自分自身が財産。自分に投資をすれば結果は必ずついてくる。

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税理士/フィナンシャルプランナー(CFP)岸田 加奈恵さん

岸田公認会計士税理士事務所副所長。税理士、フィナンシャルプランナー(CFP)、宅地建物取引主任者の資格を所持。愛媛県出身。横浜国立大学教育学部卒。大学卒業後、学習塾に勤務を経て、会計事務所にて働く。会計事務所を退社後に平成20年税理士試験に合格。コンサルティング会社を経て、岸田加奈恵税理士事務所開設。

岸田さんが税理士を目指したきっかけは何ですか?

学生時代は教育学部でしたし、税理士になるなんて考えてもいませんでした。

最初の勤務先は学習塾で、約2年半働きました。学習塾で働いているうちに、「いつまで現役で働けるのだろう・・?」と次第に思うようになってきたんです。

何か手に職をつけたいと思い、年をとっても就職先に困らない仕事、と探してみたときに「経理」の求人が多いことに気が付きました。経理の仕事なら年をとっても働けるのではと思いました。

簿記を勉強したのは弟の影響です。弟は会計士で私より先に開業していますが、その弟が会計士を勉強する前に簿記の勉強をしていたんです。弟の部屋で簿記のテキストを見つけ、「要らなくなったんならちょうだい」ともらって帰ったのがきっかけです。

勉強を始めたときは、先のことについてあまり考えていませんでしたが、簿記2級を取っていたおかげで会計事務所に就職することができました。でも実際に会計事務所で働いてみると、簿記2級の知識だけだと厳しくて。

「自分の言葉で説明したい。」という気持ちが強くなり、法人税と消費税だけでも理解したいという思いから、TACに通うことにしたんです。

元々は1年だけ勉強する予定だったのですが断片的な知識が段々つながっていくのが楽しくなってきて、1年で辞めるのももったいないなと思い、税理士の資格取得を目指すことにしました。

税理士試験の勉強は大変でしたか?

普通は、税法の基礎的な部分の法律である簿記・財務諸表論を学んでから法人税、消費税を学びます。私の場合は法人税、消費税を先に勉強しました。先ほどもお話ししたように税理士資格を取ることが勉強の目的ではなかったからなんですが、回り道をしたため理解するのに時間がかかってしまいました。

資格を取るつもりなら、法人税、消費税よりも簿財を先に勉強することをお勧めします。

ちなみに合格後も勉強は必要です。税法の改正は頻繁にあり、経営者や資産家の方は改正に非常に敏感です。改正は常にチェックが必要ですし、年間36時間の研修も義務化されています。一度勉強して終わりという世界ではありません。

今はどんな仕事が多いですか?

相続税関連が多いですね。まだ相続税を扱っている事務所が少ないのと、今後の増税がすでに決まっています。対策をする人も多くいますので、相続税の仕事を中心に扱っています。

また、前職が資産税のコンサルティングで日本有数の税理士法人だったこともあり、私自身そうした経験が活かせるということもあります。

仕事ではどんなことが大変ですか?

相続税の場合ですと、身分関係の調査から入ります。被相続人の誕生から死亡までの全ての戸籍を取り寄せます。相続人を確定するためです。また、相続で大変なのは、財産を把握している本人が既に故人となってしまっていることです。

たとえば、今ご両親が亡くなったとして、ご両親の財産を全て書き出せる方がどれほどいらっしゃるでしょうか。私自身、両親の土地や銀行口座を把握していません。本人不在で財産調査をする、遺族の方は本当に大変です。

振込依頼書や払出証書などの手掛かりがあればまだいい方です。また、曾祖父様の頃から名義が変わっていないままの土地などがある場合は厄介です。その前の代の相続から本来の所有者や所有分を確認していく必要があります。

専門学校のテキストなどでは、戸籍や財産はすでにあるものとして問題が出されるのですが、実際には調査の方が大変だったりします。

仕事の魅力はどんなところにありますか?

戸籍や財産を見ていると、その人の人生を想像することができます。そうしたデータから見える人生が、実際に遺族の方から話を聞くことで、段々と具体的になっていく過程にこの仕事の魅力を感じます。小説を読んでいる感覚に近いかもしれませんね。

逆に、仕事をする上での苦労はありますか?

1歳4ヶ月になる娘がいるので、育児との両立はやはり大変です。仕事が終わると19時頃に保育園に迎えに行き、娘を背負って買い物をして帰ります。

家で仕事をするときも子どもがいると大変です。私が机に向かい始めると何故かトコトコやってきます。本は破られるし書類はばらばらにされるし。可愛いですが、仕事をしているときは「来ないで!」って思っちゃいますね(笑)

でも今は独立しましたので以前に勤めていた企業よりは時間の融通が利きます。そうした点では恵まれていると思います。

女性にとって、税理士という仕事はどうですか?

女性におすすめの仕事だと思います。資格があれば安泰という時代ではありませんが、求人の数は多くあります。育児などでブランクがあっても復帰しやすいですしね。

女性の方がきめ細やかで丁寧な仕事をする人が多いので、男性にはない長所もあると思います。女性の皆さんには是非税理士を目指してほしいと思います。

では、男女問わず、税理士に向いている人というのはどんな人でしょう?

まずは、謙虚であることが必要です。税理士の中には、若いうちから「先生」と呼ばれるせいか、仕事があって当然と慢心してしまっているような人もいます。

税理士の業界は、お客さまに選ばれることが必要な時代になっています。そうした状況では、お客さまに対して謙虚であること、自分を「先生」を思わず、弛まず努力していくことが必要だと思います。

性格的には、真面目であることが必要です。調べることがたくさんあるので、積み上げた本を読むことが苦にならない人でないと厳しいかもしれません。条文も読み解く必要がありますし、何かと大変な仕事です。

数字に強いことも大事ですが、数学的なセンスがそれほど重要というわけではありません。それよりも、複雑な税法を、お客さまがわかるようにわかりやすく説明するセンスの方が大事だと思います。

税理士は高給というイメージがありますが、実際はどうですか?

近年、競争がどんどん激しくなり、仕事の単価も下がってきていている状態です。勤務税理士は労働時間の割には、それほど給料はもらえていない人が多いのではないでしょうか。担当企業によっては、徹夜をしなければならないようなときもありますしね。

高い年収を目指すのであれば、独立した方がいいと思います。

岸田さんの今後の目標はなんですか?

うちの事務所で女性の雇用を増やすことが私の目標です。私は一生働きたいと思ってますし、自分の人生は自分で決めるという信念を持っています。女性は子育てなどでブランクがあると、働く機会が減ってしまうというのが現状ですが、働きたいという気持ちを持った女性をサポートしたいと思っています。

うちの事務所で働くことが勉強するきっかけになったり、何かしらの足がかりになれたら嬉しいですね。

税理士を目指す人にメッセージをお願いします。

女性が活躍してほしいと思っているので、主に女性に対するメッセージになってしまうのですが・・・。

資格さえあればいいとは言いませんが、特に女性は資格を持っていたほうが有利なのではと思っています。資格を取得するということでなくとも、自分自身が財産という考え方を持って、自分に投資をして下さい。結果は後から必ずついてきます。

自立心を持って生きることが大切です。がんばっている姿を子どもがみれば、子どもにもきっといい影響があると思います。

そのようにして、自立した女性がどんどん増えていってくれればと思っています。