「政策秘書」とは

国の政治を担う国会議員の右腕となり、政策・法案の立案の手助けや質問案の作成をする。

国会議員政策担当秘書は、国の政治を担う多忙な国会議員をサポートする仕事です。

関係省庁や専門官と連携をとり、議員が国会に提出する政策や法案の立案を手助けしたり、法案に対する委員会質疑に向けて議員や党の意向を踏まえた質問案を作成したりします。

この仕事に就くには「国家資格の政策担当秘書試験に合格する」、もしくは「選考採用査定認定を受ける」という2つの方法があります。

身分は国家公務員となるため、経験と勤続年数が上がれば、収入も上がり、年収1000万円以上を得る人もいます。

議員を身近で支える重要な役目を担いますが、担当する議員が選挙で落選した場合などには、秘書も職を失うリスクがあるため、政策秘書としての専門性を磨くとともに、人脈を築いておくことが必要でしょう。

「政策秘書」の仕事紹介

政策秘書の仕事内容

あらゆる面から国会議員の活動をサポートする

政策秘書は国会議員が雇うことのできる公設秘書の一種で、正式には「国会議員政策担当秘書」といいます。

政策秘書の仕事内容は多岐にわたりますが、主なものとして2つが挙げられます。

ひとつは関係省庁や専門官と連携して、国の政策や法律に関する調査・情報収集を行い、それらが抱える問題点や課題などを分析して、議員が国会に提出する政策や法案の立案をサポートすることです。

もう一つは、法案に対する委員会質疑に向けて、議員や党の意向を踏まえた質問案を作成することです。

この他、議員の代理として来客に対応したり、議員のスケジュールを調整したり、支援者へのフォローを含め選挙応援活動全体を取り仕切るなど、非常に幅広い分野の秘書業務を行います。

政策秘書の就職先・活躍の場

衆議院議員か参議院議員に採用される

政策秘書の就職先は、現役の衆議院議員または参議院議員です。

いずれかの国会議員による面接を受け、採用されると、実際に働く場所としては東京にある議員会館であることが大半です。

国会の会期中は、議員会館で政策立案や議会・委員会の質問・答弁に関わる業務をこなし、閉会中や選挙期間には、担当する議員の選挙区に赴き、報告会や有権者まわりといった活動を行います。

ただし、担当する議員が選挙で落選してしまうと、政策秘書も自動的に職を失うため、再び就職先を探すことになります。

政策秘書1日

政策秘書はきわめて多忙

政策秘書はさまざまな業務を並行してこなさければならないため、1日のスケジュールがびっしり詰まっていることも珍しくありません。

手際の良さや、頭の回転が問われることになります。

8:00 出勤
議員にスケジュールを伝え、資料などの説明をします。

10:00 勉強会
議員が出席できない党の勉強会をはしごして、レポートにまとめます。

12:00 休憩

13:00 支援者面談
議員の支持団体からの陳情を受け、他の秘書と方針を協議します。

15:00 デスクワーク
翌日の委員会のための質問原案を作成します。

18:00 会合
議員と共に、他の党員との会合に出席します。

21:00 帰宅

政策秘書になるには

試験に合格するか、認定を受ける

政策秘書になるためには、国家試験である「政策担当秘書試験」に合格するか、いくつかの要件を満たして「選考採用審査認定」を受ける必要があります。

ただし、試験に合格しても、あくまで政策秘書に採用されるための権利を得たにすぎず、実際に政策秘書として働くためには、いずれかの国会議員に採用されなくてはならない点に留意が必要です。

なお、現状の政策秘書は、選考採用審査認定ルートから職に就いている人がほとんどといわれています。

政策秘書の学校・学費

政治や経済などについて学んでおくべき

政策担当秘書試験には受験要件があり、年齢は65歳未満、学歴については4年制大学を卒業または卒業見込みであること、または大卒と同等の学力があると認められることが条件となっています。

一方、選考採用審査認定に学歴要件はなく、公設秘書としての勤務経歴など、一定の要件を満たせば、学歴に関係なく認定を取得することは可能です。

ただ、いずれのルートを選択するにせよ、政策秘書には政治や経済、法律に関する広範な知識が求められるため、大学の法学部や経済学部、社会学部などで教養をつけておいたほうがよいでしょう。

政策秘書の資格・試験の難易度

国家試験の難易度は非常に高い

政策担当秘書試験の難易度は、国家公務員I種試験と同等以上のレベルとされており、合格率は4%~6%と非常に低い水準で推移しています。

一方、政策秘書になるもうひとつの方法である選考採用審査認定を得るには、さまざまな要件のいずれかを満たす必要があります。

司法試験に合格していること、博士号を取得していること、10年以上公設秘書として働いた経験があり、なおかつ規定の政策担当秘書研修を修了していることなどが代表的です。

また近年では、司法書士または税理士資格を有し、10年以上の実務経験がある人もその対象となりました。

どちらのほうが難易度が低いかは一概にはいえませんが、さまざまな方法を選択できる分、人によっては選考採用審査認定を受けるほうが近道かもしれません。

衆議院 国会議員政策担当秘書資格試験のお知らせ

政策秘書の給料・年収

高給が得られるが、業務は過酷

政策担当秘書は特別国家公務員であるため、その給与額は「国会議員の秘書の給与等に関する法律」で定められており、在職期間と年齢ごとの級及び号給に従って支給されます。

国会議員1人あたり3人まで公設秘書を雇うことができますが、政策担当秘書は他の秘書と比べると、法案や政策に関わる非常に専門性の高い職種であるため、給与額も高く設定されています。

一般的に、初任給で月給42万円ほど、年収は通勤手当などの各種手当を含めて750万円程度とされており、経験や勤続年数によっては年収1000万円以上に昇給するケースもあります。

ただ、深夜まで働いたり、土日も仕事に追われるケースが頻発する一方で、残業代や休日出勤手当などは支払われないため、割に合った金額とは言い切れない側面もあります。

政策秘書のやりがい、楽しさ

担当する議員が評価されたとき

政策秘書は、国の政治を担う多忙な国会議員をサポートする縁の下の力持ちとして、さまざまな業務を手掛けます。

自分が作成した国会質問や、立案をサポートした法案によって、担当する国会議員が評価された際には、非常にやりがいを感じられるでしょう。

また、選挙期間中は、日常業務に輪をかけてよりハードワークとなることを強いられますが、担当議員が見事選挙に勝利し、再選された際には、自分のことのように大きな喜びを得られるでしょう。

政策秘書のつらいこと、大変なこと

ほぼ休みのない激務に耐えなければならない

国会議員は年中無休といわれるほど非常に多忙な仕事であるため、その議員をサポートする政策秘書にも、ほとんど休みはありません。

また、政策秘書は、法律や経済、政治に関する幅広い知識が必要で、かつそれらを新しい情報に更新していかなくてはなりませんので、日々の勉強を欠かすことができません。

政策秘書は、さまざまな業務を休みなくこなしながら、同時並行で勉強し続けることも求められるため、肉体的にも精神的にもタフである人にしか務まらない仕事といえるでしょう。

政策秘書に向いている人・適性

誠実で、コミュニケーション能力に長けた人

自身の掲げる政策などを推し進めるためには、担当する議員だけでなく、その支援者、企業、業界団体、官僚など、さまざまな関係者と信頼関係を築くことが重要となります。

そのため、誠実で礼儀正しく、また周囲に対する気配りができる、コミュニケーション能力に優れた人は、多くの人からの信頼を得やすいため、政策秘書に向いているといえるでしょう。

また、状況に応じて臨機応変に対応できたり、秘密を厳守できることも、政策秘書に必要な資質です。

政策秘書志望動機・目指すきっかけ

国会議員と関係のある人が目指すケースが多い

政策秘書を志望するのは、特定の国会議員との関係性が深く、また自身も政治への関心が高いために、政策立案などの観点からその議員を手助けしたいと考える人が多いようです。

実際、政策秘書の中には、元々その国会議員の支援団体や企業などの組織に在籍していたり、あるいは議員の親族であったりするケースも決して珍しくありません。

また、将来的に自身も国会議員になりたいと志す人が、政界での仕事に携わり、経験を積んでキャリアを形成していくために、政策秘書を目指す場合もあります。

政策秘書の雇用形態・働き方

政策秘書はリスクのある働き方

政策秘書は、特に選挙期間中など、非常に激務となることも珍しくないため、短期間で辞めざるを得なくなるケースも十分にあります。

また、雇い主である国会議員が選挙で落選した場合も即座に職を失いますし、失業保険もありません。

他の国家公務員が安定しているのとは事情が異なり、政策秘書の働き方は非常に不安定といえます。

国会議員数が将来的に削減される可能性もあるため、政策秘書は、その専門性を日々磨き続けると共に、有事の際には別の職を得られるよう、人脈を築いておくことが重要です。

政策秘書の勤務時間・休日・生活

労働環境は非常にハード

政策秘書は議員会館に勤めるケースが大半を占めるため、議員会館が閉館する土日が休日、勤務時間についても9時~18時と、一応は定められていることが多いようです。

しかし、議員の仕事は、会議や委員会への出席に加え、さまざまな会合、地方での支援者回り、行事への参加など、平日・土日や時間帯に関わらず、スケジュールが詰まっていることがほとんどです。

政策秘書も、議員に同行したり、議員の代理出席や、会議の準備などのため、朝早くから夜遅くまで働く日が連日続き、ワークライフバランスをとりにくいのが現実です。

政策秘書の求人・就職状況・需要

採用されるかは議員次第

政策秘書は、国会法により国費で雇うことを認められた3人の公設秘書のうちの1人であり、「特別国家公務員」という位置づけですが、その採用・解職については、すべて議員の裁量に委ねられています。

どのような経験や能力を持った人材で秘書を構成するかは、各議員の考えによってさまざまであるため、どんな人に需要にあるのか、一概にいえない部分があります。

ただ、実際のところ、政策秘書の多くは、議員の身内や支援者などの縁故採用ともいわれています。

政策秘書の転職状況・未経験採用

未経験者がいきなり政策秘書になることは困難

他の公設秘書や私設秘書は、資格などが必須でないため、未経験者でも採用される可能性がありますが、政策秘書は、試験に合格するか、選考採用審査で認定を受けなければなりません。

どちらにせよ、非常に高いハードルをくぐり抜けなけれなならない上、採用に至るためには国会議員とのつながりが必要となることもあり、政策秘書への転職は容易ではありません。

政策秘書に転職するためには、通常、他の公設秘書としての下積みなど、長い準備期間が必要になります。

政策秘書の現状と将来性・今後の見通し

将来的に政治家を志す人には有用な職業

官僚主導型から議員主導型への政府の体制転換を目的として設けられた政策秘書ですが、実際には、縁故による採用なども多く、政策秘書の能力レベルは個人によって大きく差があるようです。

ただ、現職の国会議員の下、実際の政治の最前線で働けることは、一般企業では得られない貴重な経験を積めるチャンスであるともいえます。

元政策秘書の中には、後に自らも国会議員として活躍している人もおり、将来政界を目指す人にとっては、非常に有用な経験を得られる職業であることに間違いはありません。