児童福祉司の仕事内容・必要な資格やなり方は?
児童福祉司の仕事内容
児童福祉司とは、「児童相談所」という公的機関に勤め、子どもや保護者から寄せられるさまざまな悩みや相談に応じ、アドバイスや指導、カウンセリングなどを行って、問題解決をサポートする仕事に就く人のことです。
近年、核家族化や離婚率の増加、所得格差の拡大による貧困など、子どもとその保護者を取り巻く環境は複雑化しており、育児に悩む保護者が増加しています。
そのなかには、育児ノイローゼ、育児放棄、児童虐待などにつながるケースもあり、またそのような境遇で育った子どもは問題行動を起こしやすくなり、非行に走る確率も高くなります。
児童福祉司は、そうしたつらい状況にある子どもや保護者に寄り添い、さまざまな面から支援することで、望ましい家庭環境を取り戻す手助けをします。
相談対応はもちろん、必要に応じて家庭訪問を行い、相談者の生活環境を調査したり「家族療法」と呼ばれる心理的手法による親子間の関係調整を行ったりすることもあります。
また、講演会の開催や、問題ある家庭がないかパトロールするなど、地域住民のための活動を行うケースもあります。
児童福祉司になるには
児童福祉司になるためには、2つの条件をクリアする必要があります。
一つは地方公務員試験を受けて合格し、児童相談所に就職すること、もう一つは児童福祉司の任用資格を取得することです。
それぞれについて詳しく解説します。
地方公務員試験に合格する
児童相談所で働くためには、地方公務員試験を「福祉職」もしくは「社会福祉区分」で受け、合格しなければなりません。
都道府県や政令指定都市、特別区など、ある程度規模の大きな自治体では、一般行政職と分けて福祉職の募集がなされますが、中小の自治体では一括で募集されるケースもあります。
近年は少子化にも関わらず、福祉の手助けを必要とする子どもが増えているため、福祉職を増員する自治体も出てきています。
それでも、採用人数は一般行政職と比べるとかなり少なめで、競争は厳しいものになりがちです。
非常に高い採用倍率となるケースも散見されるため、筆記試験・面接試験ともに、入念な対策を行ってから本番に挑みましょう。
児童福祉司の任用資格を得る
任用資格とは、試験を受けたりするのではなく「任用資格要件」と呼ばれる特定の条件を満たすことによって、半ば自動的に得られる資格です。
児童福祉司の任用資格要件は複数ありますが、代表的なものは以下の通りです。
・都道府県知事の指定する養成機関を卒業する
・4年制大学または大学院で、心理学・教育学・社会学いずれかの課程を修めて卒業し、厚生労働省の指定する施設において、相談援助実務を1年以上経験する
・医師、社会福祉士、精神保健福祉士いずれかの国家資格を取得する
詳細については、以下のリンク先を参照してください。
なお、任用資格は実際に就職しなければ適用されないものであるため、任用資格要件を満たしたうえで地方公務員試験にも合格し、児童相談所に配属されることでようやく「児童福祉司」を名乗ることができます。
児童福祉司になるためのおすすめのルート
これから児童福祉司を目指す人にとって最もおすすめといえるのは「社会福祉士」の国家資格を取得するルートです。
社会福祉士の資格を得るには、4年制の福祉系大学に通い、指定科目を修めたうえで国家試験に合格する必要があり、決して簡単な道のりではありません。
しかし、上述したように近年は社会問題が複雑化しているため、児童福祉司として子どもやその保護者を支援するためには、児童相談所だけでなく、地域の関係各所と連携していくことが不可欠です。
ありとあらゆる福祉サービスを網羅的に取り扱うことのできる社会福祉士は、児童福祉司にうってつけの国家資格であり、実際に活躍している児童福祉司のなかにも、社会福祉士の資格保有者は数多くいます。
さらに、社会福祉士の資格があれば、それだけで児童福祉司の任用資格要件を満たすため、補助スタッフなどでなく、すぐに児童福祉司としてのキャリアをスタートさせることができます。
また、非常に厳しい競争となる地方公務員試験を突破するにあたっても、社会福祉士の国家資格があれば有力なアピール材料となるでしょう。