税理士の現状と将来性

増える「税理士希望者」

税理士は国家資格であり、試験の合格率は例年10%程度と決して高いほうではありません。そのため「難関資格なぶん、取得さえすれば将来は安泰だろう」と考える人もいるのではないでしょうか。

しかし、実際は、税理士の世界は以前よりも競争が厳しくなっています。

その理由のひとつが、税理士人口の増加です。実は税理士は、税理士試験に合格すること以外にも、さまざまな方法で資格を取得することができます。

たとえば、弁護士や公認会計士の資格を取ると、同時に税理士の資格ももらえます。また、税務署で長期間働いた人にも自動的に税理士の資格が与えられます。

こうした状況の中で、近年、公認会計士の就職難が社会的な問題になり、公認会計士として仕事に就けなかった人が税理士として働き始めるというケースが増えてきました。

さらに、税理士には定年退職がないため、税務署を退職したOBが新たに税理士として働き始めるケースも増えています。このような背景から、税理士として働きたいという人が増え続けているのが現状なのです。

廃業する「中小企業」

その一方で、今、日本では不況やグローバル経済の波にのまれて廃業する中小企業や個人事業主が増えています。かつては地方の商店街には自営業の店が立ち並んでいましたが、今ではシャッター通りになってしまったところも多いのです。

こうした中小企業や個人事業主は税理士にとっての大事な顧客なわけですから、顧客が減っていくということは税理士の商売が立ち行かなくなるということにつながっていきます。

税理士として働きたい人は増えるのに、顧客は減る。この状況が続けば、今後も税理士の世界でどんどん競争が激しくなることは避けられません。

税理士をめざすのであれば、「資格を取ったら安心」ではなく、資格を取った後にも競争が待ち構えているということを覚悟したうえでこの道を志すことが大切です。