市役所職員の平均年収・初任給を調査! 給料が高いって本当?

市役所職員の給与水準は、大卒・高卒などの採用区分や、働く地域によっても異なります。

基本的には年功序列の制度になっており、年齢が上がって長く務めるほど給料もアップしていきます。

市役所職員に対して「給料が高い」というイメージを持つ人もいますが、一定の年齢まで勤続しなければ、それほど高い給料をもらえるわけではありません。

ここでは、市役所職員の平均年収・初任給について詳しく解説します。

市役所職員の平均年収・給料

市役所職員の平均年収・月収・ボーナス

令和3年の地方公務員給与実態調査によると、地方公務員一般行政職の平均年齢は42.1歳で、平均給料月額は316,040円です。

これに扶養手当や住居手当などの諸手当月額を加えた平均給与月額は402,948円でした。

参考:総務省 令和3年地方公務員給与実態調査結果等の概要

しかし初任給でこれだけの給料がもらえるわけではなく、初任給の金額は採用区分によっても異なります。

たとえば千葉市の場合、試験区分が上級(大卒程度)の職員の初任給は206,885円ですが、初級(高卒程度)の職員は169,280円です。さらに民間企業等職務経験者(29歳、職務経験6年の場合)は、258,750円となっています。(令和4年4月現在のもの、地域手当を含む)

参考:千葉市職員募集 勤務条件・福利厚生

大卒・高卒などの採用区分や、地域によっても給料は違ってきます。

各市の募集要項をしっかり確認することが重要です。

市役所職員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

市役所職員の手取りの平均月収は、20代〜30代であれば18万円~25万円程度に収まる場合が多いようです。

高給取りなイメージを持たれやすい市役所職員ですが、ある程度の年数が経つまではそれほど高い給料をもらえるわけではありません。

市役所職員の初任給はどれくらい?

市役所職員の初任給は、各市の民間企業の給料などをふまえて決定されるため、市によって給料格差が生じています。

その点に加えて、大卒や高卒といった採用区分によっても金額は異なります。

例として、横浜市における事務系職員の初任給を確認してみましょう。

横浜市職員(事務職)の初任給(2022年採用コンセプトページより)
  • 高卒 171,448円
  • 大卒 206,596円
熊本市職員(事務職)の初任給(令和4年4月1日現在)
  • 高卒(初級職) 155,300円
  • 大卒(上級職) 190,500円

上記は、それぞれ相当学歴の新規学卒者を例にとったもので、採用前に職歴等がある場合、大学院・短期大学などを卒業した場合には、一定の基準に基づいた額が加算されることとなっています。

このように、市によって同じ大卒・高卒であっても初任給に1万円以上の差がつくこともあります。

市役所職員の初任給は各市の受験案内や採用ホームページで記載されていることが多いので、事前に確認しておくとよいでしょう。

市役所職員の福利厚生の特徴は?

市役所職員は地方公務員の一つであり、制度面は整っています。

休暇制度に関しては、有給休暇や出産・育児休暇、介護休暇などが利用可能です。

また、家族手当、通勤手当、住居手当などの各種手当も充実しています。

職種や部署によって異なりますが、基本的には「日中勤務・土日休み」という働き方となるため、ワークライフバランスを大切にする人にとっては魅力的な職業といえます。

市役所職員の給料・年収の特徴

市の財政状況と給料への影響

これまでの市役所職員は、「若いころは給料が低めでも、年功序列で勤続年数が上がるにつれて給料も上がっていく」という状況でした。

しかし、現在はどの市も厳しい財政状況が続いているため、今後は年功序列制度の見直しも考えられます。

「年齢を重ねれば暮らしは楽になる」と頑張っても、「思っていたよりも給料が上がらなかった」という場合もあるかもしれません。

残業代の予算額が決められている

厳しい財政状況の裏で、職員一人あたりの業務量が増加している傾向が全国の自治体に見られます。

基本的に残業をすれば残業代が支払われますが、各部署において残業代の予算額が決められているため、それを超えた場合はサービス残業になることもあるようです。

東京都町田市で2018年におこなわれた職員意識調査では、「現在の年収は、自分の業務量や質に比べて適当である」という設問に29.9%の職員が否定的な回答をしています。

自分の業務量に対する給料に不満を抱いている職員は少なくないことがわかります。

参考:町田市 職員意識調査

自治体間の年収格差

2020年4月に東洋経済が発表した「年収が高い自治体ランキング500」では、千葉県浦安市と神奈川県厚木市が同額1位で平均年収765万円となっています。

それ以外にも、上場企業並みの700万円以上の年収である市が上位に並ぶ一方で、たとえばランキング下位の市役所職員の平均年収は631万円です。

このように自治体間の年収格差は100万円以上の開きがあることから、市役所職員の暮らしぶりは自治体によって大きく違っていることが考えられます。

参考:東洋経済 「公務員の年収」が高い自治体ランキング500

「わたり」制度から能力主義への移行

地方公務員給与における「わたり」とは、その公務員を実績に見合わない上位の職位につけるなどして、実際の能力に相応な給料よりも高い給料を支給することです。

地方公務員給与実態調査によれば、この「わたり」の制度がある自治体は、平成31年4月時点で8市町村存在しています。

なお、「わたり」の制度は平成21年の段階では765市中127市(16.6%)で存在しており、当時に比べて大きく減少していることがわかります。

余裕のない各市の財政状況や市民の厳しい視線を考えると、いずれ「わたり」は全市で廃止され、より能力主義の色が強くなる可能性が高いでしょう。

参考:総務省 平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要

市役所職員が収入を上げるためには?

市役所職員の給料は法律にもとづく「俸給表」によって決められています。

俸給表は「級」と「号」で構成され、級や号が上がっていくにつれて給料も高くなっていく仕組みです。

そして、この級と号は主に勤続年数や勤務成績によって決まっていきます。

ただし、現状は「勤続年数」に比重が置かれている場合が多いため、市役所職員としてのキャリアを積んでいくにつれて徐々に昇給していくことがほとんどです。

一般企業のように、自分の勤務成績に応じて給料が大きく変動することはありません。

市役所職員の平均年収・初任給を調査!のまとめ

市役所職員は、地方公務員として安定的な年収と待遇が得られるのは魅力であるといえます。

「成果に応じた給料の大幅アップ」というのは難しいですが、目の前の階段を一段ずつ確実に登っていき、少しずつ収入が上がっていくイメージを持つとよいでしょう。

ただし、給与水準は自治体により大きく異なるのも実情です。

業務量に対して給料があまり高くないことに不満を抱いている市役所職員も、なかにはいます。