裁判官の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

裁判官の仕事とは

裁判官は、全国各地の裁判所において裁判を担当し、口頭弁論や証拠調べを経て判決・決定を言い渡す仕事です。

具体的には、最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事の総称を「裁判官」と呼んでいます。

裁判官は事前に提出された資料を読み込んでから裁判に臨みます。

裁判においては当事者や弁護士、検察官、証人などの話を聞き、法律に従って中立公正な立場から判断を下します。

裁判官の判決は当事者の人生を左右する重大なものであり、また判例として後の裁判にも影響を与えるものであるため、非常に大きな責任がともなう仕事です。

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裁判官の業務の内容

刑事裁判の仕事

裁判の種類は大きく「刑事裁判」と「民事裁判」に分けられ、どちらを担当するかによって裁判官の仕事内容は大きく変わります。

それぞれの具体的な仕事内容についてみていきましょう。

「刑事裁判」とは、犯罪を起こした疑いのある人が本当に犯罪をおこなったのか、もしおこなっていた場合はどの程度の刑罰を与えるのかなどを決める裁判のことです。

まずは、罪を犯したとして起訴された者(被告人)が本当に罪を犯したのかを検察官が判断します。

その後、検察官の求刑に対して裁判官が検討をおこない、判決を言い渡します。

たとえば、殺人の疑いで起訴されている被告人の場合は、証拠として出されている凶器や被害者の傷などを検証したり、目撃者がいれば証人尋問でそのときの様子を詳しく尋ねるなどして、証拠調べをおこないます。

そして被告人本人や弁護人の意見も聴き、本当にその被害者を殺したのは被告人なのかを慎重に判断しなければいけません。

最終的に「被告人が罪を犯した」と認められれば、情状酌量の余地に配慮し、どのような刑罰が適切かも判断します。

民事裁判の仕事

一方「民事裁判」とは、民間人同士で私的な法律トラブルが発生した際に、裁判所に権利や義務を判定してもらって紛争解決を目指す裁判のことです。

裁判官は原告(訴えた側)と被告(訴えられた側)の争いの間に立ち、双方の言い分を聞き入れたうえで法律に則り判決を導き出します。

例として、原告が「100万円を貸したのに期限が過ぎても返してくれない」と主張し、被告が「100万円はたしかに受け取ったが、借りたのではなくもらったのだ」と主張している場合で考えてみましょう。

この場合は「金銭消費貸借契約(お金の貸し借り)」があったかどうかが問題になりますので、借りたことを裏付ける証拠になる契約書が偽造されたものでないかどうかなど調べたうえで結論を導き出すことになります。

そのほかの裁判の仕事

以上のような一般的な刑事裁判や民事裁判のほか、家庭裁判所の「家事事件」や「少年審判」も担当します。

「家事事件」とは離婚などの家庭内紛争のことで、当事者より提出された証拠を調べたり、調査官の意見を聴いたりして裁判官は判決を導き出します。

また、非行少年の処遇を決定する「少年審判」も担当します。

こちらは少年の再非行の抑止に加えて「今後の更生のためにはどうすればよいのか」も考える、重要な役割をにないます。

裁判官の役割

人を裁く、法律のスペシャリスト

裁判官は裁判をつかさどり、人を裁く役割を担う法律のスペシャリストです。

刑事裁判では、罪を犯したと疑われる被告人が「本当に罪を犯したのか」について、証拠などを参考に明らかにしていきます。

また、民事裁判では原告・被告双方の主張を聞きながら、法的紛争を解決します。

民事裁判に持ち込まれる事案は、当事者間では問題が解決できず、どうしようもなくなってしまったケースがほとんどです。

裁判官は、こういったケースを法律や過去の事例にあてはめて一定の結論を導き、紛争を解決する役割を果たさなければなりません。

医者が人間の病気を治すなら、裁判官は「社会の病気を治す」役割を担っているといえるでしょう。

柔軟な紛争解決を導く

裁判官の役割は、判決を書くことだけではありません。

判決はいわば「オール or ナッシング」の解決方法であり、通常は「0か100か」しかありません。

しかし、0か100かではなく「間をとって50ではどうか?」と裁判官が提案し、当事者双方が納得すれば50という結論もありえます。

これが、「和解」と呼ばれるものです。

和解とは、双方の当事者がお互いに譲歩し合い、争いごとをやめることに合意することをいいます。

法律を適用すれば、残念ながら原告の主張を退ける「請求棄却」となってしまうケースでも、被告が「譲歩してもかまわない」という姿勢である場合には、この和解によってある程度は原告を救済することも可能です。

裁判官は、原告側と被告側の主張を聞いて「どちらが勝つか」だけを判断するように思われがちですが、実際にはこのように柔軟な思考にもとづいて解決を導き出しているのです。

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裁判官の勤務先の種類

裁判所の種類と数

裁判官の勤務先は、原則として全国の高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、最高裁判所です。

北は稚内から南は石垣島まで、全国にある裁判所へ配属される可能性があります。

まず、司法の最高機関である「最高裁判所」は東京千代田区にあります。

その下の「高等裁判所」は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の全国8箇所にあります。

なお、高等裁判所の特別の支部として、2005年に「知的財産高等裁判所」が東京に設置されました。

参考:裁判所 裁判所の管轄区域

こちらは全国の特許や著作権などの知的財産に関する紛争を専門に取り扱う、極めて専門性が高い裁判所です。

そして、高等裁判所の管轄下には「地方裁判所」「家庭裁判所」「簡易裁判所」が設置されています。

たとえば「東京高等裁判所」管轄内の地方裁判所は、東京・横浜・さいたま・千葉・水戸・宇都宮・前橋・静岡・甲府・長野・新潟の合計11か所あり、さらにそれぞれの支部や家庭裁判所・簡易裁判所まで含めると相当な数に上ります。

裁判官は、これらすべての裁判所への配属の可能性があるのです。

裁判所以外の勤務先

裁判所にて訴訟にたずさわるのが裁判官のおもな仕事ですが、裁判所以外で勤務するケースも考えられます。

裁判官には、任官10年以内の判事補が1〜2年程度、裁判所以外の仕事を通じてさまざまな研鑽を積む「外部経験」と呼ばれる制度があり、この制度を利用して各地で活躍している裁判官もいます。

たとえば、民間企業での勤務を経験したり、法律事務所での弁護士としての活動、法務省などの省庁への出向、海外のロースクールへの留学などをおこなう可能性があります。

裁判官の仕事の流れ

裁判官の仕事の流れは、基本的には刑事裁判でも民事裁判でも同様です。

裁判を起こしてきた人(原告や検察官)と裁判を起こされた人(被告)の話をよく聞いて、中立公正な立場から裁判を進めていきます。

裁判官は、裁判所に提出された資料や証拠、証人の話などを入念に確認し、原告の言い分が認められるかどうかを慎重に判断しなければいけません。

そして法律にのっとり、最終的な判決を下します。

また、こういった裁判以外の場にも裁判官の仕事は存在します。

たとえば、刑事事件において警察官が「逮捕状」や「捜索差押令状」に基づいて捜査をおこなうケースがありますが、これらの令状を発付するのも裁判官の役割です。

これは、捜査機関による行き過ぎた捜査により被疑者の人権が害されないようにするための仕組みであり、こちらも裁判官の重要な職務の一つです。

裁判官と関連した職業

裁判官と裁判所書記官の違い

裁判官と似た名前の職業に「裁判所書記官」があります。

裁判所書記官は、裁判官の判決がどのような手続きにのっとっておこなわれたのかについてその過程を記録し、「公判調書」や「口頭弁論調書」などを作成することがおもな仕事です。

それ以外にも、複雑な訴訟手続きの内容を当事者に説明したり、裁判官の代わりに法令や判例を調査することもあります。

裁判の最終的な判断は裁判官がおこなうことになりますが、その裁判官を補佐する重要な役割をになっているのが裁判所書記官です。

また、裁判所書記官は、裁判がスムーズに進むよう関係者と連絡を取ったりすることもあります。

このように、裁判所書記官は、裁判の当事者と裁判官を橋渡しする仕事と言えるのです。