介護福祉士から社会福祉士になるには
介護福祉士が社会福祉士を目指すケースは?
「介護福祉士」と「社会福祉士」は、どちらも福祉系の代表的な国家資格ですが、その仕事内容は大きく異なります。
介護福祉士のおもな仕事は、食事、入浴、排せつなどの介助や、料理、掃除、洗濯などの生活面のサポートである一方、社会福祉士のおもな仕事は、福祉などに関するさまざまな相談を受け付けることです。
このため、社会福祉士の国家資格を取得できれば、介護業界に限定することなく、医療や福祉、行政など、幅広い分野で活躍することが可能になります。
これまでのキャリアを生かしつつ、環境を変えたい人や、介護以外の方法で人の役に立ちたい人などが、介護福祉士から社会福祉士になることを目指すようです。
また、介護福祉士と比べると、社会福祉士の業務は肉体的負担が相当軽くなるため、年齢を重ねて体力や筋力が衰えても、ムリなく仕事を続けられる点も大きな魅力です。
長期的に安定して働き続けることを考える人が、介護福祉士から社会福祉士になるケースも散見されます。
介護福祉士が社会福祉士になる方法
社会福祉士になるためには、国家試験の受験資格を満たしたうえで試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。
ただし、業務の特性上、介護福祉士よりも広範囲にわたる深い専門知識が必要であり、国家試験の難易度は、社会福祉士のほうが介護福祉士よりはるかに上です。
さらに、国家試験の受験資格を得るためのハードルもより高くなるため、介護福祉士から社会福祉士になることは決して簡単ではなく、中長期にわたる継続的な努力が不可欠です。
しかし、社会福祉士の資格を取得できれば、かけた時間と労力に見合うだけのメリットは十分に得られるでしょう。
受験資格を得る方法は全12通りもあり、介護福祉士から社会福祉士になるルートも複数考えられますが、大卒とそれ以外の2パターンに分けて、代表的なルートを以下ご紹介します。
大卒の場合
4年制大学を卒業している場合、一般養成施設と呼ばれる学校に1年以上通うことで、社会福祉士国家試験の受験資格が得られます。
一般養成施設のなかには夜間課程や通信課程のところもあるため、介護福祉士の仕事と社会福祉士の勉強を両立させることも決して不可能ではないでしょう。
さらに、福祉系大学出身者については、介護福祉士と社会福祉士に共通の「基礎科目」を履修しているケースもあり、その場合は短期養成施設において6ヵ月間通うだけで受験資格が得られます。
自身の履修状況について、出身大学などで確認してみるとよいでしょう。
ただし、いかに短期間とはいえ、介護福祉士として介護業務や夜勤業務をこなしつつ養成施設での勉強に励むのは、体力的にも精神的にも相当ハードです。
社会福祉士国家試験の合格率が3割ほどしかないことを考えても、一発合格にこだわるのではなく、何度も粘り強くトライし続けることが必要かもしれません。
大卒以外の場合
介護福祉士になるにあたっては、社会福祉士とは違い、3年間の実務経験を積めば学歴に関係なく国家試験を受けられるため、大卒でない人も多いでしょう。
その場合、短大卒か専門学校卒か、福祉系かそれ以外か、あるいは中卒や高卒か、どのような学歴であっても、相談援助実務の経験を積まなければ、受験資格が得られません。
介護福祉士の資格とキャリアがあれば、一般の人よりはいくぶん有利かもしれませんが、それでも未経験から該当する業務を手掛けられる施設・役職に就くことは、非常にハードルが高いでしょう。
このため、実務経験を積む道よりも、4年制の福祉系大学に入学する道のほうをおすすめします。
4年制の福祉系大学であれば、指定科目を履修して卒業するだけで受験資格が得られ、養成施設に通う必要も、実務経験を積む必要もありません。
養成施設と同じく通信課程の大学もあるため、介護福祉士として働きつつ、大学生として勉強することも可能です。
さらに、学校によっては、これまで通っていた別の学校で取得した単位を認定してくれて、2年や3年の勉強で済む可能性もあります。
職場によっては、スタッフの社会福祉士資格取得を推奨し、バックアップしてくれるケースもあるため、大卒以外からでも、根気強くがんばれば、社会福祉士になることは十分に可能です。