裁判官の年収・年収はいくら? 判事や判事補の報酬も解説
裁判官の平均年収・給料の統計データ
裁判官の給料は「裁判官の報酬等に関する法律」で定められており、具体的な報酬月額については第2条別表に掲げられています。
裁判所長官、判事、判事補など、それぞれの役職によって支給される金額は大きく変わることになります。
裁判官の平均年収・月収・ボーナス
裁判官の毎月の給料は、それぞれの立場ごとで細かく決められています。
たとえば、1年目の「判事補十二号」の月額報酬は23万4,900円ですが、「最高裁判所長官」の月額報酬は201万円と非常に高額です。
また、裁判官のボーナスに当たる「期末手当」については、「裁判官の報酬以外の給与に関する規則」によって定められています。
その規則のなかで期末手当の算出方法が非常に細かく明記されていますが、「判事」であればおおむね4.5ヶ月分、「判事補」であればおおむね5ヶ月分の手当が出ると考えてよいでしょう。
そのため、「判事補十二号」の場合であれば、毎月の給料23万4,900円の5ヶ月分にあたる約117万円が期末手当のおおよその金額となります。
そのほか、もろもろの手当がつき、判事一年目の年収は480万円〜500万円ほどと推定されます。
判事補・判事・簡易裁判所判事の違い
裁判官の種類を表す、「判事補」「判事」「簡易裁判所判事」の違いについて確認しておきましょう。
まず「判事補」とは、裁判官に任官して10年未満の者を指します。
判事補は原則1人で裁判をすることができず、3人以上の裁判官による「合議審」にのみ加わることができます。
裁判官としてのキャリアが10年以上になると「判事」として任命されるようになり、その後は単独審の裁判長を務められるようになります。
ただし、判事補の経験を5年以上積み最高裁判所の指名を受けた者は「特例判事補」となり、こちらも単独で審理をおこなうことが可能です。
そして「簡易裁判所判事」とは、その名称のとおり簡易裁判所で働く判事のことを指す言葉です。
判事補・判事は司法試験に合格した者のなかから採用されるのが普通ですが、簡易裁判所判事の多くは裁判所書記官から内部試験で登用されています。
裁判官、判事、判事補の月額報酬
最高裁判所長官 | 2,010,000円 |
最高裁判所判事 | 1,466,000円 |
東京高等裁判所長官 | 1,406,000円 |
その他の高等裁判所長官 | 1,302,000円 |
判事 一号 | 1,175,000円 |
判事 二号 | 1,035,000円 |
判事 三号 | 965,000円 |
判事 四号 | 818,000円 |
判事 五号 | 706,000円 |
判事 六号 | 634,000円 |
判事 七号 | 574,000円 |
判事 八号 | 516,000円 |
判事補一号 | 421,500円 |
判事補二号 | 387,800円 |
判事補三号 | 364,900円 |
判事補四号 | 341,600円 |
判事補五号 | 319,800円 |
判事補六号 | 304,700円 |
判事補七号 | 287,500円 |
判事補八号 | 277,600円 |
判事補九号 | 256,300円 |
判事補十号 | 247,400円 |
判事補十一号 | 240,800円 |
判事補十二号 | 234,900円 |
簡易裁判所判事の月額報酬
簡易裁判所判事一号 | 818,000円 |
簡易裁判所判事二号 | 706,000円 |
簡易裁判所判事三号 | 634,000円 |
簡易裁判所判事四号 | 574,000円 |
簡易裁判所判事五号 | 438,900円 |
簡易裁判所判事六号 | 421,500円 |
簡易裁判所判事七号 | 387,800円 |
簡易裁判所判事八号 | 364,900円 |
簡易裁判所判事九号 | 341,600円 |
簡易裁判所判事十号 | 319,800円 |
簡易裁判所判事十一号 | 304,700円 |
簡易裁判所判事十二号 | 287,500円 |
簡易裁判所判事十三号 | 277,600円 |
簡易裁判所判事十四号 | 256,300円 |
簡易裁判所判事十五号 | 247,400円 |
簡易裁判所判事十六号 | 240,800円 |
簡易裁判所判事十七号 | 234,900円 |
裁判官の福利厚生の特徴は?
身分は手厚く保障されている
裁判官は憲法において、その身分を手厚く保障されています。
具体的には、憲法76条3項で「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定められています。
裁判官は、憲法によってあらゆる行政機関から政治的な圧力を受けないように守られているため、裁判においても、他人からの圧力や干渉を受けずに自らの良心に基づいて判決を下すことが可能です。
国家公務員としての充実した休暇制度
裁判官は国家公務員であるため、各種休暇制度は充実しています。
たとえば、育児休暇については「裁判官の育児休業に関する法律」により定められており、子どもが3歳に達する日までの間で、希望する期間を取得することが可能です。
育児休業中は無給となりますが、共済組合から育児休業手当が支払われることとなっています。
それ以外にも、年次休暇や介護休暇などもしっかり規定されており、こういった休暇制度はほかの公務員と同じく整えられています。
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裁判官の給料・年収の特徴
給料は法律で決められている
裁判官の給料は「裁判官の報酬等に関する法律」によって定められています。
そこでは、判事一年目の「判事補十二号」の月額報酬は23万4,900円とされており、これは検察官の初任給とほとんど変わりません。
専門性が高く、また仕事は激務であることを考えると、この金額は低い印象を受けるかもしれません。
ただし、実際には「裁判官の初任給調整手当に関する規則」という最高裁判所規則により、一定額を上乗せするように調整されているようです。
この最高裁判所規則の具体的内容は公開されていませんが、たとえば「判事補十二号」なら8万円ほど上乗せされて支給されているようです。
ちなみに、報酬はすべて残業代などを含んだみなし制となっているため、持ち帰りや休日出勤をしたとしても、一定の金額が支払われることとなっています。
なお、昇格とともに給料は上がっていき、最高裁判所長官になると報酬月額は201万円となり、公務員の中では内閣総理大臣と並んで最も高い給与水準となります。
任官までの社会人経験は考慮される?
法科大学院修了者が裁判官に任官する場合は社会人経験を持つ人も多く、法律以外の知識・経験が豊富な人も少なくありません。
こういった社会人経験は、一般企業であれば給与を決定するにあたり多少は考慮されることがありますが、裁判官の場合はこういった経験が報酬面で考慮されることは基本的にはありません。
「新卒で法科大学院へ進学し、最短ルートで司法試験に合格した人」と、「数年の社会人経験を積んでから司法試験に合格した人」を比べても、裁判官としての初任給は同じなのです。
ただし、弁護士から裁判官へ任官する場合に限り、法曹としての実務経験が報酬に考慮されることがあります。
なお、任官後20年程度は経験年数に従って平等に昇級していくのが通例です。
裁判官が収入を上げるためには?
裁判官は法律によって明確に給料が決まっていることから、出世して自分の役職を上げていくことで収入を向上させることができます。
裁判所長官にもなると月額報酬は100万円を超えるようになり、非常に高額です。
なお、高等裁判所長官のポストは8つありますが、東京高等裁判所長官は140万6,000円、そのほかの高等裁判所長官は130万2,000円と設定されていて、給料に違いがあります。
これらは法的には同格であるとされるものの、事実上の格付けが存在しているといえるでしょう。