司法書士試験の難易度は? 実質合格率は3%より高い?

  
司法書士資格試験は、受験資格は必要ないですが、弁護士になるための司法試験に次ぐ難しさと言われており、例年の合格率は3%前後です。

相対評価である特殊な合格基準も、難易度が高いと言われる要因です。

この記事では司法書士資格試験の難易度・合格率について解説します。

司法書士資格とは

司法書士_画像

司法書士の業務は以下のような独占業務をはじめ、多岐にわたります。

司法書士の仕事内容
  • 土地や建物の不動産登記
  • 法人の商業登記
  • 相続手続き
  • 成年後見制度手続き
  • 債務整理

このような司法書士の業務は、いずれも複数の法律知識が必要となる高度なもので、法的効力も強いため司法書士資格を取得することが必須となっています。

司法書士資格を取得する2つのルート

司法書士資格を取得するには、主に2つの方法があります。

司法書士試験に合格して司法書士資格を得る方法が一般的です。

なお、司法書士取得後に所定の研修などを受けて認定司法書士になると、簡易裁判所で取り扱う少額の訴訟事件については、弁護士と同じ代理人業務を行うことが可能です。

司法書士になるには

司法書士試験の難易度・勉強時間

司法書士試験の難易度は、法曹資格の中では司法試験に次ぐ難しさです。

この章では、司法書士試験の概要・難易度や合格するために必要な勉強時間について解説します。

司法書士試験の概要と必要な勉強時間

司法書士試験は、

  • 7月:筆記試験
  • 10月:口述試験

の2段階選抜形式です。

筆記試験に合格できた人だけが口述試験に進め、口述試験を突破すると最終合格となります。

司法書士試験は、法曹資格のなかでは司法試験に次ぐ難易度とされています。

合格するまでにはおよそ1,400時間~2,000時間ほどの勉強時間が必要といわれています。

司法書士試験と他資格の必要勉強時間の比較

司法書士試験と他資格の必要勉強時間の比較

同じ法曹系資格である行政書士の資格と比較しても、必要勉強時間が段違いであるとわかります。

長期間にわたる努力が求められる難関ですので、いかに効率よく学習を進められるかが、合否を分ける重要なポイントになります。

行政書士合格までの勉強時間はどれくらい?

司法書士試験の筆記試験

筆記試験は午前の部と午後の部に分かれており、

  • 午前:マークシート式
  • 午後:マークシート式と記述式

の試験が行われます。

司法書士試験:午前の部
  • マークシート式
  • 憲法、民法、商法などに関する基礎的な法律知識
司法書士試験:午後の部
  • マークシート式および記述式
  • 不動産登記法や商業登記法等専門的な内容

試験内容は範囲が広く、また問われる法解釈のレベルも高度です。

したがって、民間の予備校などに通って、専門的な対策授業を受けるケースが一般的です。

忙しくて継続的に通学することが困難な場合は、少ない時間を有効利用するためにも通信教育を利用する方法もあります。

問われる知識量や知識レベルを考えると、法学部出身者でないと太刀打ちできないと不安に思うかもしれませんが、合格できるかどうかは学習方法次第であり、毎年法学未修者も多数合格しています。

要点を抑えて、効率よく試験対策を行うことが、資格取得への近道といえるでしょう。

司法書士試験の口述試験

口述試験で不合格になる人はほとんどいません。

したがって、司法書士試験の実質的な山場は7月の筆記試験にあるとみておいて間違いありません。

口述試験の内容は、口頭での会話形式で出題された設問に対して、口頭で回答する形式の試験です。

筆記試験のようにじっくりと考える時間の余裕がなく、その場で機転を働かせて即座に回答する必要があるため、専門的な対策が必要ではないかと悩む人もいるかもしれません。

しかし、司法書士試験の口述試験は不合格になることはほとんどなく、合否を決定するというよりも、受験生のレベルを探るために行われていると言われています。

司法書士試験の受験者数・合格率

司法書士試験の合格率は、毎年3%~4%前後という非常に低い水準で推移しています。

一方、同じ法曹資格である弁護士、検察官、裁判官になるために受験する司法試験の合格率は20%前後です。

司法試験は、受験資格を得るためのハードルが非常に高いことも合格率が高い要因ですが、合格率だけを見れば司法書士試験の方が非常に低くなっています。

司法試験の難易度・合格率

しかし司法書士試験については、依然として毎年の合格者を一定数に絞るという方針が続いており、合格率は低いままです。

今後についても、同程度の合格率が維持される見通しで、狭き門となっていることで資格の価値が守られているともいえます。

難関試験を突破できた人は、苦労に見合うだけの、就職面や収入面でのメリットを享受できるでしょう。

司法書士試験受験者数の推移

司法書士試験の受験者数は、平成23年度試験以降、減少傾向にあります。平成31年度試験の受験者数は前年よりも減少し13,683人となりました。

司法書士試験受験者数_令1

過去10年間で受験者数は約半分になっています。

理由としては

  • 少子化
  • 景気回復により一般企業への就職者数の増加
  • 親によるダブルスクールの費用負担の嫌厭

といったことが考えられます。

司法書士試験の受験者は、大学に通いながら、司法書士試験対策を行う専門学校へ通うダブルスクールが一般的です。

親への金銭的な負担が非常に大きいことも、司法書士試験受験者が減少する一つの要因と考えられます。

司法書士試験合格率の推移

司法書士試験の合格率は、例年ほとんど変化がありません。

平成31年度試験の合格率も4.4%という低い数字となっています。

司法書士試験合格率_令1

受験者数が10年で半分まで減っているものの、合格率は上がっていません。

したがって、合格者数も減少しています。

平成31年度 司法書士試験合格者男女比率

平成31年度試験における司法書士試験合格者の男女の合格者数内訳は、男性が466人(77.5%)、女性135人(22.5%)となっています。

司法書士試験合格者男女比率_令1

司法書士資格試験の難易度が高いと言われる理由

司法書士試験の難易度が高い理由
  • 絶対評価ではなく相対評価だから
  • 基準点による足切りがあるから

司法書士試験の内容が難しいのはもちろんですが、特殊な合格基準により難易度が高いと言われる要因の一つになっています。

絶対評価ではなく相対評価

司法書士試験は、基準点を超えた人全員が合格になる絶対評価ではありません。

合格点を超えた人のうち、さらに成績上位者のみが合格となる相対評価です。

司法書士試験は合格点に達していても、相対評価のため不合格になることもあります。

司法書士試験の合格率が常に3~4%で推移しているのは、相対評価であることが理由です。

司基準点による足切り

司基準点による足切り
  • 午前の択一問題
  • 午後の択一問題
  • 午後の記述問題

午前の択一問題・午後の択一問題・午後の記述問題、この3つすべてが基準点を満たしており、かつ合格点に届いてなければなりません。

司法書士試験平成30年の合格者の例です。

人数(人) 合格者割合
受験者数 14,387 -
午前基準点クリア 2,897 20.1%
午後基準点クリア 3,461 24.1%
択一式クリア 2,135 14.8%
記述式基準点クリア 1,160 8.1%
総合合格点クリア 686 4.8%
合格者数 621 4.3%

受験者約1万4千人のうち、午前・午後の択一式問題の基準点合格者は約2千人、そのうち記述式をクリアしたのは約千人。

すべての基準点を満たした人の中から、合格したのは成績上位者の約7百人です。

口述試験は、欠席するなどしなければ合格しますので、筆記試験の合格者が実質の合格者と言えます。

合格率が低いのは受験資格が必要ないことも要因

司法書士試験は、法科大学院で学ぶのが必須の司法書士試験と違って、誰でも受験が可能です。

したがって、受験者数には「記念受験」の人も毎年一定数います。

毎年、受験志願者のうち約2割が欠席したり午前中の部だけ受けたりしているのが実態です。

司法書士試験の合格率は3%前後で推移していますが、上記のような人も含めた数値です。

本気で勉強して受験している人だけでみれば、実質の合格率はもう少し高いでしょう。

司法書士試験の難易度偏差値は? 他の資格と比較

税理士弁理士、行政書士との難易度比較

司法書士試験は、難関と言われている税理士よりも難易度が高いと言われています。

また、司法書士と同じく受験資格に制限のない弁理士の合格率は6~7%で、司法書士の合格率3%前後と比較すると高くなっています。

司法書士試験には科目別の合格がなく、一発勝負であることも難易度が高いと言われる理由です。

よく比較される行政書士は、基準点に達すれば全員合格の「絶対評価」で合格率は例年10%です。

代表的な資格試験と例年の合格率の目安は以下の通り。

資格 例年合格率目安
司法書士 3~4%
行政書士 10%前後
税理士 12~17%
公認会計士 10%前後
社会保険労務士 7%前後
宅地建物取引士 15%前後
不動産鑑定士(論文) 10~15%
弁理士 6~7%
通関士 10%前後

ただし、合格率は一つの目安です。

たとえば、公認会計士や税理士の資格試験は科目別合格等、分けて受験が可能で、一発で合格する人はほとんどいません。

合格率には数年かけて合格科目を積み上げてきた人も含まれています。

令和2年度司法書士試験の概要

試験日 ・筆記試験:令和2年9月27日(日)
・口述試験:令和3年1月頃予定
試験地 法務局および地方法務局の所在地など全国各所
受験資格 特に制限はありません。
試験内容
試験科目 (1)憲法、民法、商法(会社法その他の商法分野に関する法令を含む。)および刑法に関する知識
(2)不動産登記及び商業(法人)登記に関する知識(登記申請書の作成に関するものを含む。)
(3)供託並びに民事訴訟、民事執行及び民事保全に関する知識
(4)その他司法書士法第3条第Ⅰ項第Ⅰ号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力
合格基準 午前の部105点中75点、午後の部105点中66点、記述式問題70点中32.5点にそれぞれ達しない場合は、不合格(平成31年度)
合格率 4.4%(平成31年度)
合格発表 筆記試験結果発表:未定
最終合格者発表:未定
受験料 8,000円
詳細情報 法務省 司法書士

司法書士試験の難易度は? 実質合格率は3%より高い? のまとめ

司法書士の業務は、不動産登記・法人の商業登記・相続手続き・成年後見制度手続き・債務整理などの独占業務をはじめ、多岐にわたります。

司法書士試験に合格して司法書士資格を得る方法が一般的で、さらに司法書士取得後に所定の研修などを受けて認定司法書士になると、簡易裁判所で取り扱う少額の訴訟事件については、弁護士と同じ代理人業務を行うことが可能です。

司法書士試験は、法曹資格のなかでは司法試験に次ぐ難易度とされており、合格するまでにはおよそ1,400時間~2,000時間ほどの勉強時間が必要です。

長期間にわたる努力が求められ、いかに効率よく学習を進められるかが、合否を分ける重要なポイントになります。

また試験内容は範囲が広く、また問われる法解釈のレベルも高度のため、民間の予備校や継続的に通学することが困難な場合は、通信教育を利用して勉強をしています。

司法書士試験の合格率は、毎年3%~4%前後という非常に低い水準で推移していますが、絶対評価ではなく相対評価であること・基準点による足切りがあることから、難易度が高いと言われる要因の一つになっています。

受験者数には記念受験の人も毎年一定数いることも要因のひとつです。

合格できるかどうかは学習方法次第であり、毎年法学未修者も合格することから、要点を抑えて効率よく試験対策を行うことが、資格取得への近道といえるでしょう。