アナリストの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「アナリスト」とは
経済・業界・企業の動向や将来を予想し、投資対象としてふさわしいかを評価する金融専門職。
アナリストは、「証券アナリスト」または「金融アナリスト」と呼ばれることが多く、一国家および企業の財務や業績の分析、将来性の調査、業界の動向調査・分析を行う仕事です。
財務諸表などの決算情報を分析したり、企業に対してインタビューを行ったりして、投資対象としてふさわしいかを客観的に評価します。
証券会社や資産運用会社、調査研究所で働く人が多く、アナリストの分析結果は企業内で展開されるほか、顧客向けの資料に使われたり、雑誌やテレビなどで紹介されたりします。
高度な論理的思考力やデータ分析能力、金融の専門的な知識が求められるため、一般的に高学歴のほうがアナリストになりやすいとされています。
しかし、金融機関でも新卒で最初からアナリストとして採用されることは少なく、他の職種で経験を積んでいくなかで、適性や実力が認められてアナリストに抜擢されることが多いようです。
給与水準は高く、20代でも実績が伴っていれば1000万円を超えることもあり、外資系企業ではさらに多くの収入を手にすることも可能になります。
「アナリスト」の仕事紹介
アナリストの仕事内容
国や企業について冷静に分析
アナリストは、証券アナリストまたは金融アナリストと呼ばれる事が多く、一国家や企業の財務や業績の分析、将来性の調査、業界の動向調査・分析を行う専門職種です。
財務諸表などの決算情報の分析や、直接企業に対してのインタビューなどを行い、投資対象としてふさわしいかを客観的に評価することを求められます。
アナリストの分析は企業内で展開される他、顧客向けの資料に使われたり、雑誌やテレビなどで紹介されたりします。
文系出身者でもできる仕事ですが、データ分析や計算など数字を多く扱いながら冷静に分析することを求められるので、理系出身者に向いているといえるでしょう。
金融の知識はもちろん必要になりますが、海外からの情報やデータを読み解きまとめることも多いため、語学に長けた人が優遇されやすいです。
アナリストになるには
金融機関に入社
アナリストはさまざまな金融機関で活躍できますが、新卒で最初からアナリストとして採用されることは少なく、人事面談で適性をみてアナリストとして選ばれることが多いです。
そのため、証券アナリストの資格を学生の内に取得しておくとアナリストとして活躍したいというアピールになるでしょう。
証券会社や資産運用会社、調査研究所など活躍の場はさまざまですが、アナリストになれる人材は将来を期待されたごく一部なので、やる気を伝え続けることが大切です。
アナリストの学校・学費
高学歴が有利
アナリストになるまでには金融知識について学習することが多く、分析力や判断力も必要になるため、一般的に高学歴の方が選ばれやすいといわれています。
また、海外の情報を入手してレポートにまとめるという仕事も行うため、英語力も求められます。
留学経験や、海外の大学・大学院を卒業した人は有利になりやすいでしょう。
同僚や上司もエリートが集まる業界なので、アナリストになりたい人は難関大学に入学することを目指すべきといえます。
アナリストの資格・試験の難易度
資格取得は難易度が高い
証券アナリストになるには、証券アナリストの資格を取る必要があります。
通信講座を使って勉強して資格取得を目指すことになりますが、勉強時間は2~3年で2000時間程度といわれており、しっかり勉強しなくてはいけません。
一次試験では、証券分析とポートフォリオ・マネジメント、財務分析、経済の3科目を合格する必要があります。
一次試験を合格すると二次試験に進むことになりますが、証券分析業務に必要な高度の専門知識とその実務的応用力、分析力、判断力ならびに倫理感などが問われます。
アナリストの給料・年収
20代で1000万円を超えることも
証券アナリストの給与水準は高く、20代でも実績が伴っていれば1000万円を超えることもあります。
ジュニアアナリストとして働き始めてシニアアナリストへと昇進しますが、シニアアナリストの方が給与は高くなります。
特に外資系の場合はインセンティブの割合も高く、2000万円~3000万円稼ぐことも夢ではありません。
企業や経済情勢についてしっかり分析して、誰が読んでもわかりやすいレポートを公開することが大切で、実績が出ると社内だけにとどまらず、雑誌やテレビなどのメディア露出も増えます。
アナリストの平均年収・月収・ボーナス
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、証券アナリストの平均年収は、40.7歳で948万円ほどとなっています。
・平均年齢:40.7歳
・勤続年数:9.3年
・労働時間/月:168時間/月
・超過労働:11時間/月
・月額給与:618,000円
・年間賞与:2,060,000円
・平均年収:9,476,000円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
証券アナリストの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
証券アナリストの年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。
10人〜99人規模の事業所に勤める証券アナリストの年収は723万円、100〜999人規模は1,254万円、1,000人以上規模は895万円、10人以上規模平均は948万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」で社会保険労務士、アクチュアリー、経営コンサルタントなど他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
証券アナリストの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
証券アナリストの年収を年齢別に見ると、かなりばらつきがありますが、総じて年収は高めです。最も年収が高い世代は、45~49歳の1,580万円です。
全年代の平均年収は948万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」で社会保険労務士、アクチュアリー、経営コンサルタントなど他職業を含むデータです。
アナリストの現状と将来性・今後の見通し
投資人口は増える見込み
賃金はなかなか増えずに、銀行預金が低金利でなかなか貯蓄も増えないので、今までは投資に消極的であった層も資産を増やすために投資に興味を持ち始めるでしょう。
そのため、市場や株価を予測するアナリストへの期待も高まり、需要も増えることが予想されますが、AIという強敵が存在することも事実です。
そんな時代を生き残るには、分析や情報発信に付加価値をつけなければいけませんし、情報収集や勉強を人一倍行い勝率を上げる必要があります。
アナリストの就職先・活躍の場
証券会社や資産運用会社
証券アナリストは金融機関全般で活躍の場がありますが、特に証券会社と資産運用会社で働く人の割合が高いです。
証券会社ではどこの会社に投資すべきかなどのレポートをまとめで、営業が株を顧客に進めるときの参考になります。
資産運用会社では、投資信託をコーディネートするファンドマネージャーがどのような株や債券を組み込むべきかのアドバイスを行ないます。
銀行や調査研究所でも働くことができるので、証券アナリストになり実績を残すことができれば、金融機関内の転職もしやすいです。
アナリストの1日
アナリストは朝が重要
アナリストの仕事は短期目線と長期目線で相場を分析することになりますが、朝一で情報を展開する場合、出社直後から忙しくなります。
7:00出社
朝は5時ごろから起きて世界情勢などを新聞やテレビ、インターネットなどで確認した上で出社します。
8:00 社内に情報発信
出社後すぐにその日の株価予想をレポートにまとめて社内展開をします。
9:00 朝礼
分析結果が合っているか、各部署との連携状況はどうなっているか共有します。
10:00 レポート執筆
長期目線の株価予想をレポートに執筆します。
12:00 昼休憩
昼食は15~30分でさっくり済ませることが多いです。
13:00 各部署からの問い合わせに答える
公開済みのレポートに質問届くので、それに対して返答するのも大切な仕事です。
15:00 外出
担当する企業へ訪問して、業績などについてヒアリング。
17:00 テレビ会議
国内支店・海外支店合同でテレビ会議を行い、今後の株価の流れはどうなるかディスカッションします。
18:00 資料作成
明日朝に発表する資料のアウトラインを作成します。
20:00 帰社
仕事が終われば順番に帰社します。
アナリストのやりがい、楽しさ
予想が当たり実績を残せる
アナリストの仕事は経済や業界、企業の将来を予想して、投資対象としてふさわしいかを客観的に判断することになります。
最初は社内でレポートなどを作成して情報展開することになりますが、予想が当たり実績を残せるようになれば、インセンティブもつき給与も高くなります。
また、実績を積み上げることで会社の代表として雑誌やメディアなどに出演して、個人としての名を売ることもできるので、好条件での転職にも期待できるのが魅力です。
アナリストのつらいこと、大変なこと
予想が当たらないと減給の可能性も
アナリストは市場や株価の分析をテクニカルに沿って行いますが、世界情勢などさまざまな要因に左右されるので予想は難しく、必ずしもいつも当たるわけではありません。
しかしながら、アナリストの分析により動く営業から予想が外れることでバッシングを受けたり、給与が減給になったりするなど、予想が当たらないと精神的にもつらくなります。
そのため、アナリストを目指す人は予想が外れてもくよくよせずに気持ちを切り替えて、次は上手く分析しようと思えるようなメンタルの強さが必要です。
アナリストに向いている人・適性
情報のインプットもアウトプットも得意
アナリストはさまざまな角度から情報をインプットして、それを的確に分析し、自分の言葉に変えてアウトプットする必要があります。
そのため、さまざまな事柄に興味を持ち積極的に調査する好奇心や、うまく必要な情報をピックアップして分析し、誰にでもわかりやすく説明できる情報発信能力が求められます。
また、朝も毎日早く起きて昨日の欧州の株価チェックを行う必要もあるので、朝一からパワー全開で仕事をする体力も必要になるでしょう。
アナリスト志望動機・目指すきっかけ
株価の分析に興味がある
銀行預金が低金利な日本に住む以上、資産運用しなければ大金を掴むことができません。
株取引はハイリスクハイリターンの運用ではありますが、資産を増やすことができる手段のため、株価がどんな事象に左右されて動くかを理解し、今後の動きを予測することは投資のために必要です。
株価の分析に興味があり、自らも投資経験がある場合など証券アナリストという仕事に興味を持ち、目指すきっかけにもなるのではないでしょうか。
また、企業の株売買に携わる場合は収益に関わる仕事をすることになるので、重要な仕事を任されたいと思う人に向いています。
アナリストの雇用形態・働き方
基本的には総合職の正社員
証券アナリストは、各金融機関で新卒として総合職の正社員として採用された人の中から適性をみて選ばれる場合が多いです。
しかし、中途採用の場合は実力があると判断されるまでは契約社員として働き、認められたら正社員になるという体制の会社もあります。
国内企業の場合は実績が残せなくても配置換えで済むことが多いようですが、外資系はシビアなので、例え正社員として採用されたとしても終身雇用に期待はできません。
アナリストの勤務時間・休日・生活
アナリストの朝が早い
アナリストで1日の相場を分析して朝一に社内に情報展開をする仕事をする場合、朝は5時には起床し、インターネットや新聞、テレビなどで情報収集を行います。
会社到着後すぐにレポートにして日本市場が開く前に発信する必要があるため、朝からフルパワーで働かなければいけません。
暦に合わせて土日祝休みになることが多く、金融機関ということもありきちんと有給も取りやすい環境にはなりますが、普段の業務は残業が大きくなりがちです。
アナリストの求人・就職状況・需要
新卒で職種採用はあまりない
新卒でアナリストになりたいと思っても、アナリストになるには金融の実務経験や知識の積み上げが必要なため、なかなか最初からアナリストの道に進むことはないようです。
一旦は営業などを経験して、適性があると判断された場合にアナリストとして抜擢されます。
アナリストは人気の職種ですが、ごく一部しかその地位に就くことはできないので、本当にアナリストを目指すなら、証券アナリストの資格の取得や勉強中であることを人事部や上司にアピールしましょう。
アナリストの転職状況・未経験採用
金融機関の場合は有利
アナリストの未経験の採用は、他業種からの場合はハードルが高いですが、金融機関からの場合は比較的有利です。
全く知識がない人に一から教えるのは手間になるので、証券アナリストの取得や勉強中であるということがアピールできるとプラスに働きます。
未経験採用では、契約社員として入社することもあり、アナリストとして活躍できる見込みがあるか仕事への取り組み姿勢や実績などで判断されます。
会社にとって有益な存在だと思われれば正社員になることができるようです。