社長の退職金はいくらくらい?
社長にも退職金が支給されることがある
一般の従業員が会社を退職する場合、会社によっては勤続年数などの条件に応じた「退職金」というお金が支給されます。
この退職金は、社長をはじめ、経営に携わる役員にも支払われることがあります。
なお、役員の退職金については正確には「役員退職慰労金」と呼ばれ、取締役などの会社の役員のみが受け取れるものです。
一般従業員の退職金よりも金額は大きくなるのが普通ですが、会社への貢献度や在年年数などによってその額は変わってきます。
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社長の退職慰労金は自由に決められない
会社において、役員退職慰労金は必ず支払われるべきものというわけではありません。
また、役員退職慰労金の支払いを行うことも、その額も、支払い方法や時期も、会社側が勝手に決めることはできません。
会社法では、役員退職慰労金は「定款」または「株主総会の決議」によって定める必要があるとされており、通常は株主総会決議で定めることが多いです。
つまり、たとえ社長であったとしても、自分の役員退職慰労金を勝手に決めることはできず、株主の理解を得なくてはなりません。
平均の支給額はいくらくらい?
役員退職慰労金の支給額は、以下のいずれかの計算式で決められるのが一般的です。
1.功績倍率方式:退任時の最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率
2.平均法方式:1年当たりの平均退職金×役員在任年数
1の場合、役位によって功績倍率が変わり、社長は3.0を掛けるのが水準とされます。
たとえば社長の最終報酬月額が150万円で、役員としての在任年数が10年だった場合、役員退職慰労金の額は150万円×10年×3.0=4500万円となります。
2の方法は、最終報酬月額が異常に高い/低い場合などに使われることが多いです。
ここでいう「1年当たりの平均退職金」というのは、同業種・同規模法人の役員退職金の総額から役員在職年数を割ったものを指します。
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退職慰労金制度は廃止傾向に
最近では、退職慰労金制度の廃止を打ち出す企業が増加傾向にあります。
その理由のひとつとして、退職慰労金は年功的要素が強いため時代遅れの色が否めないといったことや、算定基準が明確でないことなどから、反対の声が高まっていることなどがあるようです。
現在は基本報酬や会社の業績に連動した報酬体系へと制度を改定する企業が増えており、大企業ほどこの傾向が強くなっているようです。
産労総合研究所が発表した「2015年の 役員報酬の実態に関する調査」では、退職慰労金制度のある企業は全体の60.0%でした。
また「過去にあったが廃止した」が30.3%、「もともとない」が9.0%となっています。
企業規模による違いも目立ち、1000人以上の大企業では退職慰労金制度があるのは34.5%ですが、299人以下の小企業では74.4%と高い割合です。