「司法書士」の仕事とは

司法書士の仕事内容

裁判所や法務局への手続きを代行する

司法書士は、個人や企業からの依頼を受け、法律に関する書類作成や法律上の手続きを代行する職業です。

代表的な業務としては、不動産売買や相続の際の不動産登記手続きや、会社設立時の商業登記手続きが挙げられます。

それ以外にも、簡易裁判で訴訟代理業務を行う裁判事務、成年後見業務、供託業務、帰化申請など、法律に関するさまざまな仕事を行っています。

同じ「書士」として行政書士という資格もあり、法律に関する書類を作成するという点では共通しています。

しかし、司法書士が主に裁判所や法務局に提出する書類を作成するのに対し、行政書士はその名の通り行政機関(国や都道府県、市町村など)に提出する書類を作成するため、業務内容は異なります。

司法書士の就職先・活躍の場

取り扱える業務内容は増えている

司法書士の就職先として代表的なのは司法書士事務所で、経験とスキルを積んだ後には独立して自分の司法書士事務所を開業することもできます。

その他、一般企業に就職し、法務部などの法律関係を取り扱う部署でサラリーマンとして働く人や、弁護士事務所に勤める人もいます。

これまで事務手続きを専門にしてきた司法書士ですが、近年では制度改正によって債務整理や借金の過払い金請求といった法律業務も手掛けられるようになったため、活躍の場は拡がっています。

なお、司法書士の資格は国内のみで適用されるものであり、海外で仕事をする場合には、その国の資格を取得することが必要です。

司法書士1日

事務所と法務局と裁判所を往復

司法書士は法務局と裁判所に足繫く通う必要性があるため、それらの公的機関が開いている日中は外出していることが多くなります。

デスクワークを集中して行うのは、朝の早い時間か、あるいはは役所関係が閉まる夕方以降のようです。


9:00 出社
メールチェック、案件ごとの打ち合わせなどを行います。

10:00 不動産取引
指定された銀行へ赴き、所有権移転手続きなどを行います。

12:00 休憩

13:00 役所訪問
法務局で商業登記簿謄本などを取得します。

15:00 顧客面談
依頼者と新会社設立のための打ち合わせを行います。

16:00 デスクワーク
裁判所に提出書類や顧客への見積書を作成します。

19:00 帰社

司法書士になるには

試験に受かり、登録することが必要

司法書士になるには、まず難関国家試験である司法書士試験を突破する必要があります。

無事合格できたら、全国の司法書士会のいずれかに登録し、指定の研修を受けた後、やっと司法書士として業務を始めることができます。

また、司法書士試験に合格する以外の道として、裁判所事務官や検察事務官を10年以上務め、法務大臣の認定を得ることで、司法書士の資格を得るという方法も存在します。

最低でも10年がかかる長い道のりですが、資格取得の確実性は高いといえます。

司法書士の学校・学費

法学部出身者は試験に有利

司法書士試験に学歴などの受験要件はなく、誰でも受けることが可能ですが、やはり大学の法学部出身者は法律に関する素養があるぶん、試験に有利なようです。

ただ、司法書士試験は非常に難関ですので、学歴や出身学部に関係なく、多くの人は資格取得のための専門学校に通って、集中的に受験対策をするようです。

社会人として働きながらでも、あるいは学生のうちからでも学べるように、夜間に授業を開講している専門学校も多数あります。

司法書士の資格・試験の難易度

長期間の努力が必要とされる

司法書士試験の合格率は毎年3%前後という低い水準で推移しており、非常に狭き門といえます。

年に1度の試験ですが、何年も受け続けて合格を目指す人も少なくありません。

合格するために必要な勉強時間は、法律に対する基礎知識があるかどうかでも変わってきますが、およそ1400〜2000時間といわれています。

独学であっても、きちんとポイントを押さえて勉強すれば合格は十分可能ですが、数年間にわたって勉強するためのモチベーションを維持し続けるには、熱意と固い意思が必要です。

司法書士の給料・年収

経験次第で高収入が期待できる

司法書士の国家試験は合格率が低いことで有名ですが、これは合格者が出過ぎないように調整がなされていることも一因としてあります。

そうして資格保有者の希少性を保っているゆえに、司法書士の給料は全体的に高水準であり、独立して成功することで非常に高額の収入を得ることも可能です。

しかし、経験が問われる仕事であるため、新人の給料は一般の会社員と大差なく、スキルを身につけることで段階的に収入がアップしていくケースが一般的であるようです。

司法書士のやりがい、楽しさ

依頼者との距離が近い

書類作成などの実務作業を手掛ける司法書士は、依頼者と顔を合わせる機会が多く、人間関係が出来やすいという特徴があります。

相続関係など、数か月に及ぶ案件も少なくありませんので、無事に業務が完了した際には、「あなたに任せてよかった」「また次もお願いしたい」と声をかけてもらえることも多いようです。

また、求人数が多く、かつ独立しやすい資格であるために、結婚などのライフイベントに関わらず、長く仕事を続けられるというメリットもあります。

司法書士のつらいこと、大変なこと

さまざまな業務に追われる

司法書士は裁判所や法務局、顧客、取引場所などを巡らねばならず、その合間に書類作成などの事務作業もこなさなければなりません。

司法書士が受け取れる報酬は案件ごとにある程度相場が定まっていますので、稼ぐためには数をこなす必要があり、独立していると特にワークライフバランスはとりにくいようです。

また事務所を経営している場合は本業の他に経理作業や営業活動も自分で行わなければならないため、どうしても業務量は多くなってしまう傾向にあります。

司法書士に向いている人・適性

地味な作業が苦にならない人

司法書士の「書士」とは「書類を作成する人」という意味であり、司法書士の仕事は、難解な書類と向き合う地道な作業の繰り返しです。

法律に照らし合わせながら、間違いのないように書類を作成しなければなりません。

失敗は許されませんので、地味な作業を集中力を持って続けられる、几帳面な性格の人が司法書士に向いているでしょう。

また、独立するならば、仕事を得るための営業活動や人脈も重要になってきますので、人とのコミュニケーションが得意である必要もあるでしょう。

司法書士志望動機・目指すきっかけ

法律関係の仕事をしたい人が多い

司法書士を目指すのは、大学の法学部出身者をはじめ、法律の知識を活かせる仕事がしたいと考える人が多い印象です。

弁護士は、通常大学を卒業後さらに法科大学院に進み、その上で司法試験に受かる必要があるため、目指せる人は限られてきますが、司法書士なら社会人として働きながらでも目指すことができます。

また、将来的に個人事務所を開きたいという独立志向の強い人も、司法書士を志望するようです。

司法書士の雇用形態・働き方

安定を取るか、高収入を狙うか

司法書士試験に合格しただけでは実務をこなせないため、新たに資格を取得した人はまず司法書士事務所や企業などで経験を積む必要があります。

その後は、引き続き司法書士事務所などで勤務し続ける人もいれば、独立して開業する人もおり、働き方はさまざまです。

独立したほうが仕事量は増え、こなさなければならない業務内容も多くなりますが、その分多くの収入を得ることができるでしょう。

事務所や企業に勤務しているほうがリスクは少ないという捉え方もできますので、どのような働き方を選択するかは個人の考え方次第です。

司法書士の勤務時間・休日・生活

独立していると勤務時間は長くなる

事務所や企業に雇用されている場合は、他の一般的なサラリーマンと同様、ある程度勤務時間と休日は固定されますが、独立しているとそうはいきません。

基本的に司法書士は単価仕事ですので、案件の数をこなせばこなすほど、報酬は上がります。

1件あたりにかかる手間も決して少なくはありませんので、独立しているとどうしても仕事量をこなすために勤務時間は長くなる傾向にあります。

また、依頼者の仕事の都合で土日祝日に打ち合わせが入るケースも決して少なくありませんので、休日も不規則になりがちです。

司法書士の求人・就職状況・需要

需要に対して有資格者が少ない

司法書士は試験の難易度が非常に高いため、資格保有者数が限られており、全国で2万人程度しかいません。

このため求人は都市部を中心として数多くあり、司法書士事務所や一般企業の法務部門など、就職先の選択肢は多いでしょう。

また他の職種と比べて女性が活躍しやすい点も特徴として挙げられます。

司法書士の年齢構成がかなり高齢に寄っていることもあり、今後さらに需要と供給量の差が開いてくるかもしれません。

司法書士の転職状況・未経験採用

資格取得を目指す人は歓迎される

未経験者の採用に積極的な司法書士事務所は多数あり、就職先を見つけるのに苦労することは少ないでしょう。

司法書士事務所で働く事務職の人の中には、そもそも最初から資格取得の意思がないケースも珍しくなく、事務所によっては資格取得志望者を歓迎するところもあります。

またある程度の実務経験がある有資格者であれば、さらに求人は豊富にあり、出産や育児などを経てブランクがある女性などでも、比較的容易に復職できるでしょう。

司法書士の現状と将来性・今後の見通し

業務範囲も需要も拡大傾向

近年、司法書士法の改正を受け、法務大臣から認定を受けた「認定司法書士」という資格があれば、訴訟額140万円以下の簡易裁判所の事件に関しては、弁護士と同じ活動ができるようになりました。

法律関係の業務も取り扱えるようになるなど、司法書士の業務範囲は拡大しつつあります。

また、今後は社会全体で高齢化が進むにつれ、遺言や相続に関する業務や、成年後見業務の依頼が増えていくと予想されており、司法書士の需要はますます高まっていくでしょう。