司法書士の需要・現状と将来性

  
司法書士の需要は大きく、給料面においても好待遇のところが多いです。

しかし、独立開業となると既存の司法書士から顧客を奪うことになるため、簡単に成功するのは難しいでしょう。

この記事では、司法書士の需要・現状と将来性について解説します。

司法書士の現状

「士業」と呼ばれる専門職のなかには、試験の難易度の割に、取得した後に十分な仕事がなく、労力に見合わないというものも散見されます。

たとえば弁護士の場合、司法試験を突破して司法修習を終えても、仕事がないケースも珍しくないといわれています。

一方、司法書士については、資格取得の困難さと仕事量のバランスは、うまく均衡が取れている部類に入り、試験合格に払った努力に見合うだけの社会的価値・経済的メリットがあるといえるでしょう。

求人数をみても、司法書士事務所を筆頭に数多くの募集がなされていますし、給与などの条件面についても、難関資格の分だけ好待遇なものが目立ちます。

独立開業

司法書士が独立開業するとなると、成功を収めることは容易でありません。

というのも、ほとんどの地域にはすでに司法書士事務所があり、長年にわたって営業を続けてきた結果、地元住民・地元企業からの知名度と信頼を得て、盤石の地盤を築いているケースも頻繁に見受けられるからです。

そこに後から事務所を開いて新規参入しても、既存の司法書士から顧客を奪うことは一朝一夕ではできないでしょう。

これから独立開業する人は、入念にリサーチしてできる限り競合の少ないエリアを狙ったり、「宅地建物取引士」や「行政書士」など、ほかの資格も取得して差別化を図ったりといった努力が必要かもしれません。

司法書士の需要

司法書士は、試験の合格率がきわめて低いこともあり、資格保有者は希少です。

そのため司法書士事務所以外にも、さまざまなところから需要があります。

たとえば、上場クラスの大手企業では、ほとんどの会社で法務を取り扱う部門があり、法人登記や保有する不動産の法律関係手続きなどを自社で完結させているケースも珍しくありません。

こうした部署では、法律関係に詳しい人材が強く求められるため、司法書士資格を持っていれば、かなりの好待遇で歓迎されるでしょう。

また、司法書士と行政書士は業務の関連性が高く、司法書士の有資格者がいれば相乗効果が見込めるため、すでに行政書士事務所を開業している人から誘われるケースも少なくありません。

司法書士の将来性

司法書士の主要業務である登記件数をみれば、不動産登記、商業登記のどちらも、ここ10年ほどで約30%ほど減少しています。

これは長引く景気低迷がおもな要因ですが、今後、国内の人口減少が進むにつれて、不動産需要・法人数ともに徐々に減っていくことを踏まえれば、登記案件が漸減していく状況は変わらないと想定されます。

しかし、それによって司法書士の仕事がなくなるわけではありません。

今後の司法書士業務は、登記案件に代わって、「成年後見制度」と「相続」に関連した業務が増える見通しです。

成年後見制度とは、認知症や知的障害により、自身の財産などに対する判断が困難である場合、本人に代わって資産管理を行う制度です。

遺言や遺産などの相続関連手続きと同じように、これらの業務は高齢化社会が進めば進むほど需要が高まってくると考えられるため、将来的にはこれらを手掛ける司法書士が増加していくでしょう。

AIの発展

一部では、AIの進展によって司法書士の仕事がいずれ消滅するのではという声もありますが、機械は事務手続きを代行することはできても、複雑な法律を読み解いて依頼者の相談に乗ることはまだまだできません。

時代とともに手掛ける案件の種類は変わっても、司法書士の将来性は比較的安定しているといえるでしょう。

司法書士の今後の活躍の場

司法書士法の改正によって、研修を受けた「認定司法書士」は、簡易訴訟手続きなどを行えるようになりました。

これにより、司法書士の働き方はより弁護士に近くなり、近年は弁護士が経営する法律事務所で活躍する司法書士も増えています。

また、司法書士は法律に関する知識が豊富であることから、「パラリーガル」と呼ばれる法律事務員としての需要もあり、昨今、法律事務所からの求人もかなり豊富です。

国は、増え続ける訴訟や民事事件に対応するために司法書士の活躍に期待を寄せており、とくに消費者金融の債務整理や過払い金請求などは、すでに多くの司法書士が担当するようになっています。

今後についても、司法書士法が改正されていくにつれ、司法書士の活躍の場はより法曹業界に拡がっていく見通しです。

司法書士の需要・現状と将来性のまとめ

司法書士は、試験合格に払った努力に見合うだけの社会的価値・経済的メリットがある職業といえます

勤務先の選択肢は司法書士事務所以外にも、上場クラスの大手企業での法務を取り扱う部門や、行政書士事務所なども考えられ、需要はさまざまなところにあるといえるでしょう。

しかし、司法書士の主要業務である登記件数をみれば、少子高齢化などの影響で減少傾向です。

今後は、資産管理を行う成年後見制度などの需要が高まると考えられます。

また、司法書士法の改正によって、研修を受けた認定司法書士は簡易訴訟手続きなどを行えるようになったため、将来的に司法書士の働き方はより弁護士に近くなるでしょう。