社会起業家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「社会起業家」とは

社会起業家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

医療問題や環境問題などの社会問題を、自ら立ち上げた事業を通じて解決することを目指す人。

社会に関するあらゆる問題を事業を通じて解決しようとする社会起業家。

その目的は社会貢献であり、利益は二の次です。常に新しい事業展開の構想を練り、息の長い企業にしていくことが持続的な社会貢献につながります。

社会への問題意識、それを変えたいと願う情熱があれば誰もが目指すことのできる職業です。

最近では社会的企業に関する基礎を教育機関で学べるようにもなってきています。

収入に関しては低い水準であることも多いですが、社会に貢献しているという自負が彼らを支えています。

もちろん、一般企業顔負けの利益を上げ、より良い社会貢献につなげている成功者もいます。

まだ歴史の浅い職業ですが目覚ましい活躍をしている先駆者が多数おり、盛り上がりのある業界であるといえます。

「社会起業家」の仕事紹介

社会起業家の仕事内容

社会の抱える課題を事業により解決する

社会問題を事業を通じて解決することを目指すのが社会起業家です。

報酬ではなく、社会にどれだけの影響を与えたかが実績となります。事業の分野は多岐にわたっています。

医療問題、国際問題、環境問題、教育問題、介護問題など、社会の抱える課題の全てが社会的企業を産み出す可能性があるのです。

社会起業家の勤務スタイルは事業内容に応じてさまざま。

電話及びメールでのやりとりが一日の大半を占める人もいれば、海外にある事業拠点と日本と行き来し、実際に作業に携わったりする人もいます。

また持続的な社会貢献をしていくために事業に関する新しい構想を練ることも社会起業家の大切な仕事の一つです。社会起業家は、社会が抱えるさまざまな問題に着目し、それらを解決するための企業を創立、組織化し、経営する職業です。

一般的なビジネスの起業家は、その事業を通して利益を上げることが主な目的ですが、社会起業家は利益を追求するのではなく、事業成功による社会貢献、問題解決を最大の目標としています。

もちろん事業として収益が上がるための努力は行いますが、それはあくまで寄付金などの外部資金に頼らず自力で、かつ継続的に課題解決に取り組み続けるためのものです。

貧困問題や環境問題、食糧危機、格差、差別など、社会起業家が手掛けるべき課題は無数にあります。

それらを解決するため、一般のビジネスと比べてリスクの高い事業にあえて挑んでいく点が、社会起業家の大きな特徴といえるでしょう。

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社会起業家になるには

必要なのは困難を乗り切る高い「志」

社会起業家はキャリアも年齢も性別も関係なく、誰でもなることができます。

極端にいえば、アイデアひとつあれば、企業を設立して、事業を始めることができます。

ただし、事業を行っていく上では、数限りない困難に直面することでしょうから、それらを乗り切っていくためには、「なんとしてでもこの問題を解決したい」という強い意志が必要です。

社会を変革していくためには、並大抵ではない情熱と使命感を持ち続けなければならないでしょう。

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社会起業家の学校・学費

専門に学べる学校に通うことも選択肢

近年、事業を通して社会に貢献したいと志す人々の声を受けて、「社会企業大学」や「社会企業塾イニシアティブ」など、社会起業家に必要な専門的知識を学べる教育機関が増えてきました。

社会貢献するために必ずしも事業を興さないといけないわけではありませんが、起業することでしか解決できない問題が山積しているのもまた事実です。

明確な問題意識と課題解決に向けた熱意があるなら、そういった専門機関に通うことも選択肢のひとつでしょう。

社会起業家の資格・試験の難易度

成功するには高いスキルが不可欠

社会起業家になるために特別な資格を取得する必要はありません。

ただし、社会事業といえども、あくまでビジネスはビジネスです。

一般の企業家と同じく、事業を成功に導くためには、組織を運営するマネジメント能力、市場を読み解くマーケティング能力などが必須で、経営者としての手腕に優れていなければなりません。

問題のあるところであえて事業を行うという社会事業の困難さを勘案すれば、一般のビジネスマンよりもさらに高いスキルが必要とされるケースも決して珍しくないでしょう。

社会起業家の給料・年収

自分の収入は後回し

社会起業家が事業を始める際、NPO(非営利団体)を立ち上げることが一般的ですが、それらの経営者の年収は300万円~400万円が多いようです。

組織の規模などにもよりますので一概にはいえませんが、多くは平均的なサラリーマン以下の年収で働いています。

社会起業家の事業はそもそも利益を得にくい分野であることが大半で、また収益があっても基本的に今後の活動費用に充てねばなりませんので、自分自身やスタッフはどうしても薄給になりがちです。

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社会起業家の現状と将来性・今後の見通し

日本は社会起業家後進国、今後に期待

日本において、従来の価値観に疑問を抱き、「お金より社会のために働きたい」と自身の働く理由について再考する機運が高まってきたのは最近のことです。

アメリカを筆頭に、海外では多くの人が既に社会起業家として活躍し、大きな成果を上げていますし、得られる収入も日本の比ではありません。

日本ではまだその認知度は十分とはいえませんが、社会起業家を養成する専門学校ができたり、大学で専門の授業が開講されたりと、少しずつ社会起業家を育む土壌ができつつあります。

社会起業家は、これからの活躍が期待される職業といえるでしょう。

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社会起業家の就職先・活躍の場

国内外問わず活躍の場は多数

社会起業家の手掛ける事業は幅広く、多岐にわたります。

短時間ですむ格安の健康診断サービスを提供したり、子育てに悩む女性を支援したり、過疎化に悩む地方に人口が流入する仕組みをつくる社会起業家もいます。

また海外では、アジアで貧困層を支援するための融資事業を展開したり、女性のための共同農園を開発したり、発展途上国で学校を運営したりと、分野を問わず多くの社会起業家が活躍しています。

世の中が抱える問題の数だけ、社会起業家の働く場があるといえるでしょう。

社会起業家の1日

コミュニケーションに追われることが多い

社会起業家は事業内容に応じて業務が大きく異なるため、その1日のスケジュールもさまざまです。

ただ、一概にはいえませんが、多くの人が仕事に関わってくるため、そのやりとりに多くの時間を割かれる傾向が強いようです。

8:00 出社
メールのやりとりや、他のスタッフが来るまでの準備などを行います。

10:00 会議
抱えている案件ごとに、スタッフとの打ち合わせを行います。

12:00 休憩

13:00 現場訪問
サービス利用者の元を訪れたり、工場を視察したりします。

15:00 講演会
社会起業家を志望する高校生や大学生に向けた講演を行います。

17:00 会議
外部スタッフを交えて電話会議を行います。

19:00 帰社
メールのやりとりを終えれば、帰宅します。

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社会起業家のやりがい、楽しさ

社会への影響力こそが最大のやりがい

困難を乗り越えて課題を解決し、社会に変革をもたらすことのできる社会起業家は、「チェンジメーカー」とも呼ばれています。

社会起業家の興す事業は大きな影響力を持っており、地域を活性化したり、人々の暮らしや健康状態をよくしたり、ときには人の人生さえ変えることができるかもしれません。

事業が成功し、社会へ貢献できたときこそが、これまでのさまざまな努力や苦労が報われ、大きなやりがいと達成感を得られる瞬間といえるでしょう。

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社会起業家のつらいこと、大変なこと

長期間にわたり懸命に努力し続けねばならない

長期間にわたり懸命に努力し続けねばならない

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社会起業家に向いている人・適性

周囲を巻き込む情熱のある人

社会問題という大きな課題に取り組むためには、解決のためにさまざまな手段を考え続ける思考力が必要になります。

ただ、社会問題のほとんどは規模が大きく、一人ではとても解決できませんから、アイデアを実際に実現していくためには、協力してくれる仲間や出資してくれる支援者を集めねばなりません。

人を口説き、賛同を得るためには、コミュニケーション能力はもちろんですが、本人自身の魅力や、何よりも事業への情熱が問われることになるでしょう。

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社会起業家志望動機・目指すきっかけ

お金よりも社会のために働きたい人が志望する

社会起業家の中には、大きな成功を収めて年収数億円を稼いでいる人もいますが、それはどちらかというと例外的で、またあくまで事業がうまくいった後の結果のひとつにすぎません。

社会起業家を目指すのは、働いて得たお金で豊かな生活がしたい人ではなく、たとえ収入が少なくとも、自分の手で社会を変えていきたいという強い意欲を持った人です。

私欲よりも公益、社会問題の解決を優先したいと考える人が、社会起業家を志望するようです。

社会起業家の雇用形態・働き方

働き方はさまざま、事業により異なる

社会起業家の働く場所、働き方は取り組む課題の内容によってさまざまで、千差万別です。

事務所を構えて一般企業と同様に勤める人もいますし、自宅でパソコン作業に一日を費やす人もいれば、海外を飛び回る人、完全に海外に移住する人もいます。

働き方は業務内容によって大きく異なりますので、イメージしづらいかもしれません。

社会起業家の働き方を知るには、既に事業を営んでいる社会起業家の事例を調べてみるとよいでしょう。

社会起業家の勤務時間・休日・生活

仕事と私生活の線引きは曖昧

誰かに雇用されているわけではない社会起業家は、勤務時間や休日も自由に設定することができます。

ただ、たとえ仕事をしていないときでも、頭の中は24時間事業のことでいっぱいでしょうし、常に新しいアイデアを考え続けねばならないでしょう。

また社会の動きが事業に影響するかもしれないので、始終新しい情報を新聞やテレビ、インターネットなどで収集しなければなりません。

自分で事業を営んでいる関係上、仕事と私生活を完全に切り分けることは難しいといえるかもしれません。

社会起業家の求人・就職状況・需要

問題のあるところに社会起業家の需要が

日本では少子高齢化による地域経済の衰退や過疎化、人手不足、格差問題など、海外では貧困や食糧難、医療不足、差別、環境破壊など、社会が抱える問題は数え上げればきりがありません。

それらの課題の中には国や行政では解決策を見出せない問題も少なからずあり、民間の手による革新的な取り組みが期待されています。

近年では社会起業家のための公的な補助金制度も徐々に拡充してきており、社会起業家の需要は高まりつつあるといえるでしょう。

社会起業家の転職状況・未経験採用

必要とされるスキルの高さから転職者が多数

社会起業家には、組織を運営するスキルだけでなく、取り組もうとする分野に関する深い専門知識も必要とされます。

このため、多くの社会起業家は、学校を卒業した後いきなり起業するのではなく、会社に勤めたりして社会経験を積むようです。

また社会起業家になるためのステップとして、既に社会起業家として活躍している人の下で働く、インターンシップ制度に参加するという方法もあります。

こうしたプログラムは「NPO法人ETIC(エティック)」が用意しているようですので、利用を検討してみるのもよいでしょう。

NPO法人ETIC