕事の流れ
先にもご紹介してきた通り、大学職員の業務内容は多様で、配属先によって仕事の進め方も異なります。
ここでは例として、国際交流センターなどの部署で、外国人留学生の受け入れに関わる業務を行う場合の流れを紹介します。
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1.留学決定から入学まで
海外の交流協定校からの交換留学生の場合は、協定校からの申請を受けて、受入部局や教授会などで受け入れの審議をします。受け入れ決定後は、ビザの申請や在留資格の取得など入国手続きの補助も行います。
国費留学生の場合は、航空券の手配や奨学金支給用の口座開設手続きの補助なども行うため、文部科学省や旅行会社、銀行などとも調整しながら業務を進めます。
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2.来日後オリエンテーションと諸手続き
留学生が来日する際は空港で出迎えます。また、来日後は学生証の発行、役所での住民登録や国民健康保険への加入、宿舎や学生寮など住居の手配、携帯電話の契約などの諸手続きをサポートします。
先輩学生から学業・生活面のアドバイスをする「チューター」をつける手続きや、日本語教育プログラムや大学での日常生活についてのオリエンテーションも行います。
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3.在学中のケア
在学中に学習面や生活面で困ったことがあれば相談にのります。留学生は、母国とは言葉や生活習慣に違いがあるので、精神的なケアも大切です。
また学生同士の異文化交流イベントのサポートも行います。
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4.帰国時・帰国後支援
銀行口座や宿舎の解約、ごみ等の処分など帰国時に留学生本人が行う手続きをサポートします。さらに、帰国後の動向を把握し、同窓会の加入手続きなどフォローアップも行います。
大学職員と関連した職業
大学職員と同じ職場に勤務する職業として「大学教員」があります。
大学教員とは、専門分野の研究や学生への講義・指導を行う、いわゆる「大学の先生」で、主な職位には教授、准教授、講師、助教、助手などがあります。
大学教員の仕事は、「教育」「研究」「大学運営」と大きく3つの分野に分けられます。
学生に対し、講義や演習を通して専門知識を伝え、ゼミなどで卒業論文の作成方法やまとめ方などを指導します。
研究の成果を論文にまとめ、所属学会や学会誌などで定期的に発表することも大事な仕事です。
また、教授会などの会議に参加して、大学の運営に関わる業務にも携わります。
そのほか、メディアに登場して専門分野の解説をしたり、講演活動を行ったり、企業や地域と共同で研究を進めたりすることもあります。
このような大学教員と、大学教員のさまざまな活動をサポートする大学職員の関係は、しばしば「車の両輪」に例えられます。
教員によっては、大学職員を単なる黒子的な事務員としてみなす人もいます。
しかしながら、近年では大学職員も大学の事業に対してより積極的な役割を果たすことが期待され、大学の組織全体として学生を育てていく「教職協働体制」が求められています。
「大学職員の仕事」まとめ
大学職員とは、大学を運営するスタッフとして、幅広い仕事を行っています。
業務内容は大きく「事務系」と「技術系」に分けられ、学生たちの学生生活のサポートや、国際交流業務、大学の広報活動、財務・会計、研究活動の支援といった、さまざまな業務を担当します。
大学の円滑な運営のためには欠かせない職業です。