裁判官になるには? 必要な資格やなるまでのルートを解説

裁判官になるまでの道のり

司法試験を突破する

裁判官になるためには、弁護士検事と同じく「司法試験」に合格しなくてはなりません。

司法試験の受験資格を得るには、2つの方法があります。

一つは、大学を卒業後に法科大学院に進み、法学の既修者は2年間、未修者は3年間の専門教育を修了することです。

そしてもう一つ、「司法試験予備試験」に合格することでも受験資格を得ることができます。

これらいずれかの方法で受験資格を得たのち、司法試験を突破することが裁判官になるための第一歩です。

試験合格後は「司法修習」を終える

司法試験に合格後は、1年間の「司法修習」を受けることになります。

司法修習の終盤に、習熟度を確認するための司法修習生考試(通称、二回試験)があり、これをパスしなければ修習を終えることができません。

そして無事に司法修習を修了した人は、いわゆる法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)のいずれかの進路に進むことになります。

なかでも裁判官は真面目で優秀な人材が任官されるケースが多く、若くして優秀な成績を収めた人に積極的に声がかかるといわれています。

司法試験の成績はもちろん、修習中の試験も上位で突破する必要があります。

また、教官からの推薦状などもあると良いとされているので、司法試験の受験前だけでなく、常に自己研鑚する姿勢が求められます。

このように、裁判官は日本の最難関試験の一つといわれる司法試験に合格し、そのなかでも頭脳明晰で人格が優れた人が選ばれる職業であるため、その道のりは非常に険しいといえるでしょう。

日本弁護士連合会によると、第73期(2020年)司法修習終了者の進路の内訳は、弁護士登録が1,047名、裁判官が66名、検察官任官が66名となっています。

参考:日本弁護士連合会 司法修習終了者の進路別人数

弁護士や学識経験者からの任官ルート

また、数は少ないものの、弁護士から裁判官へ任官するルートもあります。

これは通称「非常勤裁判官」と呼ばれるもので、弁護士としての身分は保ちつつ、週1回程度、民事調停や家事調停で裁判官と同じ権限をもって手続きをおこなうものです。

そして、非常勤裁判官から常勤裁判官へ任官するケースも実際にあります。

なお、最高裁判所裁判官においては、弁護士だけでなく検察官や学識経験者からも任命されますが、こちらのルートも非常に狭き門だといえるでしょう。

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裁判官の資格・難易度

裁判官になるためには「司法試験」を突破し、さらには「司法修習生考試」にも合格しなければなりません。

この試験は司法試験に続き2回目におこなわれる試験という意味で、「二回試験」とも呼ばれています。

そして司法試験は「日本最難関の国家資格試験」ともいわれており、法科大学院で2年間ないし3年間みっちり勉強してきた人であっても、そう簡単に合格できる試験ではありません。

東京大学や京都大学などの「名門」といわれる法科大学院の卒業生であっても、試験の合格率は50〜60%程度、地方大学院の多くで20〜40%程度にとどまっています。

日本弁護士連合会によると、第71期(2018年)司法修習終了者の総数は1,517名であり、そのうち裁判官を任官した者は82名、割合にすると全体の約5%です。

参考:日本弁護士会連合会 司法修習終了者の進路別人数

難関といわれる司法試験を突破し、その後の司法修習でも好成績を残してきた優秀な人材が裁判官に任官されています。

もちろん人格的にも優れていなければ裁判官を務めることができず、まさにエリートと呼ばれる職業の一つです。

裁判官になるための学校の種類

裁判官になるには司法試験の合格が必須ですが、試験の受験資格を得る方法は「法科大学院の修了」もしくは「司法試験予備試験の合格」このどちらかです。

そのため、法学部の4年制大学を卒業し、その後法科大学院に進学することがもっとも一般的なルートだといえるでしょう。

法学部以外の大学を卒業していても法科大学院に進学することは可能ですが、その場合は「法科未修者コース」となるため3年間通う必要があります(既修者は2年間)。

大学を選ぶ際には、各大学が発表している「司法試験合格者数」や「法科大学院への進学率」なども調べておくとよいでしょう。

裁判官の出身大学で多いところは? 学歴は必要?

法科大学院を卒業する

司法試験の受験資格を得る方法ですが、法科大学院を卒業して受験資格を得るルートと、「司法試験予備試験」に合格して受験資格を得るルートの2つがあります。

法科大学院とは、法曹(法律を扱う専門職)に必要な知識や能力を身につけることを目的とする、日本の専門職大学院のことを指します。

2004年4月に設立され、「少人数制での教育」を基本的なコンセプトとしています。

法科大学院には2つのコースがあり、すでに法学を学んだ経験のある人を対象とした「法学既修者コース」と、これから初めて法学を勉強する「法学未修者コース」に分かれます。

そして法学既修者コースなら2年間、法学未修者コースなら3年間の課程を修了することで司法試験へ進むことが可能です。

司法試験予備試験に合格する

受験資格を得るもう一つのルートが、「司法試験予備試験」に合格する方法です。

予備試験には受験資格がなく誰でも受験することが可能であり、この予備試験に合格することで、法科大学院を卒業していなくても司法試験を受験できるだけの能力があることを証明することができます。

ただし、内容は「司法試験とほぼ同等レベル」ともいわれており、そう簡単に合格できるような試験ではありません。

司法試験の難易度・勉強時間

司法試験は非常に難しい試験として知られており、その難易度は「日本最難関の国家資格試験」といわれることもあります。

合格に必要な勉強量には個人差がありますが、一般的に必要とされる勉強時間は3,000時間~8,000時間、なかには10,000時間程度は必要という意見もあるほどです。

「名門」といわれる東京大学法科大学院や京都大学法科大学院の卒業生であっても、試験の合格率は50〜60%程度であり、この数字からも難易度の高さがうかがえます。

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裁判官に向いている人

裁判官は人の人生を左右する、社会的な責任の非常に大きい仕事です。

「強い責任感」「高度な判断力」が備わっていなければ務まる仕事ではありません。

また、情に流されず、法の番人として常に冷静かつ公正に判断をくださなければなりません。

高い知識レベルはもちろん、公平な立場で物事を考えられる人が裁判官には向いているでしょう。

裁判官に向いている人・適性・必要なスキル

裁判官のキャリアプラン・キャリアパス

裁判官に任官されると、まずは「未特例判事補」という身分になります。

未特例判事補はいわば見習いの身であり、一人で裁判をおこなうことはできず、裁判長を務めることもできません。

そして任官から5年が経過すると「特例判事補」という身分になり、ここからは一人で裁判をおこなうことが可能です。

さらに、一般的には10年目に「判事」となります。

一人前の裁判官といわれるのは判事になってからです。

判事になった後はその人の資質によって、「高等裁判所長官」「最高裁判所判事」「最高裁判所長官」などへキャリアアップしていく人もいます。

なお、裁判官の定年後は弁護士に転向する人も少なくありません。

裁判官を目指せる年齢は?

裁判官になるには司法試験を受けなければいけませんが、この試験に年齢制限はありません。

しかし、実際の合格者の平均年齢は、例年28〜29歳くらいとなっているようです。

試験自体は年齢に関係なく受験できますが、今後裁判官としてのキャリアを築いていくことを考えれば、スタートはできるだけ若いほうがよいでしょう。

そのほか、最高裁判所裁判官においては弁護士・検察官・学識経験者などから任官することもありますが、こちらに関してはとくに年齢に関係なく任命されています。

裁判官は女性でもなれる?

裁判官は女性でも目指せる職業です。

日本弁護士連合会の資料によれば、簡易裁判所を除いた全国の裁判所で働く女性裁判官の割合は、2021年4月の時点で27.2%です。

2011年の時点では20.9%であったため、女性裁判官はこの10年間で6.3%増加したことになります。

参考:日本弁護士会連合会 裁判官数・検察官数・弁護士数の推移

この比率は年々高まってきており、今後も多くの女性裁判官が活躍していくことが期待されています。

女性の裁判官のキャリアパス・結婚後の生活

参考:裁判官に関するデータ

裁判官の人数の推移

裁判官の人数は、平成28年に減少してからほぼ横ばいです。令和3年時点におけるの裁判官の人数(簡裁判事を除く)は2,797人となりました。

裁判官数の推移_令3
出所:日本弁護士連合会

裁判官の女性比率

裁判官に占める女性の比率は年々高まっています。令和3年時点での女性比率は27.2%になっています。

裁判官の女性比率_令3
出所:日本弁護士連合会