システムエンジニアの年収はいくら? 給料相場をくわしく解説

システムエンジニアの平均年収・給料の統計データ

システムエンジニアのような「IT人材」は人手不足が加速し、売り手市場化が進んでいるため、よい待遇で雇い入れてくれる会社が増えています。

一定の経験をもつエンジニアであれば、一般的なサラリーマンの平均年収の1.5倍程度を得る人も多いようです。

また、普段から残業の多い職種でもあるため、残業代によって収入が底上げされやすいというのも特徴的な点です。

システムエンジニアの平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

システムエンジニアの平均年収_2019

厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査によると、システムエンジニアの平均年収は、38.8歳で569万円となっています。

  • 平均年齢:38.8歳
  • 勤続年数:12年
  • 労働時間:156時間/月
  • 超過労働:14時間/月
  • 月額給与:380,800円
  • 年間賞与:1,129,000円
  • 平均年収:5,689,000円

上記の表の通り、年収・月収・ボーナスすべてにおいて、男性が女性を上回っています。

ただし、IT業界は男性の割合が多い業界であり、女性比率は全体の約4分の1ほどといわれます。

そのため、プロジェクトマネージャーや社内管理職といった高給職に任命されるのも必然的に男性が多くなっており、それが男性の平均収入の値を底上げしているという見方もできるでしょう。

出所:厚生労働省「令和元年度 賃金構造基本統計調査」

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

求人サービス各社の統計データ

職業・出典 平均年収 年収詳細
システムエンジニア
(Indeed)
543万円 時給:2,196円
日給:1.5万円
月給:33.1万円
システムエンジニア
(求人ボックス)
490万円 月給: 41万円
初任給: 21万円
全体の給与幅 :310〜876万円万円
派遣社員:平均時給2, 099円
アルバイト・パート:平均時給1,048円
システムエンジニア
(転職ステーション)
450万円
社内SE
(転職会議)
474万円 20代前半:平均 329 万円
20代後半:平均 418 万円
30代:平均 494 万円
40代以上:平均 617 万円
社内システム企画・社内SE
(マイナビエージェント)
516万円 20代の給料:442万円
30代の給料:556万円
システム開発/運用
(DODA)
471万円 生涯賃金: 2億3,861万円
20代:371 万円
30代:498 万円
40代: 563 万円
50代~: 643 万円
SE/プログラマ(顧客向け市システムの開発・実装)
(経済産業省調査)
593.7万円

各社の統計データを見ると、システムエンジニアの平均年収は450万円~600万円が目安となってくることがわかります。

ただ、システムエンジニアはスキルや経験、企業規模、残業代の大小、役職(プロジェクトマネージャーなど)などの要因によって差が生じる部分もあるため、平均年収のデータ値は参考程度に考えておくのがよいでしょう。

システムエンジニアの手取りの平均月収・年収・ボーナスは

仮に30代で月収28万円(額面金額)のシステムエンジニアを例とします。

年収をシミュレーションすると、月収28万円×12ヶ月で336万円、この他に、夏期と冬期の年2回のボーナス(月収の約2倍相当額)が計112万円程度支給されたとすると、年収総額は約448万円です。

なお、各種社会保険料や所得税などを指しい引いた「手取り額」としては、家族構成や地域にもよるものの、月収28万円の場合、手取り約23万円~24万円が目安となってくるでしょう。

システムエンジニアの初任給はどれくらい?

東証一部上場のSler(システムインテグレータ)であっても、大卒の初任給は約22万円~23万円程度で、大手だからといって初任給が高額という訳ではないようです。

逆に中小Slerやベンチャー系のIT企業のほうが、初任給を高額に設定しているケースも見られます。

また「学歴」で初任給が上乗せされるケースもあり、たとえば大手Slerの「NTTデータ」では学士卒の初任給は約22万円ですが、修士了だと約25万円、博士了においては約30万円と高額に設定されています。

令和元年 システムエンジニアの年収(規模別)

システムエンジニアの年収は規模が大きい事業所ほど年収が高くなる傾向にあります。

10人〜99人の事業所に勤めるシステムエンジニアの平均年収は537万円、100〜999人は532万円です。1,000人以上は627万円となっており、一般的な会社員よりもやや高めの年収となっています。

システムエンジニアの年収(規模別)_r1

令和元年 システムエンジニアの年収(年齢別・男女別)

男女別で見ると、どの年代も男性のほうが女性よりも高い年収となっています。これは男性のほうが管理職になる傾向が多いからと推察されます。

男性の平均年収は584万円、女性の平均年収は497万円となっており、女性のほうが100万円ほど低い数字となっています。

年齢別では、男女ともに年齢とともに順調に年収が上がっています。男性でもっとも高い年収は50歳~54歳の727万円、女性は40歳~44歳で613万円となっています。

システムエンジニアの年収(年齢別)_r1

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

システムエンジニアの福利厚生の特徴は?

日立系、NEC系、富士通系など、大手系列のSlerに勤めるシステムエンジニアの場合は、充実した福利厚生を受けられることが多いです。

系列の子会社であれば、親会社と同等の福利厚生制度が設定されていることも珍しくはなく、また親会社の保養施設が利用できたり、親会社と同じ技術講習が受けられることもあります。

対して中小SlerやベンチャーSlerでは福利厚生面が十分整っておらず、家賃補助が出なかったり、退職金がほとんど貰えなかったりする会社も多いようです。

システムエンジニアの給料・年収の特徴

スキルが年収に影響しやすい

システムエンジニアの年収は、その人の経験やスキルによっても変わってきます。

経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」では、IT業界のスキルと年収について次のような調査結果が導き出されています。

<スキル標準レベル別の年収の平均>
レベル1(新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル):437.8万円
レベル2(上位者の指導のもとに仕事ができる若手人材レベル):499.2万円
レベル3(独立して仕事ができる中堅人材レベル):576.0万円
レベル4(部下を指導できるチームリーダーレベル):726.1万円
レベル5(社内での指導者・幹部レベル):937.8万円
レベル6(国内で著名なレベル):1129.9万円
レベル7(国際的に著名なレベル):1129.9万円

IT業界では、チームリーダーやプロジェクトマネージャーなど人を纏め指導できる人材がとくに不足しているため、技術力だけでなくマネジメント力やリーダーシップまで身につけられると給料はさらに伸びていくでしょう。

参考:経済産業省 IT関連産業の給与等に関する実態調査結果

残業や休日出勤で給料アップ

IT業界は残業の多い業界としても有名です。

とくにシステム納期前などは激務となりやすく、毎日夜中まで残業が続いたり、時には土日に休日出勤が発生することもあります。

残業や休日出勤は「時間外労働」「休日労働」として扱われ、本来よりも割高の賃金を得られます。

月に何十時間も残業をすることになれば、月の給料が1.5倍、2倍近くに膨れ上がることも珍しくありません。

ただ、一部の職場ではサービス残業が慢性化しているところもあるといわれるため、その点には注意したほうがよいでしょう。

「資格手当」で給料アップ

IT業界では、特定の資格を取得した社員に対して、月々「資格手当」を支給する企業が多いです。

とくに意識されているのは、国家資格である「情報処理技術者試験」に区分される資格です。

そのうちの一つ「基本情報処理技術者試験」に合格した社員には、数千円~1万円程度の資格手当を月々の給料に加算する会社もあります。

「応用情報技術者試験」や「システムアーキテクト試験」など、さらに上位の難関資格を取得すると、より多額の資格手当が付く会社もあります。

システムエンジニアの勤務先別の給料・年収

社外SEの給料

「社外SE」とは、顧客先のオフィスに派遣され、そこに常駐して働くタイプのシステムエンジニアのことです。

顧客と近い位置にいるため、要求や納期の制限なども厳しくなり残業も増えやすい環境ではありますが、その分、残業代で稼ぎやすいというメリットもあります。

社内SEの給料

「社内SE」とは、一般的なサラリーマンのように自社のオフィス内で勤務するシステムエンジニアを指します。

自分の開発環境となるため、納期やスケジュールに対して融通は効きやすいですが、その分残業代は社外SEに比べると少なくなることが多いです。

社内SEの給料・年収

大手と中小

一般的には、大手のSlerの方が給料水準が高く、福利厚生おいても恵まれている傾向です。

ただし中小Slerであっても、ニッチな分野で強い技術を持っているなどで業績好調な会社であれば、大手に匹敵する収入や待遇が得られることもあるようです。

システムエンジニアが所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
NTTデータ 828万円 38.7歳
日本ユニシス 825万円 45.7歳
日立製作所 894万円 42.1歳

出典:2019年現在(各社有価証券報告書より)

NTTデータの平均年収

NTTデータは、国内最大級のSlerです。

単体でも従業員数1万人を越える大企業でありますが、さらに主要株主には日本電信電話(NTT)もいるため、倒産リスクの少ないその安定性も魅力といえるでしょう。

日本ユニシスの平均年収

日本ユニシスは、「独立系」に分類される大手Slerです。

平均年収の時点で825万円と高額でありますが、役職が付くとさらにワンランク給料水準は高まり、年収1000万円を越える社員も一定数いるようです。

日立製作所の平均年収

日立製作所は総合電機メーカーではありますが、SlerとしてIT事業も行っています。

以前は年功序列を採用していましたが今現在は成果主義に移行しており、能力のある社員であれば年収1000万円を軽々と超えることもあるようです。

システムエンジニアの正社員以外の給料・年収

派遣社員

派遣社員のシステムエンジニアの給料は、都内であれば時給2500円~3500円の求人が目立ちます。

上流工程の高度な業務を担当する求人の場合、時給4000円以上で設定されているものもあります。

アルバイト

アルバイトの場合は、都内であれば時給1500円~2000円の求人が多く、派遣のシステムエンジニアと比べるとやや低い水準です。

なおシステムエンジニアの場合、アルバイトであっても週5日勤務やフルタイムの出勤を求められることも多く、さらには残業が発生することもあります。

フリーランス

フリーランスは実力主義の世界となるため、本人のスキル次第で収入は大きく変わってきます。

報酬の目安としては、「構築」や「運用」などの下流工程の案件は月単価50万円、「基本設計」や「要件定義」などの上流工程の案件は月単価70万円程度が相場です。

さらに、「プロジェクトマネジメント」ができるような人材であれば、月単価100万円を超えることもあるようです。

システムエンジニアが収入を上げるためには?

システムエンジニアが収入を底上げするためには、次のような方法が有効です。

  • 技術スキルを磨き上流工程を担当できるようになる
  • マネジメントスキルを磨きリーダー職に移行する
  • 資格を取得して「資格手当」を得る
  • 勤続年数や実績を重ね、社内の部課長職に昇進する
  • より給料水準の高いslerに転職する

など

技術職であるため、まずは技術スキルを磨き経験を積むことが大切です。

また、少しずつマネジメントスキルも身につけていき、いずれはチームリーダーやプロジェクトマネージャーなどのリーダー職に移行し、年収アップを目指すのが王道的な方法です。

また、今の会社ではどうしても収入が頭打ちになる場合は、より待遇のよい会社に転職することも一つの解決策となってくるでしょう。