テレビ局の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
テレビ局社員の仕事とは
テレビ局社員とは、テレビ番組の企画・制作を行う「テレビ局」に勤務する人のことです。
テレビ局では、役割に応じたたくさんの部署があり、多様な職種に就く人が活躍しています。
テレビ業界は華やかなイメージ、そして高収入が得られるとして就職先としても人気がありますが、近年では若者を中心としたテレビ離れが加速し、テレビ局はどこも苦戦を強いられています。
視聴者を惹きつける、おもしろくてためになるコンテンツを作り続けていく熱意が求められる世界です。
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テレビ局社員の業務の内容
テレビ局にはさまざまな仕事があり、大まかにいうと「放送部」「技術部」「その他」の部署に分けることができます。
放送部の仕事
放送部とは、その名の通り放送に直接的に携わる部署のことです。
番組を企画する「テレビディレクター」や「テレビプロデューサー」、ニュースや中継を担当する「アナウンサー」、事件や事故などの取材をする「記者」は放送部に所属しています。
テレビ局の看板商品であるテレビ番組そのものを制作する仕事をしているため、どの職種も非常に忙しく、不規則な勤務形態になることもあります。
しかしクリエイティブな仕事に携わることができ、自分のアイデアや伝えたいことを番組にするやりがいを感じやすい仕事内容です。
アナウンサー
テレビ局には、他の企業にはない特有の職種があります。
世間によく知られているのは「アナウンサー」でしょう。
テレビをつければ、毎日ニュース番組で姿を見かけるのがアナウンサー。
スタジオで原稿を読んだり現地からリポーターとして中継したりするのが仕事です。
正しい発音と的確な言葉で視聴者に情報を伝えることを使命としています。
アナウンサーは学生の憧れの職業のひとつで、就職試験の倍率が非常に高いことで知られています。
テレビ局の看板アナウンサーとなるような人気アナの場合、いずれは独立してフリーのアナとして活躍することも珍しくありません。
ディレクター
この他にも、テレビ局特有の職種として有名なのが「ディレクター」です。
ディレクターというのは番組制作における監督のような存在です。
企画から取材や撮影、編集、台本作成まで全ての業務に携わり、他のスタッフに対して指示を出します。
ディレクターは将来的に、さらに総合的な監督の役割を果たす「プロデューサー」にキャリアアップすることがあります。
プロデューサーは、番組予算の振り分けや他部署と業務の調整、人事など、番組制作以外の部分でも指揮をとります。
記者
テレビ局には「記者」として働く人もいます。
テレビ局の記者は、新聞記者と同じように、災害や事件事故などの世の中の出来事を取材して情報を発信します。
新聞記者と違うのは、テレビの場合は映像を伴うこと。
ニュース番組では記者が現場から報告する機会も多いので、取材力だけではなく表現力も求められる職種です。
技術部の仕事
テレビ番組を放送するための技術的なサポートを行うのが、技術部の仕事です。
世間で最もよく知られているのは、映像を撮影する「カメラマン」でしょう。
音楽やインタビューを収録する際に活躍する「音声スタッフ」や、スタジオのライティングをデザインする「照明スタッフ」も大事な存在です。
技術部では、各スタッフが、おのおのの技術的な知識やスキルを駆使して番組制作に携わっています。
その他、地デジの放送システムを構築する仕事や電波の送受信に関わる問題に取り組む仕事もあり、視聴者には見えない部分で多くの技術スタッフが放送を支えています。
カメラマン
映像の撮影のプロフェッショナルなのが「カメラマン」です。
アナウンサーやディレクター、記者と一緒に現場に向かい、必要な映像を収録します。
機材が多いので、カメラマンが撮影する際には三脚を用意したり音声を収録したりするアシスタントがつくことが多いです。
このアシスタントは社員ではなくアルバイトや外部スタッフが行う傾向にあります。
編集マン
「ディレクター」や「記者」や「カメラマン」が取材して撮影してきた映像は、局内で映像編集の担当者に託されます。
これが、「編集」「編集マン」などと呼ばれる職種の人たちです。
映像のデータを編集機に取り込み、必要なシーンをつないだり、文字情報であるテロップを入れたりしています。
最近では編集機の性能が格段にアップして、より簡単に映像を加工することもできるようになりました。
芸術的なセンスが必要な仕事ではありますが、ディレクターや記者の意図を理解する能力や、視聴者に寄り添える想像力が問われる職種でもあります。
一日中編集機の前に座って映像を見て過ごすことが多いので、目や腰の痛みに悩まされる人も多いようです。
編成
「編集」と名前は似ていますが、仕事内容が違う「編成」という職種もあります。
編成は、番組を放送するためのタイムテーブルを考えたり、予定通りに番組を放送するためのサポートをしたりするのが主な仕事です。
たとえば、視聴率をアップさせるために、どの時間帯にどんな番組を放送すべきか視聴率グラフを見ながら分析する。
その分析をもとに番組改変期に新しい放送時間を提案する、というのが仕事です。
また、スポーツの試合や政治家の記者会見を中継する際は、内容次第で放送の終了時間が流動的になることが珍しくありません。
このときに、何時何分に生放送を終了し、次の番組までどのような番組やCMでつなぐのかを決めるという仕事もあります。
編成担当者は頭脳派が多く、分析が得意で緻密な計画を練ることが好きな人に向いている職種だといわれています。
その他の仕事
テレビ局には、それ以外にもさまざまな仕事があります。
たとえば、テレビが存続し続けるために欠かせない職種ともいえるのが「営業」です。
民放の場合は、CMを放送するスポンサーとなってくれる企業を探して交渉をします。
高い値段でCMを勝ち取るためには、自局の番組をプレゼンテーションするスキルが欠かせません。
このほか、他業界の企業と同じように、テレビ局を裏方として支える「総務」「経理」「人事」「広報」などの仕事もあります。
テレビ局社員の役割
テレビ局社員の役割は、視聴者にとって「おもしろい!」「役に立つ」と思ってもらえるテレビ番組を作ることです。
職種によって業務内容は異なりますが、よい番組を作りたい、という使命や思いはみんな同じです。
また、災害や大きな事件・事故が起きたときには、テレビ局社員の役割は非常に重要なものとなります。
ニュースを通して世の中にいち早く正しい情報を伝えることで、誰かの命を助けたり新たな被害を防いだりできることもあるからです。
実際に、東日本大震災の発生や新型コロナウイルスの感染拡大など、社会が大きな困難に陥ったときにも、テレビは国民に対して広く情報を伝える重要な役割を果たしてきました。
テレビ局社員は「自分たちの仕事が社会に大きな影響を与える仕事をしている」という使命感を持って働きます。
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テレビ局のキー局と地方局の違い(仕事・給料など)
キー局の特徴
予算と人手が多い現場
テレビの業界においては、「キー局」と呼ばれる主要放送局があります。
東京に本社を置く民間の放送局である「テレビ朝日」「TBSテレビ」「フジテレビジョン」「日本テレビ放送網」「テレビ東京」のことを指します。
キー局は日本の放送業界の中心的な存在であり、高視聴率を叩き出す看板番組を多く放送しています。
キー局は予算や人手に余裕があるので独自に制作できる番組の数が多く、社員の給料も高給になるのも特徴です。
30代で年収1000万円を超えることも珍しくありません。
ただし、近年では視聴率の低迷に苦しんでいるテレビ局も多いのは事実です。
たとえキー局といえども、今後も昔のように「高待遇」「高収入」「安定」を期待できるわけではないようです。
職種ごとの採用
キー局の仕事の特徴としては、職種ごとの採用や育成が中心となっているため、専門性の高い仕事ができることでしょう。
就職試験の時点で、ディレクターはディレクター、アナウンサーはアナウンサー、記者は記者として採用されます。
基本的には他の部署に異動することなく、その道を究めることが多いようです。
やりたい仕事がハッキリと決まっている人は、キー局への就職をめざして努力するとよいでしょう。
その際に覚悟すべきなのは、キー局への就職は人気があり、就職の倍率が非常に高いということです。
職種によっては新卒採用で数名しか内定を出さないこともあります。
とくにアナウンサーは非常に狭き門となっていることで有名です。
アナウンサーへの熱意が強い人は、不合格の場合あえて留年して大学を卒業せず、翌年また採用試験を受けることもあります。
地方局(ローカル局)の特徴
限られた予算で制作
キー局に対して、全国各地にある放送局のことを、地方局(またはローカル局)と呼んでいます。
地方局は北海道から沖縄まで各都道府県にあり、地域の情報を中心に放送しています。
地方局の放送は、同じ系列のキー局の番組を放送する時間帯と、独自に制作している番組を放送する時間帯に分かれるのが特徴です。
局によってその比率は大きく異なります。
地方局はキー局ほどの高待遇というわけにはいきませんが、一般的な企業と比べると給料が高くなります。
地場産業のなかではトップクラスになることも珍しくありません。
地方局の採用もやはり狭き門であり、数名から数十名の採用となります。
総合職としての採用
キー局の場合は職種ごとに採用するのが一般的ですが、地方局の場合は総合職として採用することがあります。
この場合、「記者」から「営業」に異動するような他職種への異動があるということです。
地方局は人が少ないこともあり、専門性の高い人材というよりはオールマイティに何でもこなせる人材を求めていることが多いのです。
どちらかというと幅広い経験を積ませながら人材を育成していくという方針です。
「ディレクターしかやりたくない」というように職種にこだわりがある人は、キー局のほうが希望が叶いやすくなります。
自分の目指す道をよく考えて就職先を選ぶことが大切です。
テレビ局社員の仕事の流れ
テレビ局社員は、さまざまな職種の人が連携し合うことで一つの番組を作り上げています。
テレビ番組ができるまでのおおまかな流れをご紹介します。
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番組企画・編成
まず、ディレクターやプロデューサーが番組の企画を作り、編成のスタッフと一緒に放送日時を調整します。 -
スポンサー獲得
番組のコンセプトやキャスティングがある程度固まれば、その情報をもとに営業マンがスポンサーに営業をかけて、CMを勝ち取っていきます。 -
制作
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宣伝など
この他にも、放送前には広報のスタッフがメディアへの売り込みやSNSを使った情報発信を行って番組の認知度を高めます。
テレビ局社員と番組制作会社社員の違い
テレビ局社員のメリットは
テレビ局で働くスタッフの中には、局の社員として働いている人もいれば、番組制作会社の社員として働いている人もいます。
どちらも同じように番組を作る仕事に携わることになりますが、仕事内容や待遇には大きな違いがあります。
まずは仕事内容の違いです。
ディレクターという職種で見てみましょう。
担当している番組のロケや編集や台本作成をするという点ではどちらも同じですが、局の社員の場合は、
「この番組は新年度こんなふうに変えてみたらいいんじゃないだろうか」
「今度こんな特集番組を作ってみたらどうだろう」
というように、自分の担当回のみならず番組の企画や編成そのものに関して提案できます。
一方、番組制作会社の社員の場合は、あくまでも業務委託を受けている立場になるので、局から発注された放送回のテーマや内容に関することしか提案できません。
より自由にアイディアが出せて、決定権があるのが、テレビ局の社員といえるでしょう。
また、給料や福利厚生などの待遇の面でも、テレビ局社員と番組制作会社の社員だと、テレビ局社員のほうが圧倒的に安定しています。
番組制作会社入社のメリットは
仕事内容の幅の広さや待遇の安定性という面ではテレビ局社員のほうが勝るかもしれませんが、番組制作会社ならではの良さというのも、もちろんあります。
そのひとつは「さまざまなテレビ局の番組を作れること」。
カラーの違う複数のテレビ局に出入りし、さまざまなスタッフと知り合うことができ、幅広いジャンルの番組に携われることは、クリエイターにとって刺激的なことです。
そしてもうひとつ、「ずっと現場にいられる」という魅力もあります。
テレビ局社員の場合は年齢とともに管理職にキャリアアップしていくのが一般的ですが、番組制作会社の社員は多くの場合、ずっと現場で働くことができます。
ディレクター、カメラマン、編集マンなどの職人気質な人は、番組制作会社を選ぶことで好きな仕事を長く続けるという選択肢をするのもよいでしょう。
テレビ局社員の雰囲気・風土の特徴は?
好奇心旺盛な人が多い職場
テレビ局というと、クリエイティブな業界で自由に働けるイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
テレビ局の雰囲気は職場によって異なりますが、全体的にいえるのは「好奇心が旺盛な人が多い」ことでしょう。
テレビは、料理のレシピからスポーツの試合の結果、災害や事件事故のニュース速報、ドラマまで新しい情報をどんどん発信するメディアです。
テレビの仕事に携わると自然とさまざまな情報が耳に入ってくるので、博識になれたり興味の対象が広がったりします。
こうしたことが背景にあり、テレビ局の社員は好奇心旺盛な人が多い傾向はあるようです。
仕事の合間の雑談でも、新しくできた飲食店や流行の音楽などの情報交換をしながら常にアンテナを張り巡らせます。
保守的な人よりも、新しいことや面白いことが好きな人のほうが向いている業界です。
番組の性質による働くスタイルの違い
テレビ局は華やかで明るい雰囲気の職場をイメージする人もいるかもしれません。
しかし、実際は担当している仕事内容によって異なります。
放送部には、ドラマやバラエティなどの番組制作に携わるチームと、ニュースや特集などの報道に携わるチームがあります。
前者で働くスタッフは発想力豊かなアイディアマンが多く、台本を膨らませながら現場を面白く作り上げるのを得意としています。
服装もラフな格好で働ける雰囲気があり、サラリーマンのようにスーツを着ることはめったにありません。
屋外にロケに行く場合は動きやすい格好が一番なので、Tシャツとジーパンにスニーカーということも多いのです。
一方、後者で働くスタッフは、豊富な知識があって取材力が高い人が多いのが特徴です。
事件や事故が起きればすぐに飛び出していける強い正義感と行動力を武器にしています。
服装に関しても、スーツやジャケット着用で職場に来るのが当たり前です。
報道機関というのは人の生死に関わる情報を扱うこともあるわけですから、取材相手や視聴者に対して失礼にならないよう気を配ることが重要です。
さまざまなチームの雰囲気
職場の上下関係や人間関係も、どんな仕事を担当しているかによって大きく異なります。
たとえば、バラエティやお笑い、ドラマなどの番組を作っているチームは、とにかく面白いことが好きな人が多いのが特徴です。
イベントや飲み会が盛んなノリのよい職場になっていることも多いようです。
一方で、報道の現場は常にバタバタしており、放送直前には怒声が飛び交うことも日常茶飯事です。
災害や事件事故のニュースは誤報が許されないので、必然的に上司や先輩からの指導も厳しくなります。
そのぶん団結力が強く、チームで乗り越えるやりがいを感じられるという魅力もあるようです。