鍼灸師の現状と将来性

東洋医学の可能性に注目が集まっている

鍼灸師が行う「はり」や「お灸」の治療は、古くから伝わる東洋の療法です。

薬などを使って体内から治療を施す現代医学(西洋医学)の考え方とは異なり、外から刺激を与える方法であることで注目を集めています。

もう一つ、東方医学の大きな特徴は、全身のバランスを見ながら、人間が持つ「自然治癒力」を最大限に高めていく点にあります。

「熱が出れば解熱剤を飲む」「風邪症状には抗生物質を飲む」といった、さまざまな症状を抑えるための「対症療法」とは異なります。

東洋医学は薬と比べて副作用も少ないこと、また、原因や治療法がよくわからないアレルギーや慢性病といった症状の改善にも役立つとして、海外でも注目され、取り入れられるケースが増えています。

なお、東洋医学は科学的に効果が実証されているものもあり、最近ではスポーツ選手が練習や試合後、あるいはケガの後の機能回復に利用することも多くなっているようです。

鍼灸師の需要と将来性

鍼灸師の養成施設は、近年増加傾向にあるといわれています。

高齢化や生活習慣病の増加にともなって、人々の健康に対する不安感が増している現代社会。

とくに高齢者の医療制度においては、窓口負担額が最高で1割から3割に引き上げられるケースも設定されるなど、国民医療費の削減が、現代日本における大きな課題となっています。

また、介護保険制度においては、介護が必要な人の評価基準が引き上げられたことにより、介護保険サービスを利用するためのハードルが以前より高くなっている面もあります。

今後は「できるだけ病気にならない身体を作る」「リハビリなどは可能な限り自分で行う」といった考え方が、私たちの生活にもっと浸透していくものと考えられます。

こうしたことから、老人保健施設や有料老人ホームにおいても健康維持、リハビリを目的とした鍼灸の需要が増えています。

また、施設での治療のみならず、利用者宅に出向いて鍼灸を行う「訪問リハビリステーション」の求人も増えるなど、鍼灸師が必要とされるフィールドは広がっているといえるでしょう。

美容、スポーツ業界でも需要が高まっている

「鍼灸は高齢者のもの」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、最近では美容業界においても、鍼灸師が活躍できるチャンスが増えているといわれます。

たとえば、耳つぼを使ったダイエット法や、全身の気の流れを整える美容健康法にもよく鍼灸が取り入れられており、安全かつ副作用の少ない美容法として、若者からの注目も高まっています。

さらに、鍼灸のスキルを持つ人が、プロスポーツ選手のリハビリや機能回復の治療を行うなど、スポーツ業界で活躍するケースも目立ってきています。

実際には、鍼灸をはじめとする東洋医学は、まだまだ西洋の現代医学に比べて馴染みがないといえるでしょう。しかし、だからこそチャンスのある分野だともいえます。

この先、鍼灸師自身が多様な可能性を探っていくことによって、鍼灸師の可能性は大きく広がっていくものと考えられます。