DV被害に対応する社会福祉士の仕事

DV被害の現状とその対策

DV(Domestic Violence:ドメスティック・バイオレンス)は、日本語で「家庭内暴力」を意味します。

配偶者や恋人から、殴る、蹴るといった身体的暴力や、暴言、人格の否定などの精神的暴力、あるいは経済的暴力や性的強要などを受けるDVの被害者は、年々増加傾向にあります。

内閣府がまとめた統計によると、DVに関する相談件数は、ここ10年ほどでほぼ倍増しており、2014年に10万件を超えて以降、ずっと同水準で高止まりしています。

DVは、現代が抱える大きな社会問題のひとつといえますが、そうした状況を打開すべく、政府は2001年に制定した「配偶者暴力防止法」をたびたび改正し、被害の防止と被害者の救済に努めてきました。

その拠点となるのが、地方自治体によって指定された「配偶者暴力相談支援センターとは」です。

配偶者暴力相談支援センターのなかには、かつて売春に走る女性の保護・更生のために設立された婦人相談所や、福祉事務所、男女共同参画センターなど、さまざまな種類の施設があります。

毎年数多くの施設が新たに支援センターに指定されており、その数は全国合計で300近くにのぼっています。

そうした支援センターでは、一般の職員に加え、臨床心理士やカウンセラーといった心理系専門資格の保有者や、社会福祉士の資格保有者も数多く在籍し、DV被害者の支援に尽力しています。

配偶者暴力相談支援センターとは

DV被害に対応する社会福祉士の仕事内容

DV被害に対応する社会福祉士の仕事内容は多岐にわたりますが、代表的なのは、ほかの福祉施設と同じく、相談対応業務です。

センターを訪れる人を窓口で対応したり、かかってくる電話を受けたりして、各自の相談内容を聴取し、被害状況を把握します。

その内容に応じて、自立して生活を送るのに必要な福祉サービスや福祉施設を紹介したり、カウンセリングを案内したり、警察などの関係機関に連絡して、情報を共有したりします。

緊急と判断される場合には、被害者とその子どもなどを施設に一時的に保護し、加害者から隔離して、身の安全を図ります。

事態が落ち着いた後も、DV被害の再発を防ぐため、転居先を加害者に知られないための制度の利用法を説明したり、関連機関と密に連絡を取り合ったりして、被害者を継続的にサポートします。

DV被害に対応する社会福祉士になるには

配偶者暴力支援センターは、都道府県や市町村が運営する公的機関です。

このため、社会福祉士がDV被害に対応するには、まず各地方自治体の公務員試験を受けて、公務員になる必要があります。

しかし、採用されても配属先を自分で選べるわけではないため、公務員として働きつつ、年に一度実施される配属先希望調査で要望を出しながら、希望する施設への異動辞令を待つことになります。

ただし、配偶者と共働きである場合など、そこまで多額の収入が必要ない人については、臨時職員の採用試験を受けて、非常勤スタッフとして働く方法もあります。

非常勤スタッフのほうが時間に融通が利きやすいため、家事や育児をこなしながら、DV被害者のために働く女性の社会福祉士も少なくありません。