児童養護施設の社会福祉士の仕事(体験談)
児童養護施設の中での社会福祉士の仕事
世の中には、さまざまな理由で家族と一緒に生活できない子どもたちがいます。
そのような家庭での養育が難しくなった子どもたちが入る施設を、児童養護施設といいます。
児童養護施設における社会福祉士は、子どもたちの面倒を見るだけではなく、子どもの親・家族とも関わりながら、今後について相談、支援していきます。
虐待が原因となっている家庭の親は、親自身が子どものときに同じような育てられ方をしているなどで、子どもの接し方がわからないというケースも多いです。
社会福祉士は、そのような家族の育ってきた環境を否定するのではなく、より安全で安心な養育方法を一緒に考え、支援をする役割を担います。
また、当の子どもはとても寂しい、悲しい、時には憤りをも感じて施設へやってきます。
落ち込んだ気持ちの子どもたちを励まし、生活できる大人に自立できるように知識や愛情を注ぐことも、児童養護施設の社会福祉士の大事な役割です。
児童養護施設の仕事で気づいたこと
自分が児童や家族と関わる仕事をしていて、子どものころのことを思い出すことも少なくありません。
現代の子どもたちの生活の内容や環境の変化との違いに圧倒されることもあります。
同時に自分の育ってきた環境や両親に感謝の気持ちをもつことが多くなりました。
自分が当たり前だと思ってきた環境、生活が当たり前ではなく、ありがたい環境、生活だったのだと気づかせてもらえました。
親元を離れて一人暮らしをしていたら、実家という帰る家があり、待っていてくれる親や家族がいます。
「お盆や正月くらい帰ってきて元気な顔を見せなさい」とよく言っている、言われているのを聞きます。
しかし、児童養護施設で生活をしている子どもの中には、帰る家や待っていてくれる家族がいない子どももいます。
その点で、再び、当たり前だと思っていた環境、生活が当たり前ではなく、ありがたいことだったのだと気づかせてもらえます。
職員同士で比べてみても、ルールがたくさんある厳しい家庭で育った職員や、自由にさせてもらえる家庭で育った職員などさまざまであり、そのどちらが良くて、どちらが悪いなどありません。
しかし、家族と離れて暮らす子どもたちの親代わりとなる職員は、何が良くて何がだめかを話し合い、一貫させることが大切です。
大切なのは、お互いの育ってきた環境を否定しないことです。
社会福祉士としてのポイント
社会福祉士の仕事では多職種との協力が必要であるため、話し合いが大切となってきます。
福祉のサービスを受けたいと思っておられる方の話を聞いて、たくさんの知識や気づきをもらえるありがたい職業です。
「福祉の仕事は、優しい人じゃないと…」というイメージをもつ方が多いかもしれません。
しかし「優しさ」というのも抽象的で、人それぞれ考え方が違います。
いつも笑顔でいる、話し方がゆっくりで聞きやすい、いつも側にいてくれる、相談すればすぐに返事をくれる、すぐに行動に移してくれる、時間をかけて色々調べて考えてくれるなど、これらに優しい人というイメージを抱くでしょう。
しかし、これをすべて兼ね添えるのは難しいです。
大切なのは、他人でもその人のためを思って、より良くしたいと思う気持ちです。