「刑務官」とは

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刑務所など法務省管轄の刑事施設に勤務し、施設の運営や警備、受刑者の指導を行う。

刑務所、拘置所など法務省管轄の刑事施設に勤務する国家公務員のことです。

各種施設の運営管理と保安業務を担当し、収容されている者の適切な生活管理・教育指導を通じて平穏で秩序ある施設内の生活を手助けします。

また、各種教育や訓練によって受刑者の速やかな社会復帰と更生を手助けする職業です。

刑務官の職務に就くには、公的な任務にたずさわれる良識と人間性、一定の知識教養と運動・身体能力を所持していることが期待され、その有無の検査のために二次にわたる試験を突破する必要があります。

また主に刑事事件での受刑者の集団施設の警備担当でもあるため、それに対応した特殊な対人関係の能力や、警護能力、現場の組織文化になじめる人格が必要とされます。

「刑務官」の仕事紹介

刑務官の仕事内容

受刑者の社会復帰をサポートする

刑務官は、刑務所や拘置所、鑑別所などの運営や警備に携わり、受刑者が更生し社会復帰するための指導などを行う職業です。

刑務所での仕事内容は多岐にわたり、受刑者の健康管理や刑務作業の監督・技術指導、面会所や作業所への引率、収容されている房の巡回、各種事務手続きなど、受刑者の生活全般に広く携わります。

受刑者の悩みを聞き、相談に乗ったりカウンセリングを行うことも刑務官の大事な役割で、とくに少年刑務所や鑑別所などで未成年を相手にする場合は、精神的なケアや教育の比重が大きくなります。

拘置所では、まだ刑が確定していない被疑者や被告人を相手にするため、逃亡や証拠隠滅を阻止すること、裁判所へ護送することがおもな仕事になります。

刑務官の就職先・活躍の場

活躍の場は全国各地にある

日本には全国に69箇所の受刑者施設、8箇所の拘置所があり、17,000人ほどの刑務官が勤務しています。

「初等科研修」と呼ばれる研修を終えた新任刑務官は、本人の意向や各施設の欠員状況などを踏まえて、受験した地域にあるいずれかの刑務所や拘置所などに配属されます。

なお、刑務官は法務省に所属する国家公務員という身分にあたるため、引っ越しを伴う隔地転勤は避けられません。

受刑者や同僚との癒着・馴れ合いを防ぐためにも、数年単位での異動を繰り返すケースが一般的です。

刑務官の1日

交代で24時間勤務をこなす

刑務官のスケジュールは施設によって若干の差がありますが、基本的に日勤の「昼間勤務」と当直にあたる「昼夜間勤務」を繰り返します。

一例として、昼夜間勤務の1日をご紹介します。

7:00 始業
前日の当直者から引き継ぎを受け、業務を開始します。

7:30 巡回・引率
受刑者の房を巡回して異常がないか確かめたり、受刑者を作業場まで引率します。

12:00 休憩

13:00 巡回・引率
運動場や食堂まで引率したり、入浴を監視したりします。

19:00 デスクワーク
報告書を作成したり、仮出所の手続きをします。

23:00 仮眠

4:00 巡回

7:00 業務終了
翌日の当直者に引継ぎ、帰宅します。

刑務官になるには

刑務官採用試験を受ける

刑務官になるには、基本的に刑務官採用試験を受験する必要があります。

刑務所では男女別々の施設に受刑者が収容されているため、試験も男性を対象とした「刑務A」と、女性が対象の「刑務B」に分けて実施され、配属先も性別によって異なります。

また、刑務A・Bともに、剣道または柔道の有段者を対象とする「武道」という採用枠もあります。

このほか、国家公務員総合職採用試験を受けて法務省に配属され、法務省職員から刑務官になるケースもありますが、幹部候補生としての採用であるため、現場で勤務することはほぼありません。

刑務官の学校・学費

刑務官に学歴は問われない

刑務官は、18歳以上で高校卒業程度の学歴を有している人が募集対象となっており、とくに学歴が問われることはありません。

高卒程度というのも、筆記試験で問われる知識レベルを表しているにすぎず、たとえば中卒でも受験することができ、努力次第で合格する可能性は十分にあります。

ほかの公務員試験とは異なり、予備校などに通って専門の対策を講じる必要性はあまりないといえるでしょう。

就職後も、学歴によって昇進スピードが異なるといったことはないようです。

刑務官の資格・試験の難易度

ほかの公務員試験ほど競争は厳しくない

刑務官採用試験の合格倍率は近年5倍~6倍前後で推移しており、ほかの公務員と比較すると競争率はやや低めといえます。

採用人数は男性のほうがかなり多くなっていますが、採用倍率に男女間の差はほとんどありません。

試験においては、高卒程度の筆記試験、刑務官としての適性を審査する人物試験に加えて、体力検査が実施されます。

筆記試験の成績がいくらよくても、持久力や瞬発力などの項目がどれか一つでも基準に満たないと不合格になってしまいますので、勉強はもちろん、しっかりと体力づくりにも励むべきです。

刑務官の給料・年収

国家公務員としての手厚い待遇が得られる

刑務官は国家公務員という立場に当たるため、給料は国家公務員の公安職俸給表(一)が適用されます。

給与は一般職員よりも12%程度高めに設定されており、かなり手厚い待遇といえるでしょう。

勤続年数や階級によってかなり差がありますが、刑務官全体での平均年収は610万~630万程度、ベテラン職員になると年収800万円を超えるケースもあるようです。

民間企業のように景気によって待遇面が大きく変動することはまれで、安定した給料が得られるでしょう。

刑務官のやりがい、楽しさ

犯罪者を更生させるという社会的意義

刑務官は、治安維持の最後の砦として非常に重い役割を担っています。

いくら警察が必死の捜査で犯人を捕らえ、司法が適切な刑罰を与えても、刑務官が受刑者の更生に失敗してしまったら、犯罪者は再犯を繰り返すことになり、社会の治安は一向に改善しません。

警察・検察・裁判の努力を無駄にしないためにも、受刑者をなんとかして立ち直らせることが刑務官の仕事であり、社会的な意義・責任と共に、大きなやりがいがあるといえるでしょう。

刑務官のつらいこと、大変なこと

刑務官一人あたりの負担が大きい

長引く景気低迷による失業者の増加や、厳罰化を望む世論の声などを反映して、刑務所に収容される受刑者数は
高止まりの状態が続いており、多くの刑務所でほぼ定員いっぱいとなっています。

かつては収容人数が定員の200%近くに達するなど、刑務所の過剰収容が社会問題になった時期もあり、一部施設では増改築が実施されましたが、大半の刑務所ではいまだ改善されていません。

数多くの受刑者を抱え、刑務官一人当たりの負担が非常に重くなっているのが現状です。

刑務官に向いている人・適性

厳しい縦割り社会になじめる人

刑務官は、自衛隊や警察などと同じく、保安・警備・秩序維持を担う職種の一つです。

このため、刑務官の組織文化は軍隊などと非常に似通った部分があり、階級や年功序列による縦割り社会の風潮が強くあります。

武道経験者や運動部出身者も多く、体育会系に特有の上下関係の厳しさがあるため、そうした職場環境になじめるかどうかは、刑務官として働いていくうえで非常に重要です。

刑務官は、人によってはっきりと向き不向きが分かれる職業といえるでしょう。

刑務官志望動機・目指すきっかけ

厳しい職場に耐えられるだけの固い決意を

刑務官試験では、筆記試験を突破した受験者に対しては人物試験が課され、志望動機などを問われます。

刑務官の仕事は公的なものであり、高い遵法意識があるかどうか、また、ハードな職場に耐えられるだけの精神力があるかどうか、言い換えれば「すぐに辞めないか」が見極められます。

きっかけは人それぞれで構いませんが、公務員として社会に貢献したいという思い、刑務官という仕事に対する情熱を伝えられるよう、しっかりと準備しておきましょう。

刑務官の雇用形態・働き方

ベテランのほうが厳しい働き方になる

刑務官に特有の事情として、階級によって転勤する頻度と転勤先に変化が生じるという点が挙げられます。

新人や若手の下級職員は8年~10年おきに異動するケースが一般的で、公務員のなかでは転勤する回数はかなり少ないといえます。

転勤先についても前勤務地の近辺や同管区内が多く、引っ越しなどの負担は軽めです。

しかし、幹部や上級職員になると、異動は2~3年ごとの短いスパン、転勤先についても管区に関係なく全国の施設が対象となりますので、より厳しい働き方となるようです。

刑務官の勤務時間・休日・生活

シフト制で日勤と24時間当直にあたる

刑務官の勤務時間は、他の公務員と同じように1週間につき38時間45分と定められていますが、日によって昼間勤務(日勤)と昼夜間勤務(当直)をこなすシフト制です。

昼間勤務の場合は7:00~17:00、昼夜間勤務の場合は7:30~翌日の7:30となることが一般的で、途中に休憩を挟みながら業務にあたります。

なお、どちらの勤務体系でも、勤務中はたとえ休憩時間であっても施設の外に出られないという点が特徴的です。

休日については1か月につき8日の休みとなっており、交代で休日を取得することになります。

刑務官の求人・就職状況・需要

求人数は毎年安定している

近年は厳しい国家の財政事情もあり、公務員の削減が推し進められているなかにあっても、刑務官の求人数は男女合計1000人前後で安定的に推移しています。

ただ、採用は「関東甲信越」や「東北」、「近畿」といったエリア別に実施されるため、地域によって採用人数にはかなりばらつきがあり、競争倍率も異なります。

人事院が毎年6月頃に発表する受験案内を参考にして、採用人数の多いエリアを受験することも、刑務官になるための有効な手段といえるかもしれません。

刑務官の転職状況・未経験採用

社会人を対象とした採用枠も若干ある

刑務官採用試験の刑務Aおよび刑務Bの区分は、18歳以上29歳未満であることが条件となっており、年齢が範囲内に収まっていれば、民間企業などから刑務官になることも可能です。

また、それ以上の年齢であっても、39歳未満であれば「社会人」という区分の試験を受験することができます。

ただし、社会人区分の採用人数は29歳未満対象の枠と比べると圧倒的に少なく、非常に高倍率となるケースが多いため、転職するなら20代のうちに決断したほうがチャンスは大きいでしょう。

刑務官の現状と将来性・今後の見通し

過酷な職場環境が続く見通し

刑務所の過剰収容は一時に比べれば緩和されましたが、依然として定員を超える受刑者を抱えている刑務所は数多くあります。

刑務官の人数が十分に足りていない施設も珍しくなく、一人あたりの負担が増えた結果、連日の長時間残業を強いられるケースも散見されます。

国家公務員という安定した身分が得られる職業であり、給与面も手厚いといえますが、職場環境は決してやさしいとはいえず、続けられるかどうかは個人の体力・精神力に依る部分が大きいでしょう。