社会福祉士は通信でも資格は取れる?

社会福祉士は通信でも資格は取れる?

社会福祉士になるためのルートは複数あり、通わなければならない学校も、各自の学歴や実務経験などに応じて、4年制の福祉系大学や一般養成施設など、さまざまです。

それらの学校のなかには、通信制の課程を設けているところも含まれ、指定されている科目を履修して卒業することで、社会福祉士国家試験の受験資格が得られます。

一生懸命勉強して国家試験に合格しさえすれば、通信制でも、通学制の学校に通う生徒と同じように社会福祉士の国家資格を取得することができます。

通信制を利用することで、すでに社会人として働いている人や経済的事情や家庭の事情などで学校に通うことが困難な人であっても、社会福祉士になることができるでしょう。

ただし、通信制には時間や場所を選ばない、自分のペースで勉強できる、学費が安くすむといったメリットがある一方で、注意しなければならない点もいくつかあるため、以下でご紹介します。

通信で社会福祉士資格を取得する際の注意点

スクーリングや実習をこなす必要がある

通信制は、送られてくるテキストやインターネット上でのオンライン講座などで勉強し、レポート作成などの課題をこなしていくことで学習を進めます。

しかし、社会福祉士になるために勉強しなければならない内容は、資格を管理している厚生労働省によって細かく養成科目が規定されており、そのなかには実際の施設で行われる実習も含まれています。

さらに、学校を訪れて講師などから直接指導を受ける「スクーリング」も、月に2~3回程度の頻度で実施されます。

通信制とはいっても、そのすべてを自宅学習だけで完結できるわけではない点には、あらかじめ注意する必要があるでしょう。

スクーリングについては、社会人などであっても無理なく通えるよう、土日祝日などに実施されるケースも少なくないため、仕事との両立は十分に可能です。

しかし、社会福祉士の実習は1ヵ月弱にわたる長丁場であり、また施設の都合上、土日祝日だけに実施することも非常に困難です。

働きながら社会福祉士を目指す場合、この実習期間をどう乗り切るかが大きな課題となります。

できれば勤め先に正直に事情を説明し、協力を仰ぐことが望ましいでしょう。

自分を律することのできる精神力が求められる

通信制では、社会人などであってもムリなく学習を進められるよう、ある程度余裕をもってカリキュラムが組まれていますが、それでも仕事と勉強を両立させることは簡単ではありません。

1日の仕事を終えたあとの休息時間や、友人や家族などと過ごす余暇の時間などを勉強に充てることになるため、我慢しなければならないことも増えるでしょう。

さらに、通学制の場合とは違って周囲には教師も友人もおらず、自分だけで孤独に勉強を続けなければならないため、モチベーションの維持に苦労することもあるかもしれません。

通信制で国家資格を取得するためには「どうしても社会福祉士になりたい」という明確な目的意識と、自分を厳しく律することのできる強い精神力が必要です。

国家試験対策を独学で行わなければならない

社会福祉士国家試験の合格率は近年25~30%前後で推移しており、単純計算で3人か4人のうち1人しか受からない難関です。

覚えなければならない知識量は膨大であり、入念な対策が必要ですが、通信制の場合、通常の授業と同じように、国家試験の受験勉強も独学で行わなければなりません。

学校によっては、模擬試験や実力確認テスト、短期集中対策講座を実施したりして、受験をフォローしてくれるところもありますが、それでも基本的に一人で勉強しなければならないことに変わりはありません。

一般的に、合格には約300時間の勉強が必要といわれているため、とくに社会人の場合は、勉強時間の確保に苦労することになるでしょう。

国家試験の直前の時期は、ある程度まとめて仕事を休むといったことも必要になるかもしれません。