社会福祉学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
社会福祉学の概要・理念
社会福祉学とは、社会で暮らす一人ひとりが人間らしく幸せに生きていくために、そのような環境や制度が必要であるかを研究していく学問です。
狭義においては、障がい者や高齢者、生活困窮者といった人々に対して、自立や社会参加を促す支援を行うための考え方や具体的な方法について学びます。
社会における福祉全般について考えることになりますので、福祉を実現するために必要な住宅、道路といった物質的な支援から、精神面でのサポートに至るまで、広範囲に及ぶ知識が求められます。
社会福祉学においては、こうした世の中の要望に応えられるスペシャリストを養成し、輩出することを目指しています。
また、福祉と聞くと介護や生活支援を中心にイメージする人も多いはずですが、人類が幸福に生きていく上での問題を扱うという点では、飢餓問題や貧困問題、あるいは豊かな人生を送っていくことを目指す生涯学習といったテーマも、社会福祉学の研究領域となります。
社会福祉学で学ぶこと
社会福祉学において学ぶことは非常に幅広く、福祉に関するあらゆることが研究対象となります。
そのため、福祉施設や訪問介護における介護や生活支援のあり方、運営といったサービスの面のみならず、関連する法律や社会的背景、福祉に対する人々の意識、物質的な援助と精神的な援助といった多様な切り口で福祉について考えることになります。
こうした多様なテーマについて、地域福祉論、障がい者福祉論、医療福祉論、児童福祉論といった講義で扱います。
実際に相談者に対応することを想定し、問題解決に向けてどのような提案を行うかを実践的に考えるケースワークや、特別養護老人ホームなどの施設で実際に働くといった実習が行われることもあります。
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社会福祉学の大学での授業科目の例
地域福祉論
社会福祉サービスを必要とする人やその家族が、地域社会の中で自立していくための支援のあり方について考えます。
障がい者福祉論
さまざまな障がいや障がい者へのサポートのあり方について学び、適切な支援ができるよう知識を身につけます。
医療福祉論
医療行為を必要とする人が適切な医療サービスを受けられる社会のあり方について考えます。
児童福祉論
あらゆる児童が幸せを保障され、人間らしく生きていくことができる社会を実現する方法を模索します。
社会福祉援助技術実習
福祉施設等において、実際の利用者やその家族の相談に乗り、適切な福祉サービスを受けられるよう支援する技能について学びます。
社会福祉学のレポート・テーマの例
社会福祉学では、社会の中での福祉のあり方という幅広い視点から物事を捉え、研究していきます。
そのため、レポートに関しても高齢者・障がい者・生活困窮者・児童といったように、さまざまな切り口から調査や検証が必要なテーマが少なくありません。
- ・在宅高齢者が閉じこもる心理的要因
- ・認知症の症状と行動について
- ・就労自立支援の課題
- ・介護施設でのターミナルケア
- ・生活保護の現状と課題
社会福祉学と関連する学問
同じ福祉学の分野として介護福祉学があります。
社会福祉学が社会の中での福祉のあり方を考えるのに対して、介護福祉学は介護や生活支援が必要な方々へのサポートを行う現場寄りの理論や技能を学ぶ点が異なります。
社会福祉学では福祉制度を支える法律や行政、財政といったことも総合的に考えながら研究を進める必要があります。
そのため、法学、政治学、社会学といった分野が関連することがあります。
また、福祉サービスを必要とする人やその家族の心理を考える上で、心理学の知識が求められることもあります。
社会福祉学を学んで就職に有利な業界・仕事
社会福祉士の資格を取得し、支援を必要としている方々が安心して生活を送ることができるようアドバイスする専門家を目指す人もいます。
また、介護や生活支援に必要な知識や技能を持つ介護福祉士の資格取得を目指す人もいます。
これらはいずれも国家資格であり、福祉に関する専門知識が問われることから、資格を取得することで介護・福祉業界で働く上で有利になることは間違いないといえるでしょう。
具体的な就職先としては、特別養護老人ホームや障がい者施設、児童相談所などが挙げられます。
職種としては、社会福祉士、介護福祉士、ソーシャルワーカー、ケースワーカーなどの進路が想定されます。
また、児童福祉を学んだ経験を活かし、特別支援学校の教員や保育士を目指すことも可能です。
社会全体が高齢化していくことに伴って、福祉に携わる人材の確保急務となっているものの、依然として人手不足の面があるのは否めません。
社会福祉を学んだ経験は、介護・福祉業界で働く上で大いに役立てていくことができるはずです。
社会福祉学の知識は人生でどう役立つ?
福祉とは、人が幸せに生きていくために生活問題を解消する取り組み全般のことをいいます。
この過程で必要となるのは金銭的・物質的な支援だけなく、思いやりや助け合いといった人と人とのつながりです。
社会福祉学を学ぶことを通じて、人の人生を支えることの意味の重さや、その真のやりがいについて気づくことができるでしょう。
福祉の仕事は多くの人の苦労や心の傷に寄り添う必要のある、ハードな仕事であることは言うまでもありません。
人の役に立っていることを実感し、やりがいを持って働いていく上でも、社会福祉学を学んだ経験は大きく寄与し続けていくでしょう。
高齢化が進み、人々の価値観も多様化していくこれからの社会において、社会福祉学は重要な教養の1つとなっていくかもしれません。
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