社長の社会保険や年金はある?

社長の社会保険とは

社長も社会保険に加入する

社会保険(健康保険および厚生年金保険)は、日本の社会保障制度のひとつです。

健康保険は、病気やけがをした場合に医療給付や手当金が受けられるもの、そして、一般に「年金」と呼ばれる厚生年金保険は公的年金の一種です。

会社で働く人であれば、いつの間にか社会保険に加入していたというケースもあるかもしれませんが、それが「社長」という立場であっても、一定の条件下においては社員と同じく社会保険に加入します。

社会保険が適用されるのは、法人に「使用される者」です。

ここでいう「使用される者」とは「法人から労務の対償として報酬を受ける者」のことを指しており、一般社員のほか取締役など法人の役員も含まれます。

なお、社長一人だけの会社でも、法人の場合には社会保険の加入義務があります。

社長に社会保険が適用されないケース

しかし、すべての法人役員に社会保険が適用されるわけではありません。

社会保険適用となるには、会社との間で「実質的な使用関係」があることが求められます。

この関係の考え方は報酬の支払いや稼働状況などによって変わってきますが、簡単にいうと「常勤」で働く人が、会社と使用関係があるとみなされます。

つまり役員であっても「非常勤」で働く場合には、社会保険が適用されないのが一般的です。

また、個人事業主として働く場合にも、法人ではないことから社会保険は適用されません。

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社長は年金がもらえる?

会社法人と使用関係がある社長も厚生年金に加入する

冒頭で紹介した通り、一般的に「年金」と呼ばれている厚生年金には、社会保険の一種として、会社と使用関係がある法人社長も加入します。

しかし、社長専用の年金保険制度があるわけではなく、あくまでもその企業に勤めている一般の従業員と同様の厚生年金への加入となります。

法律によって、法人事業所はすべて厚生年金への加入が義務付けられており、保険料は会社と社員で半分ずつ負担します。

社長の年金はいくらもらえる?

厚生年金保険料は、「退職するまで、または70歳まで」支払うことが義務付けられています。

一般の従業員の場合、定年はたいてい60歳に設定されているため、その定年の時期まで、もしくは65歳まで継続雇用される場合には65歳まで支払う人が大半です。

しかし、社長の場合は定年がないため、70歳になっても現役引退しない限りは厚生年金保険料を支払い続けなくてはなりません。

一方、「老齢厚生年金」の受給開始は原則65歳となっているため、長く働き続けている社長は、老齢厚生年金の受取権利を持って働くことになります。

さらに、役員報酬と年金月額の合計が一定の額を超える場合には老齢厚生年金をカットする、という国のしくみがあるため、高い役員報酬をもらっている社長の多くは、結果的に65歳や70歳になっても社長を引退しない限り、老齢厚生年金を受け取れない状態になります。

個人経営の社長は国民年金になる

個人経営で事業を営んでいる場合、つまり法人ではない「個人事業主」である場合には、厚生年金保険に加入することはできません。

個人事業主が加入できるのは、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人を対象とした「国民年金保険」です。(さらに、任意加入によって年金額が上乗せとなる「国民年金基金」もあります)

なお、法人の社長であっても、役員報酬がゼロであったり、役員報酬が保険料を下回ったりする場合には年金事務所から社会保険への加入を断られることが多く、国民年金保険への加入となることもあるようです。

社長は雇用保険に加入できる?

このほか、労働者に対する保険制度として「雇用保険」というものがあります。

雇用保険については、あくまでも「労働者(いわゆる従業員)」向けの保険制度であり、原則的に経営者である社長などの役員には適用されません。

「労災保険」についても同様です。

しかし、例外もあります。

それは、役員でありながら「従業員」の身分ももっている場合です。

別の言い方をすると、社長に「労働者性」があれば雇用保険に加入できるという風に定められています。

したがって、もし社長が「兼務役員」として働く場合には、雇用保険や労災保険の適用対象となることがあります。