裁判官の需要、現状と将来性

裁判官の需要と現状

裁判官の人数と1人当たりの負担

2018年4月の時点では、簡易裁判所を除いた全国の裁判所では2,782人の裁判官が働いています。

参考:日本弁護士連合会 裁判官数・検察官数・弁護士数の推移

その一方で、裁判所における2018年度の民事・行政事件の新規受付数は155万2,708件、刑事事件等の新規受付数は93万7,191件です。

参考:裁判所 司法統計

そして、一度出された訴訟は取り下げられないかぎりは一定の結論を出さなければならず、何年にもわたってようやく審理が終結するケースも少なくありません。

これらの数字からも、裁判官1人当たりの負担がいかに大きいかが分かるでしょう。

とはいえ、裁判官の質をしっかり担保していく必要もありますので、これから先も「裁判官の人数が急に増える」ということは考えにくいといえます。

高度で専門的な仕事であることに加え、「膨大な件数を裁かなくてはならない」というプレッシャーを感じつつ日々の業務に当たっている裁判官は多いようです。

裁判員制度における裁判官への期待

刑事裁判においては、平成21年5月21日より「裁判員制度」が開始されました。

国民の感覚を裁判へ反映させることを目的として始まったこの制度は、裁判の進行に大きな転換をもたらしました。

たとえば、審理の中ではできる限り法律の専門用語を用いずに、かみ砕いたわかりやすい言葉に言い換えられたり、取り調べる証拠も裁判員の心情に配慮した工夫がされるようになっています。

こうした変化により、裁判官は「裁判員にも分かりやすい進行となっているか」「検察官・弁護人の主張を十分にくみ取れているか」などに配慮しつつ、訴訟を進行していくという難しい役割を担うこととなりました。

日本の刑事裁判を国民にとってより分かりやすいものにするには、裁判官の「訴訟指揮」が重要なポイントであり、そうした意味で裁判官に対する国民の期待は高まっているといえるでしょう。

裁判官の将来性

裁判官は「特別職」と呼ばれる国家公務員であり、今後「裁判官の仕事が突然なくなる」ということは考えにくいでしょう。

民間企業であれば「業績悪化にともなうリストラ」などもあり得ますが、裁判官は憲法で立場を保障されている職業であるため、よほどのことが起きない限りはクビになることもありません。

なお、裁判官には「最高裁長官」「最高裁判事」「高裁長官」「判事」「判事補」「簡裁判事」の6種類があり、裁判官に任官されてから10年未満は「判事補」となります。

その後は昇進に応じて段階的に昇給していく仕組みとなっており、大きな責任がともなう分、給与水準は高めの職業です。

裁判官の今後の活躍の場

裁判所における2018年度の民事・行政事件の新規受付数は155万2,708件、刑事事件等の新規受付数は93万7,191件です。

これらの件数は、2010年度の時点では民事・行政事件の新規受付数は217万9,351件、刑事事件等の新規受付数は115万8,440件であり、どちらも減少傾向にあることがわかります。

このように事件の総数は減っているものの、グローバル化の推進やIT技術の発達などにより、社会全体が複雑化している状況にあるのも事実です。

司法の現場で起こっているさまざまな問題に対処しながらも、裁判官は今後さらに多様な役割が求められていくと予想されています。