大卒の社会福祉士
大卒の社会福祉士の割合
社会福祉士になるために受験が必要な「社会福祉士国家試験」の受験資格を得る方法は、あわせて12通りもあります。
なかには実務経験を積むなどして、高卒や短大卒から受験資格を得るルートも存在しますが、社会福祉士になるにあたって最短といえるのは、4年制の福祉系大学に進学するルートです。
12のルートのうち、4年制福祉系大学を卒業するルートだけが、卒業後に実務経験を積む必要も、養成施設で学びなおす必要もありません。
社会福祉士国家試験の統計をみても、例年、4年制福祉系大学卒業の合格者が全体の過半数を占めており、またその合格率も受験者全体の平均を上回っています。
これから社会福祉士を目指す高校生などにとって、4年制福祉系大学への進学は最もオーソドックスであり、かつメリットも多い、いわば「王道」といえる進路です。
就職する際にも、大卒の学歴があったほうが有利となりやすいのは間違いないでしょう。
ただし、大卒者ならではの注意点もあるため、以下でご紹介します。
大卒の社会福祉士の注意点
国家試験に一発合格できないとリスクが高まる
大卒者の国家試験合格率が高いのは上述の通りですが、それは、2月の国家試験受験時点では卒業見込みである「新卒者」と、もう大学を卒業している「既卒者」を合計した数字です。
新卒者と既卒者の合格率を別々にみると、新卒者が全体の2倍に迫る高い合格率をマークしている一方、既卒者の合格者は、全体を大きく下回る15%前後しかありません。
新卒者は、仕事をせずに勉強だけに集中できる「大学」という環境に身を置いているうちは、ほかの社会人などの受験者と比べ、有利となりやすいことは間違いありません。
ともに同じ職業を志し、わからないところを教え合ったり、つらさを分かち合ったりできる同級生が周囲にたくさんいることも、勉強のモチベーションを保ちやすい点では非常に大きなメリットです。
しかし、そうした恵まれた環境を経験してきたからこそ、一発合格できなかった際には、大卒者はより苦しみやすいといえます。
予備校などに通わない限り、基本的に一人で勉強しなければなりませんし、経済的な事情などで働かないといけないケースもあるでしょう。
焦りや不安などで、モチベーションを維持できなくなることもあるかもしれません。
4年制福祉大学に進学するなら、在学中のうちにできる限り熱心に勉強に励み、なんとしてでも一発合格を目指すべきです。
実務未経験でキャリアをスタートさせなければならない
4年制福祉系大学を卒業した人以外の社会福祉士のなかには、受験資格を得る関係上、「相談援助実務」の経験者も多数います。
しかし、大卒者も、実務経験者も、社会福祉士の国家資格を取って就職してしまえば、それまでにどんなルートを辿ってきたとしても、基本的に横一線で同じ扱いを受けます。
職場によっては、短期間の研修を終えたあとは、すぐに即戦力として現場に配属され、相談者への対応にあたることもありますが、新米であるために相談者との間でトラブルが生じることも少なくありません。
実務未経験のまま現場に就くというのは、ほかの学歴の人にはない、大卒の社会福祉士特有のリスクです。
ただ、学歴に関係なく新人のうちは誰でも失敗がつきものですし、またどれだけ経験を積んだとしても、思わぬミスをしてしまう確率をゼロにすることはできません。
大切なことは、失敗を成長の糧とする向上心を忘れないこと、そして、同じ失敗を二度繰り返さないことです。
大卒者の場合、失敗することも多く、自信を失ってしまうこともあるかもしれませんが、すぐに辞職を決断するのではなく、ある程度のスパンをもってキャリアを考えることが大切です。
多少つまずいても、着実にステップを一つずつクリアしていけば、やがて相談者との真の信頼関係を築ける、福祉のプロフェッショナルになれるでしょう。