「皇宮護衛官」とは

皇宮護衛官_画像

皇宮警察本部に所属し、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸の警備を行う。

皇宮護衛官とは、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸などの警衛を行う仕事です。

警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属する国家公務員です。勤務地は、主に皇居と赤坂御用地での勤務となりますが、そのほか全国の御用邸などでも警備にあたります。

また、行事の際には、各都道府県の警察と協力して、護衛をします。

皇宮護衛官になるためには、皇宮護衛官採用試験に合格することが必要です。

採用人数が少ないということもあり、倍率は30倍を超えることもあります。

皇宮護衛官は特殊な仕事となるため、警察官としての一般的な能力だけでなく、礼儀正しく教養豊かであることが求められます。

勤務は、当番、非番、週休、日勤が繰り返される4交代制となります。

「皇宮護衛官」の仕事紹介

皇宮護衛官の仕事内容

皇族の護衛と皇族関係施設の警備を担う

皇宮護衛官(こうぐうごえいかん)は、皇族の護衛や皇居の警備などを行う職業です。

皇宮護衛官の職務内容は幅広くありますが、おもな役割は「護衛」と「警備」です。

護衛は、天皇・皇后両陛下をはじめとする皇族をお守りする仕事で、皇族のほかにも、国賓(国家にとって重要な来客)や海外の大使が皇居を訪れる際の身辺警護をすることもあります。

また、天皇がお住まいになる皇居や御所、御用邸の警備も重要な役割で、不審者などが侵入しないよう24時間体制で監視に当たります。

新年の一般参賀など、多くの人が宮中に訪れる際にはとくに厳戒態勢で警備にのぞみ、行事がつつがなく終わるよう尽力します。

このほか、一般の組織と同様に、総務や人事、経理などを担当する皇宮護衛官もおり、なかには皇室行事で音楽を演奏する人もいます。

皇宮護衛官の就職先・活躍の場

3つのおもな部署と各専門部隊がある

皇宮護衛官は、警察庁の皇宮警察本部に所属する国家公務員という立場になります。

皇宮警察本部には、組織を管理する「警務部」、皇居や赤坂御用地、皇室行事の警備を行う「警備部」、皇族各殿下のご身辺を警護する「護衛部」があり、分担して業務にあたっています。

また、突発対応事案などを手掛ける特別警備隊、火災発生時に消火活動を行う消防隊、馬に乗って護衛を行う騎馬隊、皇族車を先導する白バイ隊などの専門部隊も存在します。

勤務地は東京がおもですが、皇室関係施設のある神奈川、栃木、静岡、京都、奈良に勤める場合もあります。

皇宮護衛官の1日

警備部の場合は交代で当直をこなす

皇宮護衛官のスケジュールは業務内容によってさまざまですが、一例として警備部に所属する職員の1日をご紹介します。

不審者や災害などの緊急事態に対応できるようにするため、24時間常に警備を行います。

8:30 出勤
前日の当直者から引継ぎを受けます。

9:00 警備開始
皇居の乾門(いぬいもん)の前に立ち、侵入者などを防ぎます。

12:00 休憩

13:00 警備

15:00 訓練
柔道、剣道、乗馬などの各種訓練を行うほか、行事の準備をする場合もあります。

19:00 警備
適宜交代で休憩しながら、夜間も警備にあたります。

8:30 業務終了
翌日の当直者に引継ぎ、帰宅します。

皇宮護衛官になるには

いずれかの採用試験を受ける

皇宮護衛官になるには、人事院が行う皇宮護衛官採用試験に合格し、採用される必要があります。

試験には大卒程度と高卒程度の2区分があり、それぞれに学歴や年齢制限などの受験資格は異なります。

また、柔道2段や剣道3段以上の人を対象とした「武道有段者試験」が実施されることもあります。

採用後は全員皇宮警察学校に入学し、皇宮巡査という階級で6か月~10か月の初任教養を受け、現場実習などを経験したのち、配属先が決定されて皇宮護衛官として働くことになります。

皇宮護衛官の学校・学費

幅広い学歴の人に受験できるチャンスが

皇宮護衛官採用試験の大卒程度試験を受けるには、院卒、大卒、短大卒、高専卒のいずれかであることが必要です。

一方、高卒程度試験は、高校または中学校を卒業後5年を経過していないことが条件となっており、高卒や中卒の人はもちろん、該当期間内であれば大学や専門学校の在学生・卒業生も受験可能です。

なお、高卒程度試験については、身長や体重、視力などの受験要件もあり、それらの基準をクリアしていないと受験できない可能性がありますので、あらかじめ確認しておいたほうがよいでしょう。

皇宮護衛官の資格・試験の難易度

合格率数%の非常に狭き門

皇宮護衛官採用試験の合格率は、もともと採用人数が少ないこともあり、大卒程度で20倍~40倍、高卒程度で25~45倍と、非常に厳しい競争になっています。

試験は、筆記試験の1次、人物試験(面接)や体力検査などの2次という2段階選抜で実施され、双方を突破した人が最終合格者となり、内定を得られる可能性を有します。

とくに、業務の特性上からも人物試験は非常に重要ですが、皇族をお守りするにふさわしい立ち居振舞いやマナーなどは一朝一夕で身につけられるものではありませんので、常日頃からの訓練が必要です。

皇宮護衛官の給料・年収

一般の公務員よりも高給

皇宮護衛官の給料は、不規則な勤務体系などを加味して国家公務員一般職の公安職俸給表(一)が適用されており、一般行政職の公務員よりも12%程度高めの給与水準となっています。

勤続年数や階級によって個人差がありますが、おおむね30代で500万円、40代で600万円前後に達するようです。

なお、給与に大きな影響を与える階級については、学歴によって階級を昇任させる試験に受験できるまでの年数が異なるため、高学歴であるほうが高給となりやすい傾向にあります。

皇宮護衛官のやりがい、楽しさ

皇族のために働くという誇り

天皇陛下は日本国・日本国民の象徴であり、皇族の方々は日本の文化そのものです。

国にとって非常に重要な存在である皇族をお守りする皇宮護衛官の仕事は、重い責任と苦労に見合った大きなやりがいを得られる仕事であり、誇りを持って気高く働くことができるでしょう。

また、一般の人が立ち入ることのできない皇居や御所、御用邸内で働いたり、皇室行事などの伝統文化に間近に触れられたりと、この職業でなければできない経験を多数得られることも魅力といえます。

皇宮護衛官のつらいこと、大変なこと

心身ともに鍛えなくてはならない

若手の皇宮護衛官は、基本的に「立ち番」と呼ばれる皇族関係施設入口での警備を担当します。

皇宮護衛官にふさわしい直立不動の姿勢を保ったまま、酷暑の日でも極寒の日でも、あるいは豪雨のなかでも吹雪のなかでも、長時間にわたって屋外で警備にあたらなくてはなりません。

また、それらの業務をこなすため、休みの日であっても、ランニングなどをして体力向上に励んだり、柔道や剣道などの稽古をしたりと、日常的に鍛錬を欠かせないことも大変な点です。

皇宮護衛官に向いている人・適性

礼儀正しさと忍耐力を兼ね備えた人

皇宮護衛官は、皇族をお守りするという非常に重要な責務を担っていますが、普段は決して目立つことのない裏方の職業であり、業務の大半は地味で地道なものです。

皇宮護衛官には、礼儀正しく品行方正であることに加えて、粘り強く、忍耐力のある人が向いているでしょう。

また、皇宮護衛官にふさわしい教養を身につけるためにも、日本の伝統文化に興味があることは非常に重要で、皇宮警察学校では、茶道や華道、短歌、書道などの授業があります。

皇宮護衛官志望動機・目指すきっかけ

業務内容に対する憧れの強い人が多い

皇宮護衛官は、非常に独自性の高い職業であることから、複数の選択肢のなかから皇宮護衛官を選ぶというよりも、どうしても皇宮護衛官になりたいという明確な意思を持った人が目立ちます。

ただ、筆記試験を通過した後に行われる面接では、皇族をお守りしたいという強い熱意はもちろん、忍耐が問われる地味な業務であることも理解していると示す必要があるでしょう。

また、柔道や剣道、書道、馬術などの習い事をした経験があれば、アピール材料になるかもしれません。

皇宮護衛官の雇用形態・働き方

女性皇宮護衛官は全体の1割程度

皇宮護衛官の採用試験は、警察官採用試験などのように男女別々の枠が設けられているわけではありませんが、毎年数名程度の女性が合格し、新たに皇宮護衛官となっています。

現役で活躍している皇宮護衛官をみても、1割程度が女性となっており、とくに皇族の護衛業務を行う際には、女性ならではの気遣いやきめ細かさが生きる場面も少なくありません。

公務員らしく、出産や育児関連の福利厚生制度は充実していますので、ライフイベントの多い女性でも長く働きやすいでしょう。

皇宮護衛官の勤務時間・休日・生活

仕事とプライベートを両立させやすい

皇宮護衛官の勤務時間は、24時間勤務の当番、非番、休み、8:00~17:00前後の日勤が繰り返される4交代制となっており、不規則な勤務体系であるため、体にかかる負担は決して軽くはありません。

しかし、警察官などのように残業がかさんだり、また休日であっても応援に呼び出されるということは基本的にありませんので、仕事とプライベートは両立させやすいでしょう。

休日であっても、武術や馬術などのクラブ活動・サークル活動に参加したり、習い事をして教養を深めたりと、アクティブに行動する人が多いようです。

皇宮護衛官の求人・就職状況・需要

毎年の求人数は全体で50名前後

皇宮護衛官の需要は安定している一方、それほど大量の人員が必要となる職務ではないため、現役全体で900名程度しかおらず、毎年の求人数も決して多いとはいえません。

採用人数は退職者などの欠員状況によって上下しますが、大卒程度で20人~40人前後、高卒程度で10人~20人前後、武道有段者区分で若干名程度です。

基本的に試験の成績順に上位から採用となりますので、できる限り優秀な成績を収められるよう、筆記試験・人物試験・体力検査すべてに対する入念な準備が必要です。

皇宮護衛官の転職状況・未経験採用

大卒区分は30歳まで受けられる

皇宮護衛官採用試験を受けられる年齢は区分によって異なりますが、大卒程度区分では30歳未満であれば受験可能であり、会社員などから試験に合格して皇宮護衛官となることもできます。

また、年度によっては、それ以上の年齢を対象とした「社会人区分」試験が実施されることもあります。

ただ、皇宮護衛官は、教養や礼節を身につけていることはもちろんですが、若手のうちは立ち番をこなせるだけの体力と集中力も必要になるため、できる限り早めに受験したほうがよいでしょう。

皇宮護衛官の現状と将来性・今後の見通し

安定している一方、さまざまな挑戦もできる

皇宮護衛官が所属する皇宮警察は、皇室の長い歴史とともに歩んできた日本の伝統的組織です。

皇宮護衛官には「皇室守護」という絶対的な使命が課せられており、皇室が存在する限り皇宮警察の必要性が揺らぐことはないため、きわめて安定性の高い職業といえるでしょう。

また、白バイ隊や騎馬隊、特別警備隊などに入隊して専門性を高めていくことも可能であり、安定した仕事でありながらも、自身の意欲次第でさまざまな業務にチャレンジできるでしょう。