女性の自動車メーカー社員のキャリアパス・結婚後の生活

女性の自動車メーカー社員の現状

全体的には男性が多め

自動車メーカーで働く社員は全体的に男性が多い傾向であり、女性は少数派です。

トヨタ、日産、ホンダといった大手では女性を積極的に採用する動きもみられますが、それでもまだまだ女性割合は少なめです。

業界でも特に女性比率が高いといわれているホンダであっても、2019年における女性従業員数は4112人で全体の7.9%、女性採用割合は16.9%、女性管理職比率は2.1%にとどまっています。

参考:数字で見るHondaの今

自動車や機械に興味関心をもつのはやはり男性が多く、女性からは就職先として敬遠されやすいことも影響しているようです。

とくに技術系職種は女性が少ない

設計開発や生産技術などを担当する「技術系総合職コース」では、おもに理系学部出身者を対象とすることもあり、女性社員は特に少ない環境です。

開発チームや研究チームに女性がほぼいないというメーカーもあります。

一方、営業やマーケティング、企画など担当する「事務系総合職」コースは、技術系にくらべると女性比率は高めです。

「語学力を生かし海外営業をしたい」などの理由で、自動車メーカーの事務系総合職をあえて選ぶ女性もいます。

また、一般事務などの定型サポート業務をおこなう「一般職(業務職)」では男性よりも女性からの応募が多くなり、一般職は女性社員ばかりといった事業所もあります。

改善されてきている

男女平等雇用やダイバーシティーがささやかれる中、どのメーカーも以前にくらべると女性の採用には積極的であり、毎年着実に女性比率は改善しています。

女性社員を呼び込むため、出産、育児、介護など女性のライフスタイルに合わせたサポート制度を充実されるメーカーも増えてきています。

また、女性の管理職登用も積極化する動きがでてきています。

たとえばホンダでは「今後は女性管理職の数に着目し2014年度に対して2020年には3倍、2025年には9倍とする」という目標をかかげています。

自動車メーカーは男社会という常識は、現在進行形で変わりはじめてもいます。

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女性の自動車メーカー社員の強み・弱み

女性の強み

自動車メーカーの組織は大きく、他部署の人間や、傘下の部品メーカーの人間など、さまざまな方面の人々と連携し仕事を進めていくことになります。

一般的に男性よりも女性のほうがコミュニケーション力は高いといわれており、そのような組織内でのチームプレイを円滑に進められる強みがあります。

自動車メーカーは世界市場もターゲットとしているため、海外の顧客とやりとりをすることも多く、自社内にも外国人社員は多く所属しています。

国籍や文化の違う人々と対話する上でも女性の潜在的なコミュニケーション力は強みとなります。

また「女性ならではの視点」で、自動車の企画や開発などが行えることも強みです。

従来のように性能やパワー重視ではなく、実用性やデザイン性を重視してクルマが選ばれる時代にもなりつつあるため、女性の視点は今後のクルマ作りでより重要になります。

女性の弱み

「自動車や機械に強いのは男性」、「女性だと不安」といったイメージをもつ人もおり、女性であると専門的、技術的なやりとりなどで軽視されたり下にみられたりすることも少なからずあるようです。

また男性中心の職場では、女性はセクハラを受けやすいリスクがあり、またその逆に女性がいるとセクハラなどのクレームを受けやすいため、部下から女性を外したがる上司もいます。

生産部門などに配属すると、重い生産機材を扱ったりするなど、肉体労働的な一面もあるため、女性では身体能力的に男性より不利になる場面もあります。

女性自動車メーカー社員の結婚後の働き方・雇用形態

総合職で採用された社員は、女性であってもキャリア志向の人が多いため、結婚後も仕事は辞めず、そのまま総合職として働き続ける人が多めです。

その一方、一般職(業務職)で採用された社員は、結婚を機に寿退社していく人が総合職に比べると多いですが、一般職でも結婚後も働き続ける人もいます。

なお、結婚相手の夫が各地を渡り歩く「転勤族」である場合、夫の転勤に合せて退職していく女性社員も一定数います。

こうった配偶者の転勤、家族の介護など、止む負えない事情で辞めていく社員に対して、一定期間後再雇用する制度をもうける自動車メーカーも増えてきています。

たとえばトヨタではこのような制度を「キャリア・カムバック制度」としています。

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自動車メーカー社員は子育てしながら働ける?

支援制度も豊富で両立させる女性も多い

自動車メーカーでは、はたらく女性向けの支援制度を各社豊富に用意しています。

たとえばトヨタでは次のような支援制度を用意しています。

<トヨタの女性向け支援制度>
・育児休職制度:最長2年以上の育児休職が可能
・勤務時間の短縮措置:最長で子どもが小学4年生になるまで時短勤務が可能
・FTL制度(在宅勤務制度):育児や介護に限らず、本人の希望に応じて在宅勤務が可能
・事業内託児所:本社、事業所の4施設に託児施設を開設、送迎保育や病児保育も完備
・キャリア・カムバック制度:配偶者の転勤や介護等の理由で退職した人を再雇用

このような支援制度をうまく活用し、子育てと仕事を両立させ、順調にキャリアを歩んでいく女性社員もいます。

子育ての弊害要素

ただし、自動車メーカーの社員の仕事には子育てをする上での弊害要素もあります。

<弊害要素>
・繁忙期などには長時間残業が発生し、毎日帰りが遅くなることもある
・自動車メーカーの社員は立場上大きなプロジェクトをまかされることも多く、仕事に注力しないといけない時期もある
・全国転勤、海外転勤、長期出張などを命じられることも少なくない
・生産部門などに配属されると、夜間の対応などが発生することもある

子育て中の女性であれば、ある程度は残業や転勤などは考慮してはもらえることが多いですが、絶対に回避できるとは限りません。

とくに遠方地や海外への転勤が命じられると、新天地でゼロから生活を立て直さないとならないため、本人にとっても子どもにとっても大きな負担となります。

自動車メーカー社員は女性が一生働ける仕事?

年齢のハンデなく働ける

自動車メーカーの正社員は、定年雇用が原則であり60歳~65歳の定年まで働くことができます。

成果主義を採用している会社であっても、よほど能力に問題がない限りは途中でリストラされるなどのケースは少なく、定年まで働くことが可能です。

能力面については、自動車メーカーは、ファッション業界などのように若い女性ならではの感性やセンスが強みとなる業界でもないため、年齢的なハンデは受けにくいです。

またジョブローテーション制でさまざまな仕事、部署で働くことができます。

年齢を重ねても居場所がなくなるということは少なく、むしろさまざまな経験を積んだ年配社員のほうが活躍しやすい側面もあります。

定年後も働くことは可能

自動車メーカーは平均年収や退職金の額も大きいため、定年後はそれまでの貯蓄をもとにゆったりとした老後をおくる人が多めです。

定年後もまだまだ働きたいという人には、「定年後再雇用制度」を利用することで、その後も仕事にたずさわることも可能です。

経験豊かなシニア人材を新たな働き手として注目する自動車メーカーも増えてきています。