社長の年収はいくら? 給料についてくわしく解説

社長の平均年収・月収

社長の給料は「役員報酬」として支給される

社長の給料は、従業員に支給される「給与」とは異なり、役員報酬」と呼ばれるものになります。

役員報酬には「毎月同じ金額を支払う(定期同額給与)」「役員報酬の変更は事業年度が始まってから3ヵ月以内」など、さまざまなルールがあります。

社長にもなれば高額な収入が得られるという漠然としたイメージがもたれがちですが、会社はこうしたルールにもとづいて、役員報酬の支給方法や支給額などを考えていかなくてはなりません。

また、役員報酬は定款または株主総会で決議されて決定します。

役員報酬の決め方

役員報酬は事業年度開始から3ヵ月以内に決める(定期同額給与の場合)ことになるため、通常、その年度の業績予想も踏まえながら慎重に決めていきます。

会社の業績が好調で利益が上がれば、その分だけ「法人税」という税金がかかってくるため、できるだけ役員報酬を増やし、それを経費として計上することで節税につなげるというのが一般的な考え方です。

なお、役員報酬を事業年度の3ヵ月を過ぎてからの期中に増額することも不可能ではありませんが、その場合、増やした分の役員報酬は経費として認められません。

「社長の年収ランキング」の上位に入ってくるような会社の社長の年収は億単位にもなりますが、中小企業であれば1000万円以下、500万円程度であることも決して珍しくはありません。

人によっては、社長でなくてもこれ以上に高い収入を得ていることもあるでしょう。

ひとつ言えるのは、社長の年収は会社の売上、つまり年商だけでは一概に決まらないということです。

たとえば年商1億円の会社があったとしても、そこから人件費、宣伝広告費、材料費、販売費といったさまざまなコストがかかり、利益は数百万円程度にしかならないこともあります。

利益が少なければ、社長の役員報酬もさほど高いものにならないのが普通です。

社長のボーナスは「役員賞与」

社長にもボーナス(賞与)が支給されることがあります。

社長など経営に携わる人たちに与えられるボーナスは「役員賞与」と呼ばれ、給料と同じく、従業員とは異なる種類のものです。

役員賞与は、基本的に支給額や支給日を事前に決めて、それを記載した「事前確定届出給与」という書類を税務署へ提出します。

もしこの届け出を出さずに突発的に役員賞与を支給した場合には、その金額が損金(経費)として認められないため、会社にとっての節税にはつながりません。

ですから、従業員のボーナスのように「今月は売上がたくさん出たから急に特別ボーナスがを出す!」ということには、通常はならないのです。

なお、役員賞与の支給有無は会社によって異なり、支給される場合の金額についても、会社や役位などによってまちまちです。

社長にボーナスはある?

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社長の職場別の給料・年収

上場企業の社長は億単位の報酬になる人も

上場企業の社長は、社長全体の中でも高額な役員報酬を得ている人が多いです。

東京商工リサーチによる「20年3月期決算上場企業『役員報酬1億円以上開示企業』調査」では、1億円以上の役員報酬を開示した企業は256社、人数は531人でした。

参考:20年3月期決算上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

この調査には社長だけでなく会長や副社長など他の役員も含まれていますが、たとえば武田薬品工業のクリストフウェバー社長は20億7300万円、ソフトバンクグループのラジープ・ミスラ副社長は16億600万円です。

一般会社員の生涯年収がおよそ2億円といわれるのを考えると、上場企業の社長の報酬額の大きさにあらためて驚く人もいるかもしれません。

一方、中小企業の社長の場合、年収1000万円~2000万円ほどになる人も少なくありませんし、創業直後は年収300万円~500万円ほどしか得ていない社長もいます。

同じ社長であっても、億単位の高い報酬を受け取っているのは一部の大企業に在籍する人に限られてきます。

会社規模別の社長の役員報酬・賞与

労務行政研究所の「2017年役員報酬・賞与等の最新実態」によると、会社の規模別での社長の報酬・賞与は以下のようになっています。

<1000人以上>

  • 年間報酬:5724万円
  • 年間賞与:912万円

<300人~999人>

  • 年間報酬:4358万円
  • 年間賞与:482万円

<300人未満>

  • 年間報酬:3235万円
  • 年間賞与:283万円

このデータでも、社長の役員報酬・賞与は、会社が大きくなればなるほど高額になっていることがうかがえます。

社長の待遇

社長など役員の立場になる人には、原則として従業員のような福利厚生がありません。

ただし、役員として特別な福利厚生が用意されないだけで、多くの会社では従業員と同等の福利厚生が受けられるようにしているケースが多いです。

また、社長には労働基準法にもとづく「就業規則」も適用されないため、勤務時間や休日の法的な定めがなければ、いくら長時間働こうと残業手当・休日手当などの支給もありません。

社長は従業員よりも高額な報酬が得られることが多いですが、そのぶん仕事で抱える責任は大きく、ときにはあまり休まずに働き続けることになるかもしれません。

その他の待遇として、社長などの役員には退任時に「役員退職慰労金」が支給されるケースが見られます。

20_社長の退職金はいくらくらい?

これは、いわゆる従業員向けの「退職金」と似たようなもので、こちらも大企業では億単位の金額になることがありますが、最近は廃止する企業も増えつつあるようです。

また「ストックオプション」や「株式報酬」のような金銭とは別の報酬によって多額の報酬を得ている社長もいます。