女性の裁判官のキャリアパス・結婚後の生活

女性の裁判官の現状

最近はテレビのニュースなどでも女性裁判官を見かける機会が増えましたが、全国的に女性裁判官の割合はどれくらいなのでしょうか。

日本弁護士連合会の資料によれば、簡易裁判所を除いた全国の裁判所に勤務する裁判官の人数は2,782人です。

そのうち女性裁判官の割合は26.5%であり、裁判官の4人に1人は女性がつとめる時代となっています。

この比率は2008年の時点では18.6%であったため、女性裁判官は年々増えていることがわかります。

参考:日本弁護士連合会 裁判官数・検察官数・弁護士数の推移

最高裁判所においては、2018年の時点では岡部喜代子、鬼丸かおる氏、宮崎裕子氏の3名が女性判事として就任していました(最高裁判所裁判官は全体で15名)。

しかし、2019年2月に鬼丸かおる氏、2019年3月に岡部喜代子が相次いで退官したため、現在最高裁判所で働く女性は1名のみとなっています。

女性の裁判官の強み・弱み

一般的に、女性は男性よりも「共感性が高い」とされています。

裁判の当事者それぞれの感情を読み取ることは裁判官にとって重要なことであり、その点では女性の持つ共感力は大きな強みとなります。

一方で、その高い共感性によって苦しむこともあるでしょう。

裁判は法に基づいてつねに公平・公正におこなわれる必要があり、ときには当事者の感情を理解したうえで厳しい判決を下さなければならないケースもあるからです。

刑事裁判でも民事裁判でも、裁判官はつねに人の人生に影響を与える責任重大な仕事です。

男性・女性にかかわらず、「人間が人間を裁く」という重圧と闘い続ける覚悟が求められます。

裁判官の結婚後の働き方・雇用形態

裁判官は国家公務員であるため、産休・育休など、結婚後の生活をサポートする制度は充実しています。

たとえば産休に関しても、一般の公務員と同じように取得することが可能です。

具体的には、「産前休暇」については分娩予定日を含む6週間前から出産した日まで、「産後休暇」については出産の翌日から8週間取得することができます。

また、育児休暇については「裁判官の育児休業に関する法律」により定められており、こちらは子どもが3歳に達する日までの間で、希望する期間を取得できると決められています。

育児休業中は無給ですが、それとは別に共済組合から育児休業手当が支払われることとなっています。

参考:人事院 両立支援ハンドブック

裁判官は子育てしながら働ける?

子育てしながら働く女性をサポートする体制は整っているといえます。

ただし、裁判官は3〜4年に1度の頻度で、全国規模での転勤があります。

これは男性・女性関係なく、転勤を命じられたら基本的には受け入れなければなりません。

そのため、たとえば小学校や中学校に通う子どもがいる場合、子どもの転校を余儀なくされるケースもあるでしょう。

場合によっては夫や子どもと離れて単身赴任で暮らすこともあり、こういった事態はあらかじめ覚悟しておく必要はありそうです。

裁判官は女性が一生働ける仕事?

裁判官は女性が一生働ける仕事かどうかは、「職務の重圧」と「全国規模の転勤」の2点とうまく向き合えるかどうかが関係するでしょう。

極端な例でいえば、刑事事件において「被告人の罪は死刑に相当する」と判断した場合、当人が否認していたとしても、裁判官は死刑の判決を書かなければいけません。

このように、自分が下した判決によって一人の命が奪われることもあり、こういった重圧に耐えきれずに裁判官を辞めてしまう人もいるほどです。

そして、裁判官は全国規模の転勤が定年まで続きます。

裁判所法48条により、意に反する転勤を断ることも法律上認められてはいますが、実際には転勤を拒否する裁判官は少ないといわれています。

ただし、女性裁判官の場合は妊娠や出産などでどうしても転居をともなう転勤ができない場合もありますので、こういった事情に対する一定の配慮はあるようです。