「内部監査」の仕事とは

内部監査の仕事内容

組織の中から企業運営を健全化する

内部監査とは、業務効率化や不正・不祥事の防止、ガバナンス強化など、さまざまな目的のために、企業の業務や会計の監査(監督し検査すること)を行う仕事です。

会社のルールに基づいて経営が正しく行われているかどうかや、組織内で従業員による不正が行われていないか、業務の進め方が非効率でないかといったことなどを調査・分析します。

規模の大きな企業ほど特にそうですが、経営者がすべての従業員の行動や業務内容を把握することはきわめて困難ですので、経営者に代わって組織を専門的にモニタリングする人間が必要になります。

さまざなリスクを排除し、業務を効率化していくことが内部監査の役割です。

もし監査の結果なんらかの問題が見つかれば、その改善点を考えたり、経営者に対して提案を行ったりして、企業運営の健全化に努めます。

内部監査1日

コミュニケーションに多くの時間を充てる

内部監査の担当者は、業務の性質上、監査対象から敵対感情を抱かれやすい傾向にあります。

業務を円滑に進めるためだけでなく、余計な軋轢を生まないためにも、内部監査は日頃からさまざまな人とコミュニケーションを密に取ります。

9:00 出社
各部署の担当者とメールや電話でやりとりします。

10:00 予備調査
監査を予定している部署の過去の調査記録を参照したり、担当者と打ち合わせします。

12:00 休憩

13:00 監査計画立案
監査対象部門の担当者と協議し、監査計画を作成します。

15:00 コンサルティング
以前実施した監査結果に基づき、担当者に対して業務を効率化するためのアドバイスを行います。

18:00 帰社

内部監査になるには

配属されるのはある程度キャリアを積んでから

内部監査になるためには、内部監査部門のある企業に勤めなければなりませんが、その多くは上場企業などの大企業です。

ただ、就職できても、新卒でいきなり内部監査部門に配属されることはほとんどありません。

内部監査の仕事では、会社法や日本版SOX法といわれる金融商品取引法などの関連する法律や、経理・財務などの専門知識に加え、会社全体を俯瞰的に見渡すための広い視野が必要になります。

このため、ある程度長い勤続年数と複数職の実務経験歴があり、会社組織に精通している人が、内部監査部門へ配置されることが多いようです。

ベテラン社員になるまで待てないなら、公認内部監査人などの資格を取得してアピールするか、あるいは公認会計士となって外部から監査業務に携わる道も検討すべきでしょう。

内部監査の学校・学費

学歴と同時に知識と経験も必要

内部監査に配属されるためには学歴が最優先事項ではありませんが、基本的に内部監査部門は上場企業などの大企業に設置されているため、就職には大卒以上の学歴が必要になることが一般的です。

また、学歴に加え、内部監査にはビジネスマンとしての十分な実務経験と、法律や会計などに関する深い専門知識が求められます。

将来的に内部監査職を目指すなら、学生や若手社員のうちから、会計や経理、経営について勉強しておいたほうがよいでしょう。

内部監査の資格・試験の難易度

関連する国際資格や国内資格がある

内部監査を実施するために必須となる資格はありませんが、関連する資格はいくつか存在し、取得できればキャリア形成や転職に有利に働く可能性があります。

国際的な資格としては公認内部監査人(CIA)という世界水準の認定資格が有名ですが、その合格率は10%前後と難関です。

海外に複数の拠点をもつグローバル企業に勤めるなら、非常に重宝される資格といえるでしょう。

国内資格としては内部監査士という資格がありますが、こちらは講座を受講した後に論文を提出する形式ですので、公認内部監査人と比べるとかなり難易度は低いといえます。

内部監査の給料・年収

専門性の高さに応じた収入が期待できる

内部監査の給料は、勤め先によって異なりますが、平均年収は500万円~600万円程度といわれています。

高度な専門スキルを要する難易度の高い仕事であり、また営業職などと比べて内部監査に従事する人の数はさほど多くないことから、他職種に比べるとやや高めの収入が期待できるといえそうです。

公認会計士や公認内部監査人(CIA)などの難関専門資格を取得し、経験を積んでスキルを磨いていくと、年収1000万円以上を得ることも可能になるでしょう。

内部監査のやりがい、楽しさ

会社全体を見渡すことができる

内部監査は他の部署と関わる機会が非常に多く、会社組織全体を客観的に見渡すことができる立場にあります。

一般的に内部監査部門自体が経営陣直下に配置されていることもあって、従業員というよりも経営者に近い目線から企業経営を学べる点は、内部監査という仕事の大きな魅力です。

また、さまざまなリスクから会社組織を守る内部監査の仕事は、長年勤めるなどして会社に対する愛着が強い人ほど、やりがいを感じやすいといえるでしょう。

内部監査のつらいこと、大変なこと

業務の性質上、疎まれることも

不正や不祥事を未然に防ぐという大義があるとはいえ、本来仲間であるはずの社員を調査せねばならない内部監査は、他の社員から疎まれる存在になってしまうことも少なくありません。

また業務上の問題点や改善点を指摘してコンサルティングを行う際も、こちらの言い方や相手の捉え方によっては、険悪な雰囲気になってしまうこともあり得ます。

人間関係をこじらせないためにも、内部監査職は常日頃から言動には人一倍気を配らないといけないかもしれません。

内部監査に向いている人・適性

客観的にものごとを捉えられる人

内部監査は、社内の人間でありながら、第三者の視点に立って業務を監督・調査し、助言しなければならないという難しい立場にあります。

主観的な視点や先入観をできる限り排除して、広い視野に立って客観的に正しい判断を下せる人は、内部監査の適性があります。

また、業務の改善点を見出し、的確にアドバイスするためには、高い情報収集能力と情報分析力が必要になりますので、観察力と洞察力に秀でた人は、内部監査に向いているといえます。

内部監査志望動機・目指すきっかけ

不正問題などに関心を抱いたことが契機に

近年では毎日のように企業の不正やコンプライアンス違反がメディアで報道されており、そういった問題に関心を持ったことが内部監査を志望する人の動機になっているようです。

内部監査を目指す人は、不正や不祥事を嫌悪する傾向が強く、高い倫理観や強い正義感を持っている人が多い印象です。

また、公認会計士の資格保有者や、公認会計士を目指して試験を受験した経歴のある人が、専門知識を活かすために内部監査を志望するケースもあります。

内部監査の雇用形態・働き方

キャリアを活かして役員になる道も

内部監査は、監査業務を実際に行っていく上で、財務や会計、コーポレートガバナンス、組織管理など、会社を経営していくために必要な知識やスキル、経験が身に付きます。

それらを活かして、一般社員から管理職を経て、経営陣や役員にキャリアアップしていくという働き方もできるでしょう。

また、内部監査を担当する役職として、株主総会で選任される「監査役」という会社法上の役員もありますので、会社役員に昇進した後も、引き続き内部監査にあたる場合もあります。

内部監査の勤務時間・休日・生活

閑散期と繁忙期が明確に分かれる

内部監査は、勤める企業の決算期に応じて、業務に追われて深夜まで働かねばならない時期と、相対的に余裕のある時期が明確に分かれる職種です。

最も忙しいのは年度監査に追われる決算期の翌月で、日本では3月決算の企業が一般的ですから、4月が繁忙期となります。

次いで、上場企業では四半期決算制度が導入されている関係上、3月決算の企業であれば四半期ごとの翌月、つまり7月、10月、1月が忙しい月です。

それらの月には休日出勤して業務をこなし、その代わりに閑散期にまとめて振替休日を取得するというケースもよくあるようです。

内部監査の求人・就職状況・需要

内部監査部門は慢性的な人手不足

相次ぐの企業の不正や不祥事発覚を受けて、どの企業でもリスクマネジメントの重要性が問われています。

また会社法の改正によって内部統制の整備が大企業で義務化されたこともあり、義務化の対象でない中小企業でも、内部監査に対する関心は高まっています。

しかし、社会人としての勤続年数と専門知識が必要になる内部監査は、人材育成に時間がかかるため、需要に対して供給が追いついておらず、どの企業も人手不足に悩んでいるのが現状のようです。

内部監査の転職状況・未経験採用

スキルさえあれば転職先の選択肢は多数

内部監査としての実務経験があり、専門知識やスキルを有している人は、転職市場では非常に人気で、就職先として多くの企業が候補に上がるでしょう。

別の企業で内部監査業務を手掛けることもできますし、監査法人や会計事務所に勤めることもできます。

業務改善や効率化が得意なら、コンサルティング会社に就職するという道もあります。

その一方、未経験から採用されることは非常に困難を伴いますが、経理や会計での実務経験があったり、また関連する資格を有していれば、働き口の見つかる可能性があるでしょう。

内部監査の現状と将来性・今後の見通し

実務経験者の需要はきわめて大きい

不正や不祥事といった企業にとってのリスクを低減させ、健全な企業運営を行っていくために、内部監査は欠かせない存在です。

最近の内部監査には、社内の不正や問題点を見つけ出すというだけでなく、業務効率化のための提案や、経営面のサポートといった役割も同時に期待されているようです。

内部監査の知識を持つ人は決して多くなく、一定の実務経験や資格、スキルがある人材には非常に大きな需要がありますので、将来の見通しは明るいといえるでしょう。