作業療法士の将来性は人の数だけある
作業療法士は、少し前までは人材不足といわれる職業であり、国は養成学校を次々と設立することで、作業療法士の輩出に努めてきました。
そのかいもあってか、今では作業療法士の数はだいぶ増えており、若い人も医療や福祉の場でおおいに活躍しています。
一方、作業療法士という職業のあり方や存在価値に疑問を抱く人もいるようで、とくに「作業療法」と「理学療法」の差別化をしっかりと考えなければいけないという声はよく聞かれます。
現状としては、同じリハビリに携わる仕事として作業療法士と理学療法士の役割が重なっている部分もあることが事実です。
しかし、実際、作業療法だからこそ効果が出ると考えられるリハビリもたくさんあります。
作業療法士の活躍の場はすでに広がりつつありますが、現時点では、まだ作業療法は発展途上にあるといえるでしょう。
これから作業療法士を志す人には、自分で作業療法の新たな形を作っていくという気持ちを持つことも大切だといえます。
発達分野と高齢者への作業療法
作業療法士は、医療現場を中心に活躍していますが、そのほか特別支援学校や養護学校、高齢者施設など、幅広い場所で働くことができます。
とくに、発達障害や老年期障害を持つ人のリハビリ現場では、作業療法士の活躍が期待されており、これからますます多くの作業療法士が進出していくことになるでしょう。
これらの場所は、大学病院とは雰囲気も働き方も違ってきますが、脳科学への深い理解、行動への慎重な分析など、非常に高い専門性が必要とされることになり、作業療法士として成長できる場面がたくさんあります。
また、学校や高齢者施設は医療機関以上に患者さんの生活と密着した場となるため、日常生活の動きを取り入れた訓練を実施する作業療法士の特徴を生かしやすいと考えられます。
作業療法士のこれから
先にも挙げた通り、作業療法士の活躍の場や可能性は、時代とともに広がりを見せています。
そうしたなか、この先も作業療法士自身が新しい領域を切り開いていくことが期待されています。
もちろん、理論に基づき、すでにある作業療法をしっかりと実践していくことも、社会にとって必要かつ重要なことです。
これからさらに高齢化社会が進むなか、作業療法士が求められる場はたくさん出てくるでしょう。
高齢者の認知症の悪化防止を目的に、作業療法士のリハビリが取り入れられるケースも増えているようです。
今後も国家資格に裏付けられる専門性を生かしながら、心から患者さん一人ひとりと寄り添える作業療法士の活躍が期待されます。