証券会社で働くにはどんな大学や学部にいけばいい? 必要な学歴も解説

金融業界で活躍したい人にとって、証券会社は魅力的な選択肢の一つです。

では証券会社でのキャリアを築くためには、どのような大学や学部を選ぶとよいのでしょうか。

この記事では、証券会社で働くのに有利な大学や学部を解説し、必要なスキルについても説明します。

証券会社社員になるまでの道のり

採用試験を受ける前に準備が必要

証券会社社員になるためには、通常の一般企業と同様に、志望する証券会社の採用試験にエントリーし、内定を得ることが必要です。

エントリーの時期は、入社予定の約1年前の4月から7月ごろに行われます。

ただし、証券会社を志す場合、その時期の少し前から行動を起こすことが一般的です。

学部生の場合は3年生から、院生の場合は1年生の後期から、業界研究や自己分析を行い、志望する企業や職種を絞り込んでいく人が多いです。

企業主催の勉強会やセミナー、インターンシップに参加したり、大学の卒業生訪問を行う人が見られます。

証券会社は学生にとって魅力的な就職先の一つであり、競争倍率はほかの業界と比べても高めです。

本格的な選考プロセスが始まる前に、これらの努力を積み重ね、エントリーシートの提出、適性試験や筆記試験、面接などの選考に挑むことが重要です。

採用試験は書類選考と面接

書類選考を突破した場合、社員による面接が数回行われます。

一般企業と同様に一般常識や英語力が問われるほか、金融知識、企業の方針や業界に対するビジョンについても問われることがあります。

最終面接まで進むことができれば内定が出され、卒業が確定した場合には、翌年の春に証券会社の社員として新たなステップを踏むことができます。

証券会社社員になるまでのルート

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証券会社の採用は積極的

証券会社の求人活動は、景気の変動による影響もありつつも、基本的には毎年非常に積極的に行われています。

特に大手証券会社などでは、総合職に関しては年によって差があるものの、500人を超える大規模な採用が行われることも少なくありません。

ただし、証券会社の仕事は一般的なイメージ通りにハードであり、個人によって合う・合わないがはっきり分かれます。

そのため、入社後に辞めてしまう人も多く、特に新入社員や若手社員の離職率は業界全体で高い傾向にあります。

このため、証券会社はあらかじめ早期退職者の数を見込んで、必要な人員よりも多くの採用を行っています。

こうした背景から、証券会社社員を目指す人にとって、採用の機会は大いにあります。

競争は就職前から就職後にかけても激しいですが、躊躇せずに積極的にエントリーし、前向きな姿勢でチャレンジすることをおすすめします。

証券会社で働くには難関大学や経済学部が有利

証券会社の採用試験に応募する際、特定の学部や学科に限定されているわけではありません。

経済学部や経営学部出身者が多い傾向が見られますが、法学部や商学部の学生、そして理系の学生も証券会社を志望する場合があります。

一部の証券会社では、数字に強いと評価される理系学生を積極的に採用する傾向もあります。

共通しているのは、有名な国立大学や一流の私立大学など、一般的に難関とされる大学出身者が多いという点です。

学歴はすべてではありませんが、進学を考えている場合は、高水準の大学を目指すことが有益です。

4年制大学を卒業した後に大学院に進学し、金融工学などの専門分野を学び、専門スキルを磨くという選択肢も有効です。

また、外資系証券会社を志す場合、大学在学中に留学の経験を積むことで、採用選考での評価が高まる可能性があります。

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証券会社社員に関連した資格をとるとプラスアルファに

証券会社への就職に際して、あらかじめ取得が必要な特定の資格はありません。

しかしながら、就職後には、有価証券の販売に関わる際に必要な「外務員」資格や、「証券アナリスト」「ファイナンシャルプランナー」などの資格取得が求められることがあります。

これらの資格試験の難易度は高くなく、学生のうちに自己学習によって合格することも可能です。

資格を取得していることは、採用試験において他の応募者との差別化につながるアピール材料となるばかりでなく、実務においても役立つ可能性があります。

また、働き始めてから忙しい合間を縫って勉強する手間を省くこともできます。

これらの資格は必須ではありませんが、挑戦することで自身のスキルアップにつながる可能性があるため、取得してみる価値は十分にあるでしょう。

証券会社で働くのにおすすめの資格は?

証券会社の社員は、金融や経済に関する深い知識と理解が必要な、高度に専門的な業務を担当します。

また、株式などの有価証券は多額の価値を持っており、顧客や社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があるため、自身の責任と影響力の重大さに応じて、知識を深めるための資格取得が求められます。

こうした資格は入社後に取得が必要とされるものであり、就職時に取得が条件であることは一般的にはありません。

ただし、学生時代に取得することで履歴書にアピール材料として書くことや、基本的な知識を身につけることができます。

必須ではありませんが、余裕がある場合は就職前に勉強を始めてみることをおすすめします。

以下に、職種ごとにおすすめされる資格を紹介します。

営業系職種に有利な資格「外務員資格」

営業系の証券会社社員にとって、最も代表的な資格は「外務員資格」です。

この資格を持っている人のみが、顧客に有価証券などの金融商品を販売することができます。

したがって、営業職として入社した際には、外務員資格の取得が重要なステップとなるでしょう。

外務員資格には一種と二種の区分があり、二種は株や公社債、投資信託などの現物取引に限られます。

一種まで取得すると、信用取引や先物取引、デリバティブ(金融派生商品)など、より高度な商品の取引も可能となります。

二種資格は入門レベルであり、比較的短い時間で勉強して合格できることが多いです。

一般的にはおよそ30時間程度の勉強時間が必要です。

独学でも合格可能な難易度ですので、学生時代に挑戦してみるのもよいでしょう。

その他の営業系職種におすすめの資格としては、「ファイナンシャルプランナー」があります。

これは住宅ローンや税に関するアドバイスができる資格であり、顧客の資産運用プランニングに関する知識が求められます。

また、「宅地建物取引士」は不動産に関する専門知識を持つ資格であり、不動産に関わる提案やアドバイスに役立ちます。

リサーチ系職種に有利な資格「証券アナリスト」

リサーチ系職種において注目される資格として、公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定する「証券アナリスト」があります。

証券アナリストの役割は、情報の分析や価格の評価を行い、内外の関係者をサポートすることです。

特に証券投資に関する専門的な知識と分析技術を活用するポジションです。

この資格を取得するためには、同協会が提供する通信講座を17ヶ月間受講し、その後マークシート形式の一次試験と筆記形式の二次試験の両方に合格する必要があります。

試験の難易度は高くないですが、資格取得までに最低でも1年半の努力が必要です。

情報収集や分析に基づく専門的なスキルを求められるリサーチ系職種につきたい場合は、より専門性をアピールできる資格といえます。

参考:公益財団法人 日本証券アナリスト協会

リサーチ系職種資格の一つとして、「CFA(Chartered Financial Analyst)」という国際基準の資格が存在します。

CFAは、証券分析やアドバイザリー業務を専門的に行う資格であり、証券アナリストと同様の領域で活躍することができます。

ただし、CFAの取得難易度は非常に高いです。

CFA試験はレベル1からレベル3までの3段階あり、各レベルで膨大な量の試験科目と問題が求められます。

特にレベル3はエッセイ形式の問題を含むため、高度な理解力や分析能力が求められます。

CFAの取得はかなりの時間と努力を必要とするため、学生時代に取得することは難しいですが、取得することで、国際的な金融業界でのキャリアを築く道が開けることでしょう。

参考:CFA Society Japan CFAtってどんな資格?

ディーラー系職種には実践的な専門スキルが必要

ディーラーの役割は、証券会社の資金を使って市場で取引を行う専門職であり、顧客の取引を仲介するのではなく、自身で実際に取引を行います。

このため、ディーラーの業務は営業系職種とは異なり、特殊なスキルが求められます。

資格よりも実践的な専門スキルが重要です。

ディーラーの業務には、チャートの分析力や相場の予測、瞬時の判断力などが含まれます。

これらのスキルは客観的に証明することが難しいですが、自身で株や為替などの取引を行い、実績を積むことでディーラーへの採用チャンスが高まる可能性があります。

ディーラーの取引は個人で行う取引と比べて扱う金額が大きいため、精神的にタフであることが重要です。

失敗や損失が生じることもある中で冷静さを保ち、淡々と取引を続けることが求められます。

成功だけでなく失敗からも学び、堅実な取引を続けられる心構えや性格が、ディーラーになるために必要なスキルといえるでしょう。

投資銀行系職種に有利な資格「「MBA(経営学修士)」

投資銀行部門で求められる資格として、まず挙げられるのが「MBA(経営学修士)」です。

MBAはビジネススクールで提供される専門の大学院プログラムで、経営学に関する知識とスキルを習得する学位です。

投資銀行業務では法人顧客に対して財務分析や資産評価、資金繰りなどの専門的アドバイスが求められるため、MBAホルダーが有利とされることがあります。

また、公認会計士資格や高い英語力を示すTOEICやTOEFLの高スコアも投資銀行業務において有利です。

これらの資格はいずれも高い難易度を持ち、取得には時間と努力が必要です。

効果的な計画を立てて着実に学習を進めることが求められます。

証券会社社員に向いているのは精神的にタフな人

証券会社社員には、度胸と向上心、精神的なタフさが求められます。

金融商品の取引は確実な儲けを約束するものではなく、顧客にアドバイスする商品が値下がりしてしまうこともあるため、成功体験と失敗体験を糧に成長する能力が重要です。

新規開拓の営業では、反応が芳しくないこともあるかもしれませんが、そこで諦めずに前向きな姿勢で進むタフさが必要です。

また瞬時の判断や市場の変化に対応するスピードも求められますので、逆境に打ち勝つ力が大切です。

また、日々変わる経済や金融の情報を追いかける必要があります。

経済やビジネスへの興味があり、情報収集が楽しみである人にとって、証券会社の仕事はやりがいのあるものになるでしょう。

このように柔軟な思考、情報の迅速な処理、クライアントとのコミュニケーションスキルなども重要なポイントとなります。

自分自身の成長を求め、変化を楽しむ姿勢を持つ人が、証券業界で成功を収めることができるでしょう。

証券会社社員に向いている人・適性

証券会社社員のキャリアプラン・キャリアパス

総合職採用はジョブローテーションする

証券会社の新卒社員は、まずリテール業務や個人顧客に対する営業業務からスタートすることが一般的です。

これにより、顧客対応や商品知識、基本的な取引手続きなどを学びます。

その後、数年の経験を積んだ後に、各人の適性や希望に合わせて様々な部署や職種に配属されることがあります。

とくに総合職としての採用の場合、ジョブローテーション制度を導入している企業が多いです。

これは、一つの部署にとどまらず、複数の部署や職種を経験することで幅広い視点やスキルを身につけることを求めるものです。

ジョブローテーションを通じて、将来的にリーダーシップやマネジメントのポジションを目指す人材の育成を図るのが企業側のねらいです。

部門別採用は専門性を高める

一方で、部門別採用も存在します。

この場合、特定の部門に専念し、その部門でのスペシャリストとしてのキャリアを築いていくことが期待されます。

部門別採用は、総合職採用よりも専門性を追求するため、志望者の中から選ばれる競争率が高いことがあります。

どちらを選ぶのがいい?

いずれの道を選ぶ場合も、個人の能力やキャリアプランに合わせて検討する事が大切です。

総合職は幅広い経験を通じてキャリアを構築できますが、部門別採用は特定の分野で専門性を高めることができます。

どちらがよいということはありませんので、将来のビジョンや目標に応じて選択しましょう。

証券会社社員は高卒から目指すのは難しい

高卒からの証券会社社員への就職は現状非常に難しい状況です。

多くの大手証券会社が求める最低条件として4年制大学卒以上と設定しており、高卒の場合は応募資格を満たしていないことが多いです。

中堅以下の地場の証券会社でも、高卒者の採用は正社員ではなく、契約社員としての採用が主流です。

契約社員の場合、待遇が不安定であったり、給与が出来高制であることが多いため、雇用条件や将来の安定性を考えなくてはなりません。

証券会社での職に興味を持っているのであれば、可能なかぎり大学進学を検討することがおすすめです。

大学卒以上の学歴を持つことで、就職の選択肢が広がり、より安定的な正社員としての採用が望めるでしょう。

ただし、証券会社での求人も競争が激しく、学業のほかにもアルバイトやインターンシップなどで、関連する経験や知識を積んでおくことが有利となります。

証券会社社員で働くには?のまとめ

証券会社でのキャリアを築くためには、選ぶ大学や学部が重要です。

経済学部や経営学部は、証券業界に特に適しています。

また、多くの大手証券会社は、4年制大学卒以上を求めています。

一般的に、名門大学や難関大学の出身者が優遇されることが多く、学歴は重要な要素となりますが、学歴だけが全てではなく、証券業界に興味を持ち、関連する経験や資格を積むことも重要です。