作業療法士国家試験の難易度・合格率

作業療法士資格とは

作業療法士資格とは、厚生労働省が主管する国家資格であり、国家試験に合格することで資格が取得できます。

資格の種類は「名称独占資格」と呼ばれるものであり、作業療法士を名乗って仕事をするためには資格取得が必須であるものの、作業療法を行うこと自体は資格がなくても可能です。

しかし、作業療法を行うためには、高度な専門知識やスキルが不可欠であり、また新しい治療理論も日々新しく生み出されていきますので、継続的な勉強も欠かせません。

このため、臨床の現場において、看護師などがサポートすることはあっても、あくまで作業療法を行うのは作業療法士であるという認識がきわめて強く、業務を行うには資格取得が絶対条件となっています。

なお、作業療法士として働くためには、国家試験に合格した後に、厚生労働省が管理する「資格者名簿」に登録することが必要です。

作業療法士になるには? 必要な資格や免許は?

作業療法士国家試験の受験資格

作業療法士国家試験の受験資格を得るためには、国または都道府県の指定する養成校で3年以上学び、所定の単位を取得して卒業見込となるか、または卒業することが必要になります。

ただし、学業成績が悪く、国家試験に落ちる可能性が高いと判断された生徒については、学校全体の合格率を下げないために、そもそも受験資格を与えないという学校もよく見受けられます。

身につけなければならない知識量は非常に多いうえ、座学だけでなく現場での臨床実習も相当なボリュームがありますので、しっかりと勉強に励まなければ、受験資格は得られないでしょう。

なお、同じリハビリ専門職である理学療法士の国家資格を既に取得している人については、必要となる知識が一部重複しているため、養成校での学習期間が3年から2年に短縮されます。

作業療法士試験の内容

作業療法士試験は、5つのなかから1つまたは2つを選択して答えるマークシート形式で実施されます。

問題は、基礎知識を問う「一般問題」160問と、より実践的な知識を問う「実地問題」40問の2種類、計200問で構成されています。

一般問題で出題される科目は、解剖学や生理学、運動学、病理学、臨床心理学などの医学全般であり、実地問題の科目は、リハビリテーション医学や作業療法を中心とした専門的な内容となります。

午前と午後にそれぞれ2時間40分ずつ、丸1日かけて行われる長丁場の試験ですので、時間配分や集中力の持続が合否を分けるカギとなるでしょう。

厚生労働省の試験概要をみると、口述試験と実技試験の記載もありますが、これは筆記試験を受けることが難しい重度視力障がい者を対象としたものであり、一般の受験生に課されるのは筆記試験のみです。

作業療法士試験の難易度・勉強時間

作業療法士国家試験の合格率は、ここ10年ほどは70%~80%前後というかなり高い水準で推移しています。

ただし、これは試験自体の難易度が低いわけではなく、上述の通り、多くの養成校で十分に試験を突破できる実力があると認めた学生だけに受験資格を与えているためです。

合格レベルに達するためには、養成校での授業に加えて、日々の予習復習や国家試験対策といった自宅学習にも熱心に取り組むなど、日々の積み重ねが不可欠といえます。

また、作業療法士試験は、かつては合格率が低かった次年度には、問題をやさしくして合格率を上げるといった帳尻を合わせる動きがみられましたが、ここ数年は連続して合格率が下がり続けています。

この背景には、ある程度作業療法士の数が充足したため、新規の資格取得者を絞る厚生労働省の意向があるとする声もあり、今後もさらに合格者を減らすため、試験の難易度が上がる可能性もあります。

作業療法士国家試験の受験者数・合格率

作業療法士国家試験受験者数の推移

作業療法士国家試験の受験者数は、6,000人前後を推移しています。平成30年度は前年よりも若干増加し、6,358人となりました。

作業療法士国家試験受験者数_30

作業療法士国家試験合格率の推移

作業療法士国家試験の合格率は、実施年によってややばらつきがあります。平成30年度の合格率は前年よりも下降し、71.3%となっています。

作業療法士国家試験合格率_30

平成30年度 作業療法士国家試験新卒・既卒受験者・合格率

平成30年度の作業療法士国家試験の受験者数は、新卒が5,289人、既卒は1,266人で、比率にすると新卒80.8%、既卒19.2%です。

合格率は新卒の方が大幅に高く、新卒80.0%、既卒34.6%となっています。

平成30年度作業療法士国家試験新卒・既卒合格率_30

令和元年度 作業療法士国家試験の概要

試験日 1.筆記試験:令和2年2月23日(日曜日)
2.口述試験及び実技試験:令和2年2月25日(火曜日)
申込書受付 令和元年12月16日(月曜日)から令和2年1月6日(月曜日)までの間に作業療法士国家試験臨時事務所へ提出すること。
試験地 1.筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県及び沖縄県
2.口述試験及び実技試験:東京都"
受験資格 文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した作業療法士養成施設において、3年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得したもの(令和2年3月16日(月曜日)までに修業し、又は卒業する見込みの者を含む。)など
試験科目

筆記試験

一般問題及び実地問題に区分して次の科目について行う。ただし、重度視力障害者(視力の良い方の眼の矯正視力が0.03以下若しくは視力の良い方の眼の矯正視力が0.04かつ他方の眼の矯正視力が手動弁以下又は周辺視野角度(I/4視標による。以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度(I/2視標による。以下同じ。)が28度以下若しくは両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下の者をいう。)に対しては、実地問題については行わない。また、重度視力障害者に対しては、点字、試験問題の読み上げ又はその併用による受験を認める。弱視者(視力の良い方の眼の矯正視力が0.15以下又は周辺視野角度の総和が左右眼それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下若しくは両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下の者をいう。)に対しては、弱視用試験による受験を認める。
<一般問題>
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
<実地問題>
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

口述試験及び実技試験

重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について行う。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

合格率 71.3%(平成30年度)
合格発表 令和2年3月23日(月曜日)午後2時に厚生労働省および各地の作業療法士国家試験臨時事務所にその受験地、受験番号を掲示して発表
受験料 10,100円
詳細情報 厚生労働省 作業療法士国家試験