税理士の需要・現状と将来性

税理士の現状

税理士業界の現状として、税理士の資格保有者数が、ここ20年ほど一度も減少することなく、一貫して増え続けているということが挙げられます。

税理士試験の合格者や、税務署に一定期間以上勤めた人などの「試験免除者」によって、毎年登録者数は700人前後のペースで増えており、近年は77,000人ほどにのぼっています。

ただ、その年齢構成をみれば、税理士には定年退職がなく、本人の意向次第でいつまででも働き続けることができるため、かなり高齢に偏っており、60歳以上の高齢者が半数以上を占めています。

いくら定年退職がないとはいえ、毎年改正される税制を勉強したり、電子申告などのIT化に対応するには、ある程度若い年齢でないと困難であることは否めません。

資格保有者が増加し続けている環境にあっても、若いうちに税理士資格を取得できれば、活躍できるチャンスはかなり大きいといえるでしょう。

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税理士の需要

税理士のおもな顧客は中小企業ですが、その数をみれば、2000年代以降減少し続けており、不景気による倒産や後継者不足などを理由に、毎年数万社が廃業を余儀なくされています。

とくに地方都市では減少する勢いが顕著で、中小企業や個人事業者が相次いで店をたたんだ結果、シャッター通りになってしまった商店街も珍しくありません。

これに伴って、税理士の需要も減少傾向にあり、顧問契約の獲得競争は激しくなっています。

税理士には、税理士にしかできない独占業務があるため、ある程度の需要は法律によって保証されているといえますが、需要減による競争の激化が、顧問報酬の下落を引き起こしています。

安定的に仕事を獲得するためには、自身の専門性を高めていくことがますます重要になっているといえます。

これから税理士を目指す人は、「資格を取ったら安心」ではなく、取得後も継続的に勉強し、自身の専門性を磨き続ける必要があることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。

AIやRPAで将来的に税理士はなくなる?

税理士の将来について、昨今は「AIによってなくなるのではないか」という意見もよく聞かれます。

たしかに、会計処理や記帳作業、税金の計算など、定型かつ反復的な要素の強い業務については、そう遠くない将来、人の手に代わってAIが行うことになるでしょう。

既に一部の大手税理士法人などでは、「RPA(ロボットプロセスオートメーション)」というソフトによって、人間を全く介さずに、エクセルからデータを抽出して会計処理をするという試みが行われています。

しかし、それらはあくまで事務処理の範疇の話であり、税理士業務のなかの一部にすぎません。

企業の決算内容や財務事情、社長の意向などを総合的に判断し、企業の収益性を高めていくために必要なアドバイスを行うコンサルティング業務は、まだまだ人間にしかできない仕事です。

中小企業の社長の右腕となり、経営コンサルティングの領域で力を発揮できる税理士は、いつの時代も必要とされる存在であり続けると考えられます。

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税理士の今後の活躍の場

IT化が進展するにつれて、単なる会計処理や税務申告だけを行う税理士は、徐々に淘汰されていくでしょう。

それに代わって、今後の税理士は、より専門的な分野に活躍の場をシフトさせていくものと想定されます。

たとえば、グローバル化が進んでいる現代においては、海外に事業展開する企業や、反対に日本に進出する外国企業が増加しています。

そういった企業に対して、国内税制と海外税制の双方に精通した税理士であれば、事業戦略に有用なアドバイスを行うことができるでしょう。

また、高齢化に伴って事業承継や相続対策などの需要が高まってくれば、それらに特化して業務を行うことも有効な選択肢のひとつです。

その他にも、企業の株式公開やM&Aなど、税理士が必要とされるシーンは幅広くありますので、いかに自身の専門性を高められるかが成功のカギといえるでしょう。

最近では、多様化していく顧客のニーズに幅広く対応するため、異なった強みをもった複数の税理士が、合同で税理士法人を立ち上げるケースも増えています。

税理士間の競争が厳しくなってことは間違いありませんが、自分の得意分野を伸ばすことで、まだまだ活躍の場を拡げることは可能です。