大学職員に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
大学職員に向いている性格・適性
教育現場を支えたい人
大学職員は、業務を通して、大学生や大学院生の積極的な学びや研究者の充実した研究活動を支えます。
教育に興味がある人、研究をサポートしたい人にとっては大きなやりがいを感じやすく、「日本の教育現場を支えたい」という熱い想いがある人にぴったりの仕事といえるでしょう。
一方で、こうした仕事は、あくまでも研究者や学生にとって学びやすい環境を整えるという裏方の側面もあります。
自分自身が華々しく活躍することよりも、人のサポートをすることに喜びを感じられる人に向いている仕事といえるでしょう。
世話好きで面倒見のいい人
大学職員は、ときには大学生から直接、進路や留学に関する相談を受けることがあります。
また、高校生向けの説明会やオープンキャンパスの際にも、高校生からの相談を受けることがありますし、学生や受験生の保護者と接する機会も多いものです。
こうした際には、相手の立場に立って親身になって相談に乗ってあげることが大切です。
自分自身の学生時代の経験や反省を語るなど、人生の先輩としてアドバイスをする機会もあるでしょう。
世話好きで面倒見のいい人、後輩や年下の人間に頼られることが多い人は、その能力を十分に発揮することができる職場だといえます。
正確かつ丁寧に物事を進められる人
事務職は高いレベルの正確性を求められる職種です。
たとえば、見積書の作成や重要書類の整理、勤怠管理などにおいてミスをすると、大きな問題につながります。
教員や学生を支える縁の下の力持ちとして、こつこつと作業ができる人、正確かつ丁寧に物事を進められる人に適しています。
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大学職員に必要なスキル・能力
コミュニケーション能力
大学には、学生や教職員だけでなく、他大学の研究者や他国からの留学生、業務上やり取りのある他大学の職員など、たくさんの人が出入りをしています。
そうした環境において、大学職員は若い学生たちと会話をし、オープンキャンパスで高校生やその家族に大学のよさを紹介したり、他県へ赴いてPR活動をしたりすることもあります。
また、近年は大学職員も大学の経営・運営に積極的に関わることが求められており、教授をはじめとする教員たちとうまく連携をとることが大切です。
年齢層の異なるさまざまな人と接する大学職員には、高いコミュニケーション能力が求められます。
パソコンスキル
大学職員の主要業務である、学内外の書類作成や経理処理、労務管理などは基本的にすべてパソコンを用いて行われます。
WordやExcel、PowerPointなどのオフィスソフトは使用頻度が高く、とくにExcelは大学職員の求人情報に必要なスキルとして明記されることが多いです。
また、学生募集や広報の業務に携わる場合は、資料の簡単なデザインをしたり、WebサイトやSNSの管理運営を担当したりすることもあります。
ある程度パソコンが操作できるスキルやITリテラシー能力があると、仕事がスムーズに始められます。
語学力
近年、大学のグローバル化が進み、日本人学生の海外留学や外国人留学生の受け入れの件数が増加しています。
それにともなって、学生向けの各種資料や校内掲示物が英語で書かれたり、英語のみで授業が行われたりすることが増えています。
学生課の窓口では外国人留学生に話しかけられ、英語や中国語で対応する場面も考えられます。
国際交流を担当する部署に配属された場合は、留学生や海外の大学などとのやり取りがおもな業務です。
こういった部署への配属を希望する人は、とくに英語などの語学力が必須です。
大学職員に向いていないのはどんな人?
大学職員として勤務する際は、パソコンに向かってデータ入力をしたり、書類を作成したりといった単調な事務作業を淡々と繰り返すこともあります。
毎日こつこつと作業をするのが苦手な人や、変化に富んだ仕事をしたい人には、あまり向いていないといえます。
また、大学には学生課、広報課、財務課などさまざまな部署があり、大学職員は数年ごとに他の部署に異動することが一般的です。
これは幅広い実務経験を積み、事務全般に精通できる能力を養うために行われますが、一つの部署でスキルが完全に身につく前に異動になることもあるため、専門性が身につきにくいともいえます。
一つの専門的な仕事を突き詰めたい人には不向きな面があります。
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大学職員のスキルアップに関わる取り組み
海外での研修
大学のグローバル化にともない、大学職員の国際感覚の養成や資質の向上が求められるようになってきています。
そこで、若手事務職員を対象とした海外の大学への調査研修出張が実施されることも増えてきました。
たとえば大阪大学(国立大学)では、大学の国際化のための事務体制強化をめざす調査研修出張が、「研究大学強化促進事業」の一環として実施されました。
若手事務職員が随行という立場ではなく、自ら主体的に調査に参加し、「大学改革」「教育の取り組み」「交換留学」「国際担当業務」「研究推進業務」など、業務に関連したリサーチを行ったことが特徴です。
また、一橋大学(国立大学)では、職員に対しインターンシップを取り入れた実践的海外職員研修が実施されています。
世界標準の大学等の国際交流関係業務に実際に触れることにより、国際的な視野を広げ、専門的知識やスキルアップをはかることが目的となっています。
スタッフ・ディベロップメント(SD)
スタッフ・ディベロップメントとは、大学職員を対象とした、管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取り組みです。
研修や研究会の開催をはじめ、大学間連携による相互訪問、大学院修学支援を実施している大学もあります。
従来のように、仕事の基礎力を身につける研修だけではなく、継続的に専門性を高め、業務に関連した分野で大学院レベルの研究に取り組むこともできます。
リサーチ・アドミニストレーターの新設
現代の大学職員には、研究の事務的な支援を超えた高度な専門性が求められるようになりました。
こうしたなか、研究開発マネジメントの支援に特化した「リサーチ・アドミニストレーター(URA)」という職種が新たに設けられるようになっています。
リサーチ・アドミニストレーターは、政策などの調査分析から研究費助成の獲得、研究環境の整備や各種調整業務、研究広報など、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント全般を行います。
高度な業務であるため採用条件は厳しく、修士以上の学位や一定の業務経験、研究支援分野での実績を有することなどが必要で、新卒では応募できないケースも多いようです。
「ポスドク」や「産学連携コーディネーター」の経験者が、リサーチ・アドミニストレーターに転身するケースも増えています。
現在は、国が財政補助等を通じ、専門性の高い「第三の職種」として定着を図っている段階ですが、今後は全国の大学でリサーチ・アドミニストレーターの活躍の機会が増えていくことでしょう。
とくに医・理工系の大学や学部で、リサーチ・アドミニストレーターの必要性や価値は急速に高まっています。