大学職員の需要・現状と将来性
大学職員の現状
大学職員の人気と職員数の推移
大学職員に対して、以下のようなイメージを抱く人は多いようです。
- 社会的に信頼度の高い教育機関で仕事ができる
- 規則正しい勤務時間内で働ける
- 民間企業に比べると倒産や経営不振のリスクが少ない
大学職員は、堅実で安定感のある職業として人気がある職業です。
また、大学職員は産休や育休を取得しやすいこともあり、長くキャリアを形成したいと考える女性からも人気のある職業です。
近年、大学進学率の上昇とともに大学数は増加し、それにともなって大学職員の数も年々増加しています。
なかでも、大学の附属病院の管理運営業務に従事する医療系事務員を中心に女性職員の伸び率が高く、最近では女性が職員全体の6割以上を占めています。
少子化の影響と求められる大学職員の役割
少子化により、大学に入学する年齢である18歳の人口は減り続けています。
その影響で学生数が確保できず、厳しい経営状況に追い込まれる私立大学は年々増えているのが実情です。
こうしたなか、多くの大学では、自校の魅力を高めるためにさまざまな改革が進められています。
現在の大学職員は、単なる事務作業員という枠を超えて、教員と対等な立場でより積極的に大学運営に参画することが求められています。
個々の大学職員の質を高める必要性はいっそう大きくなっており、2017年からは大学設置基準の改定によって、「大学職員の職能開発(スタッフ・ディベロップメント)」が義務化されています。
20代で正社員への就職・転職
大学職員の需要
国公立大学にしても私立大学にしても、例年新しい職員の募集があります。
また、正職員だけでなく契約雇用や非常勤、パート職員などいろいろな雇用形態で求人が出ています。
業務が一時的に増えたり、新しい係や担当ができた場合などは、年度途中でも求人が出ることはめずらしくなく、一年を通して就職のチャンスはあります。
大学職員が担当する仕事内容は幅広く、「事務系」と「技術系」に分けて募集が出されるケースも見られます。
また、大学等に附属する図書館に配属されて図書業務を行う職員もいますが、この場合は「図書館司書」の資格が必要なため、別区分で募集されることが多いようです。
大学職員は人気の職業であり、とくに有名な大学やアクセス・立地のよい大学、待遇や給与などの条件のよい大学の求人は、応募が殺到することがめずらしくありません。
しかし、実際の採用人数は少ないため、かなりの倍率になることには注意が必要です。
大学職員の将来性
1990年代以降、日本では大学の規制緩和が進み、ぞくぞくと新しい私立大学が新設されるようになりました。
一方、少子化により、大学に入学する18歳人口はピーク時の約200万人から、2032年には初めて100万人を割って約98万人となり、さらに2040年には約88万人にまで減少すると予想されています。
この少子化の影響で、現在、地方の小規模大学を中心に4割を超える私立大学が定員割れを起こしているといわれています。
定員割れを起こしてしまった大学は、「人気がない大学」「受験さえすれば誰でも合格できるような大学」「卒業しても就職できない大学」というイメージがついてしまうことで、さらに受験生が敬遠してしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。
こうした状況のなか、大学職員の待遇についても、今後は決して楽観視できないのではないかという見通しがあるのも事実です。
大学職員として応募する際には今後の経営方針についてしっかりと把握した上で、自身のキャリアと照らし合わせながら応募することが大切です。
しかしながら、2020年現在、文部科学省の主導によりさまざまな大学改革が進められています。
大学入試センター試験に代わる共通テストの導入、私立大学の入学定員厳格化、給付型奨学金および授業料減免制度の導入などにより、大学業界に追い風が吹きはじめているという意見もあります。
20代で正社員への就職・転職
大学職員の今後の活躍の場
各大学においていっそうの改革が進むなか、大学職員に求められる業務は年々高度化・複雑化しています。
そのため、自ら能力を高めていくことが重要となります。
今後は、これまでのようにさまざまな部署を経る「ゼネラリスト」ではなく、特定の分野に特化した「スペシャリスト」としての役割が期待されています。
大学教員としての高度専門職の具体的な例として、以下のような仕事が挙げられます。